07.バイドルSide〜ほくそ笑むバカ王子に鉄槌を〜

「んだよ、まったく。しばらく誰も俺の部屋には近寄るなって言ったはずだぞ。これで大したことのねぇ用だったらクビにさせるからな」


 精を放った反動でけだるくなった体を起こし、裸にバスローブだけを羽織って最低限の身なりを整える。ナターシャには適当にベットシーツでも巻かせておけばいいだろう。


「ほらもういいぞ、入れ!」


「――失礼いたします」


 準備を終えたことを向こう側に伝えると、扉がゆっくりと開かれて一人のメイドが現れた。


 歳がいくつかは知らないが、かなりの美人だ。氷のように冷めきった表情はやや俺好みではないものの、こういう女はよがらせてやった時の微妙な表情の変化がまたたまらないんだよな。


「見慣れない顔だが新人か?」


「はい、本日より新たにバイドル王子の係を仰せつかりましたメリーヌタ、と申します」


「なんだと? そんなの俺は聞いてないぞ」


「ええ、なにぶんバイドル王子がそちらの女性と情事の最中にあられたので、他の侍従からお伝えするのにこうして遅れが生じた次第です」


 言い方に若干のトゲがあるが、まあいい。

 セ◯クスしている時にこられていたらそれこそ萎えて仕方がなかったからな。


 ……しかし係のメイドか。

 おおかた父上の差し金なのだろうが、俺専属の性処理道具にしてはかなりの上玉をよこしてきたな。同じ男としての厚意だ、ありがたく頂戴するとしよう。


 幸いなことに俺は絶倫だ。

 いくら行為を終えたばかりとはいえ、同じ相手ではなく別の女、それも衣服の上からでも分かる巨乳を前にすればもう一回戦くらい屁でもない。

 ほら、むくむくと息子が起き上がってくるのを感じる。


 ……どれどれ、ちょっと前をはだけて反応でも伺うとするか。

 まさか顔を赤くして股間から目を背けるなんてこともないだろうと思っていたのだが、


「おや、可愛らしいゾウさんですこと。ちょうどバスローブの下にはなにもつけておられないようなので、手間が省けて助かります」


「――なっ!」


 俺の膨れ上がった股間を見て、その反応だと?

 しかも言うにことかいて、可愛らしいゾウさんだと⁉


「ここここいつ馬鹿にしやがって、俺のがそんなに小さいわけ――!」


「いつまでもそのような些末さまつ一物モノをブラブラとさせておくわけにも参りませんからまずはこちらをお召しになってください。それとも私がお付けいたしましょうか?」


 俺の言葉を途中で遮った女は、わけのわからん物を差し出してくる。

 ……これはなんだ、下着か?

 股間のところにちょうどあの部分を覆うようなおかしな細工が施してあるんだが。

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