第3話

輸送船福龍丸の乗員はキャプテンの私以外に5名、すぐに全員キャビンに集め受信内容を説明した

「連合のフェイクの可能性は?」機関士の五郎が訊いた、「通信自体はフェイクではないわ、内容についてはわからない、でも植民星や基地が破壊されたのは確かよ、サーチしてもなんの反応もないの」通信士の桜は答えた

「地球はどうなんだ」「大丈夫、まだ存在してる、してるだけかもしれないけど」

重い空気だ、皆家族を恋人を思ってるのだろう、突飛つにパイロットの手塚が口を開いた

「ネロ、これからの会話は記録するな」ネロとは全ての船に登載されているAIの中でも低級な部類のAIだ、貨物船には事件も少ないので手抜きされた手合であった、しかし船内の航行、出来事、会話は全て記録し本部に逐一自動で報告されている、いわゆる物知りの目付である「イエ、キャプテンの司令なければ実行できません」ネロは予想通りに答えた

面倒だが手塚の話にも興味があった「ネロ、その通りにしろ」ネロは複合的知能は持ち合わせていない、人を出し抜き陥れることはできない、命じた事を淡々とこなすだけである、

「それで、手塚」手塚は話始めた、手塚はアカデミー首席のエリートだった、本来なら戦艦に乗組み、将来の幹部にもなれた男だった

しかしどういうわけか実践訓練において行方不明が多々あり本人はおろか、本部の科学班も本当に行方不明となる彼に説明がつかず、何も釈明せぬ本人の希望通り貨物船のパイロットに甘んじていたのだった。

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