夜がくれば

月見里 都

散歩

いつもと変わらぬ夜を、私は歩いている。

時刻は深夜3時を回っていた。

頬と道路を濡らした雨も、そろそろ止んでくれそうだ。

濡れたコンクリートがいつになく美しい。

顔を上げると、進む方向の信号機が一斉に赤になった。

まるで私を引き留めるかのように。


酔いはすっかり醒めているが、

人が居ない歩道を踊るように歩くのは気持ちがいい。

この世界には自分しかいない。

暗闇に響くステップが、私をそう錯覚させた。


三日月に見惚れていると、横を突然トラックが通り過ぎた。

ナンバープレートを見て、あの暗い日曜日を思い出す。

今日も日曜日。今はすっかり晴れやかな気持ちだ。


ふと街路樹の根元に目をやると、

夜に紛れた猫の目がこちらを覗いている。

私と目が合ってすぐ、何かから逃げ出した。

そうか、君も嫌いなんだね。


今にも鬱陶しい光が射し込もうとしていた。

誰にとっても変わりのない1日がまたやってくる。

散歩も十分楽しんだ。そろそろ行こう。


道に反射した光が、一斉に青に変わった。

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