先輩、殺してきましたよ
魔導管理室
センパイ、アイツ、殺してきましたよ。
人を殺すのって、意外と大変なんですね。ちょっと疲れちゃいましたよ。でもまあ、だいたい元々の計画通りです。ばれる心配はありませんよ。
...?なんでって、センパイ、言ってたじゃないですか。「アイツ、死んでくれねえかな」って。
だから、殺してきましたよ。
...あれは冗談だった?嘘言わないでくださいよセンパイ。どれだけ長い付き合いだと思ってるんですか?センパイが本気か、本気じゃないかなんてすぐわかりますよ。
それに、もしセンパイが冗談のつもりでも、私には本気に聞こえました。センパイが死んでほしいって、消えてくれって、そう思うぐらい追い詰められていたのは、本当のことです。
...「自首しよう」って、なんでですか?
「自分も付き合うから」って、そんなことは関係ないですよ。ばれない様に苦労したんですから。
「自分の責任」って、違いますよ。アイツが死んだのは、紛れもなくアイツ自身のせいですよ。
もし、センパイが弱音を吐かなくても、近いうちに殺してました。そうしないと、きっとセンパイが壊れてしまうから。
センパイ、アイツにとんでもないことされてましたもんね。誰も言わないけど、みんな思っているはずです。殺されて当然だって。
それでも?取り返しのつかない?そんなことが、
...そんなことが、なんだって言うんですか!?
...すみません。大声を出してしまいました。
ねえ、先輩。アイツはもう、死んだんですよ?
だから、先輩。もう、安心してもいいんです。怯えなくていいんです。こわがらなくてもいいんです。もう、アイツと会わなくていいんですから。
もう背中を蹴られることもないし、お腹を殴られることもない。掃除の後の汚水を飲まされなくてもいい。無理やりおごらされなくてもいいし、友達料を払う必要もない。もう、もう、
あんな事を、されなくてもいいんです。
だからセンパイ。笑ってくださいよ。昔みたいに、あの時みたいに。
...
...やっぱり、笑ってくれませんよね。センパイは優しいから、優しすぎるから、誰かが死んで笑うなんて、できませんよね。
いいんです。それがセンパイですから。
ねえ、センパイ。
私、あなたと放課後を過ごすのが好きだったんです。まあ、高校に入ってからは、アイツのせいでそんなことできなかったんですけどね。もう、だいぶん前の話になります。
放課後になったら、あの場所に行って、どうでもいいことを話して、二人でゲームをして、たまに勉強を教えてもらったり。
そんなどうでもいいことが、好きだったんです。
ねえ、センパイ。今日、これから、一緒に過ごしてもらっていいですか?
今日。この日ぐらいは、また、あの日みたいに。遊びましょう?
先輩、殺してきましたよ 魔導管理室 @yadone
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