第155話 戦闘開始

 

 次の日の朝6:00ついに、野営訓練の戦闘行為が解禁になる。


 流石に、見た目から堅牢になってしまった、ナナ班の古城の拠点……もう、古城というより、新城なのだが、そこに攻め込んでくるような馬鹿な班は居なそうだった。


 俺も、上空からチェックしてるが、Aクラスの2つの班と、Cクラスの3つの班、それからDクラスの1つの班が、人員を割いて、ナナ班の監視をしてるようである。


『ご主人様達の時のように、初日は、確か、動かないんですよね?』


 鑑定スキルが、聞いてくる。


「ああ。だけど、監視してる奴らは、確実に倒してやる。他の班の奴らに、こちらの情報をやる必要なんてないからな!」


 鑑定スキルと話してる内にも、ナナ班のメンバーが出て来て、次々と他の班の監視してた者達を倒していく。


『やっぱり、カイ・ホーク君の鷹の目Lv.3と、サクラさんの狸寝入りLv.3は、別格ですね!』


「ああ。サクラの幽体離脱は、上空から敵を俯瞰出来るから、敵を探すのに持ってこいだし、しかも、敵のすぐ近くまで行って、何を装備してるかとかも、全部分かっちゃうしな!

 そして、サクラに指示されたカイ・ホークが、鷹の目でロックオンして、逃さずに、俺がやった大森林で作った木刀で、叩き斬る!」


『ヤバいですよね! カイ・ホーク君にロックオンされたら、絶対に逃げれませんし!

 物陰に隠れても、透けて見えちゃうって、もう反則ですよ!』


「まあ、姉ちゃんのアイ・ホークみたいに射撃スキルを持ってれば、一々、自分の足を使って追い掛けなくてもいいんだけどな……」


『それは、無いものねだりというものですよ! 今の状態でも、十分に凄いですから!

 ご主人様の木刀持ってるだけで、既に、この国有数の凄腕剣士になってるんですからね!』


「確かに、1年生の中なら、ナナを除いてNo.1の実力だよな!」


『間違い無いです!ナナさんは、ご主人様の妹さんですから、当然ですね!

 もし、ナナさんが、ご主人様が作った木刀を使ったら、多分、エドソンさんとも、いい勝負するかもしれません!』


「嘘だろ!? あのエドソンとだぞ!」


 そう。大戦の英雄エドソンは、ヨナンが想像してたより、物凄く強かったのだ。


 だって、あの訳のわからん強さになってるコナン相手にも、余裕綽々で相手してるし、普通に、見よう見まねで、空まで飛べるようになってるし。


 ハッキリ言うと、カレンの空中浮遊と比べると、みじん切りLv.3を持ってて、メチャクチャ速いコナン方が、空中浮遊だけで比べると相当上なのだ。だって、空中で超高速で移動するし。

 そして、そんなコナンのスピードに、難なく着いて行っちゃうエドソンは、殆ど、化物。


 初めて、エドソンとコナンとの空中での剣の稽古を見た時なんか、本当にビビったもん。

 あっ、この2人、本物の天才だって。


 多分、今の段階では、コナンよりアン姉ちゃんの方が強いと思うが、絶対に、コナンはアン姉ちゃんを越えると思うし。


 まあ、バカ力だけは、絶対に、コナンはアン姉ちゃんに勝てないんだけどね。


 腕相撲勝負なら、多分、今の段階でも、エリザベスを越えて、アン姉ちゃんが一番だと思うし。


 ちょっと、脱線してしまったが、兎に角、そんなに凄いエドソンと、ナナが、良い勝負をするって……それは、アン姉ちゃんやコナンより、ナナの方が上ってことだし……


『あの……ナナさんは、ご主人様と血が繋がった、実の兄妹なんですよ! アンさんや、コナン君と比べても凄いのは、当然の事ですから!

 だって、ご主人様が、本気を出して、聖剣ムラサメを使ったら、この世に勝てる者などいませんし!

 女神ナルナーだって、瞬殺ですよ!あの人が、どんだけ強いか知りませんけど!』


「だよな……俺の聖剣ムラサメって、異世界俺TUEEE史上、最強だよな……未だに、本気でムラサメ振ったこと無いし……」


 そう。俺は、怖くて、今までまともに聖剣ムラサメを本気で使った事が無いのである。


『ご主人様、わかってると思いますけど、絶対に、聖剣ムラサメを、本気で振ったらダメですからね!

 この世界どころか、この惑星、いや宇宙が滅亡してしまいますから!』


「えっ……そんなにだったのか……」


 なんか、鑑定スキルが断言する。

 嘘が付けない鑑定スキルが、断言するという事は、そういう事なのだろう。


『そうです! ご主人様は、兎に角、自重しないといけないんです!

 俺TUEEE主人公なんて、とっくの昔に越えてるんですから!

 これからは、どんだけ手を抜くか死ぬ気で考えて下さい!』


「俺TUEEEも、行き過ぎると手加減するのも、命掛けなのな……」


『当然です! ご主人様は、道具持って何かする時は、極限まで手抜きしなければならないのです!じゃなければ、簡単に、世界なんか滅亡してしまうんですから!』


 嘘が付けない鑑定スキルの話を聞いて、俺は、何故か、怖くなって、オシッコチビりそうになってしまったのは秘密の話だ。

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