ある程度年をとってくると、気づいた瞬間にどうやり過ごそうとしても胸をつかれる「感覚」があります。たぶんあまり若いうちにはわかるようにならない方が良い、経験からくる感覚……実感です。歌中では明確には語られず、けれど注意深く読んでいくとたしかに底に横たわる事実。そしてそこからもたらされる欠落。生々しかったそれが、やがて日常になじんでゆくことにより、感情は、実感は、透き通ってゆきます。読み進めるこちらが、うつくしいと感じるほどに。大人に読んで欲しい、一連の歌です。