社会人3年目、高校時代に“清楚姫”と呼ばれていた同級生の教育担当になりました。
海野 鯵
プロローグ
「
とある日の昼下がり、パソコンのタイピング音が響くオフィスの中で、隣の席から声がした。
「あぁ、今回はエルテックさんと純生堂さんの共催になるから、上の枠を増やせばOK」
「なるほど。ありがとうございます!」
どうやら初めての形式に戸惑っていたようで、やり方を教えると、彼女はまたパソコンに向かって作業を再開させた。
俺は昼食後で睡魔に襲われていたが、彼女が頑張っている姿を見て気合を入れ直した。
俺が彼女の教育担当になったのは1ヶ月程前。入社3年目にして初の教育担当に任命された。
上手く教える以前に、コミュニケーション面が心配だったが、運良く同じ高校を卒業した顔見知りである
と言うのも、先輩が気を遣ってくれたらしく、「同じ高校の子なら、多少は気楽にできるでしょう」とのことだった。
確かに、完全な初対面よりは幾分かマシに思えるが、そうとも言い切れなかったりする。
なぜなら彼女は高校時代、学校一の美女と言われていた程の美貌を持っていた。
整い過ぎている顔立ちに、さらりと輝く亜麻色の髪。
メイクをせずともパッチリとした目は少し垂れ気味で、それがまた彼女の美しさを際立たせる。
背は平均より少し小さく、胸も控えめでこそあるが、そこもまたたまらないとクラスの男子が言っていたのを耳にしたこともある。
また、誰に対しても分け隔てなく接する優しさとお淑やかさから、「清楚姫」なる異名で呼ばれているほどだった。苗字も姫野だったし。
高2の時にはクラスが一緒になったが、特に関わることもなかった。なんせ俺は至って平凡。
顔も運動神経も勉強もそこそこで可もなく不可もなく、そんな評価だったであろう。そんな俺にとって彼女は高嶺の花すぎて、ろくに話したことすらなかった。
そんでもって4年ぶりの再会。ほぼ初めましてみたいなものだ。先輩の気遣いも対して意味をなさなかった。
しかしながらこの教育担当というシステム、よく出来てるんですこれが。
最初の数ヶ月はマンツーマンで仕事を教え、基本一緒に行動するということになっている。となると当然、話す機会も多いもので、最初こそよそよそしかったものの、今ではだいぶ打ち解けた。
まぁここに至るまで色々あったが、それは後で語るとしよう。
「篠村くん?何をぼーっとしているのですか?まだお休みの時間ではないですよ」
おっと、注意されてしまった。長々と昔話をしてしまったな。
それじゃ、改めて仕事を再開するか。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜
初めましての方は初めまして。
そうでない方はいつもありがとうございます。
どうも、
カクヨムデビュー作がまだ2話目なのにもう新作?と思った方、違うんです。
実はこの作品、別名義でカクヨムにて書いていた作品だったのです。
色々あって、プロットと睨めっこして、この話は打ち切りにするつもりでした。
そしてそれから4ヶ月経って、先日このアカウントで新しく話を書き始めました。
しかし心残りだったのがこの作品、せっかくならちゃんとやりたい。
そう思いまして、序盤はほぼノータッチで再投稿。今後の展開と作品のテーマを大幅変更いたしました。
元は「お仕事ラブコメディ」として打ち出した当作品ですが、リニューアル版では「社会人ラブコメディ」へと変更です。
お仕事要素、消えます。
てなわけで、こちらの作品も何卒よろしくお願いいたします。
併せて、現在連載中の作品「バイト先のクールでダウナーな先輩が実はめちゃめちゃ可愛い」もよろしくお願いします。
メイン更新は「ダウナー先輩」の方で、2日に1回の定期連載。「清楚姫」の方は週1〜2回の不定期投稿となります。
※前名義で投稿していたプロローグ+本編13話分は、少し修正をした上で本日4/27(木)に一斉投稿いたします。
4月で社会人になってしまったんだもん。忙しくてさ。
てなわけで、長くなりましたが、今後もよろしくお願いします。
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