異世界帰還者〜異世界で手に入れたチート能力で現実世界に復讐する〜
黒詠詩音
1章 帰還者
第1話 異世界帰還者
「カッハ?! 貴様は一体何を目的としている。禁忌の勇者!」
「お前は知らなくていい事だ」
俺は男を消し炭にした。
禁忌の勇者、その言葉を聞くだけで虫唾が走る。
そんな言葉を聞くのも今日だけ。
「クロム様、準備が出来ました」
「私達はいつでも迎えます」
二人の従者の言葉を聞き、何もない空間から剣を取り出す。
これは俺にとって馴染み深い剣。
そして人によっては、この剣は禍々しく、危険。
その剣を大きく、空に向かって振り降ろす。
次の瞬間、空には大きな亀裂が走り、段々と割れ、大きな穴が開き、次元の狭間が出来る。
「お前ら行くぞ!」
「「御意」」
二人の従者を連れ、次元の狭間の中に入る。
ああ、今から俺の本当の戦いが始まる。
次元の狭間の中では、まるで走馬灯を、見るかのように昔の記憶が呼び起こされて来る。
思い出すだけで反吐が出て来る。
異世界での生活。
そして生前の頃生きていた現実世界、全てを思い出すと。
それだけで、イラつきが止まらなくなる。
この憎しみの炎で支配をされた感情。
それを今にでも早く、発散させたい!
「クロム様、光が見えてきました」
従者の一人である、セロスが俺に言ってきた。
セロスの言葉通り、次元の狭間の先に光が、見え始めて来た。
「ここがかつて、クロム様がお住みなっていた世界」
「ヴァハード王国より、綺麗な空ですね」
「あそこの王国と違い、文明はこっちの方がいいかもな」
ああ、帰って来たぞ。
俺が生前の頃住んでいた世界・国、日本に。
相変わらず人も沢山おり、大きな建物が建っている。
こんな世界、今すぐにでも壊してやりたい。
だが、その前に家族に会いたい。
異世界に転生した事で、姿、形は違うだろう。
それでも、一目だけでいいから家族の姿を見たい。
「おいなんだお前ら? コスプレ集団か?」
二人組の男の声が聞こえる。
声の方に視線を向けると、いかにもガラが悪そうな連中が居った。
「こいつ
「お、こっちの金髪の姉ちゃんは美女だぜ!」
「なんだ貴様ら!」
「お、強気だね。好きだよそういうの」
「俺らと遊ぼうぜ」
「下衆め」
どの世界においても、こんな下衆共はいる。
俺がここの世界で生きていた時も、多く居った。
早く止めないと、セロスとクリスが暴れかねない。
「お兄さん方、僕ら先に急いでるので、やめて貰えますか?」
こんなくそ共の為に、作り笑顔するのも
「なんだお前!」
やはりと言うべきか、俺に突っかかってくる。
「兄ちゃんよ。あんま舐めてるとしばくぞ」
「やめてやれ可哀想だぞ」
「それもそうか」
男二人は俺を見て、嘲笑ってる。
下手に出てやれば、調子に乗る。
だがら、ここの世界にいる人間共は、嫌いだし消えればいい。
「カハッ……カヒュ」
気づいたら、うるさい男の一人を首を絞めて、持ち上げた。
男は苦しそうに踠き、俺に攻撃をしてくる。
そんな抵抗も無意味と、言うことをもうすぐで分かる事だろう。
「何やってるんだてめぇ」
もう一人の男が拳が振りかざしてきた。
その拳はあまりにも遅く、こっちの攻撃が先に入る。
ドンッ、ドンッと男は地面にバウンドしながら、吹っ飛んでいく。
「き、貴様、ぶ、ブチ殺してや、る」
「そうか、テメェが死ね」
男の首を離し、腹部に膝を入れる。
男は地面に倒れ込み、悶絶をしていた。
「セロス、クリス行くぞ」
「はい、何処までも着いて行きます」
「流石はクロム様。私達の代わりに手を出して頂き申し訳ないです」
クリスの言葉を後に、かつて俺が住んでいた、あそこの場所に行く。
歩きで行っても時間が掛かるな。
「あのクロム様、私達の力ってこの世界では使えないんでしょうか?」
「能力を使えるか分からないし、俺達が持っている武器が、ヴァハード王国の様な強さを持っていると限らない」
こっちの世界に来る前に色々と、問題行動をおこしてしまったからな。
武器の能力、強さが機能しなくても、さっきのお遊びで、身体能力に代わりない事。
それだけでも分かったのは大きい。
「よし魔法を使ってみるか」
「え、使えるんですか!?」
「分からん。試しにやってみる、俺の体に触れとけ」
セロスとクリスが俺の背中に、触れたのが分かると、体内にある魔素を腕先に流す。
その直後、腕先から光の様な、白い魔法陣が展開される。
よし魔法が使える、このまま行きたい場所を考える。
もしかしたら引越しとか、されているかもしれない。
その可能性はある、だが、俺はかつて住んでいた家に向かう。
「転移魔法テレス」
魔法を唱えた直後、体が光に包み込まれる。
光が消えた瞬間。
少し大きめな一軒家が建っている。
家を見ると、自然と涙が出てきた。
「クロム様」
「どうしますか、お入りになりますか?」
「いや、辞めておこう」
今の姿を見られたら困惑される。
「ねぇねぇ聞いた?」
「え、何を?」
人の声が聞こえて、俺達は家の影に隠れた。
二人の少女が歩いてくる。
服装を見るからに、学生だろう。
「あそこの家には幽霊が住んでる話」
「あ、うん。聞いた事があるよ、誰も住んでない筈なのに物音がする」
「そそ、不気味だよねー」
この家に誰も住んでない? そんな訳がない。
俺は疑問を、解消する為に家の中に入る。
そこには驚きの光景が合った。
誰も居らず、物さえ何一つなかった。
「ざけるな……ふざけんな!!」
「クロ……ム様」
「やめろ。今は声を掛けるな」
一体何が起きているんだ? 俺は確かにこの家に住んでいた。
それなのに跡形もないのは可笑しい。
まるで家族の存在が消えてる。
これは色々と調べないといけない。
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