Mission 5:敵の幹部の命(タマ)を獲ろう(5)

 そもそも高校中退で、特殊な知識やスキルもない、バイトの経験とかもない、車もそれほど走ってない。そんな迷路がこの先に、太陽の下を堂々と、歩けるような職業に、就けるだなんて可能性は、けしてゼロではないけれど、激しく低いのも事実。


 たとえ反社の構成員でも、そこに需要がある上に、稼いで生きていけるなら、そこで頑張るのも手段。


(なんて言ってもそれはそれ)


 王牙の去った後もまだ、迷路は袋を持ったまま、公園でひとり立ち尽くす。


(オレがそんなのやれんのか?)


 これまで拳銃と思われる、ブツを運んだことはある。とはいえ自分でグリップ握り、まして誰かを撃つなんて、そんな経験あるはずない。


 仮に成功できたとしても、その場で犯罪者が確定。刑務所に入ると判決出れば、父はキレるし母は泣く。先の人生詰んだも同然、未来永劫ノーフューチャー。


 つまりやりたくないのだけれど、王牙の命令断れば、それも無事では済まされない。引いても地獄進んでも地獄、すでに助かる道はない。

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