第143話 2年生
春休み中、必死にナルナー神宮に続く街道と、ナルナー神社を建設し続けたヨナンは、カララム王国学園の寮に戻って来た。
決して、カララム王都の自分の御屋敷には近付かない。
だって、ナナと鉢合わせしたら何を話せばいいか分からないし、股間が盛り上がって恥ずかしい思いをしなければならなくなるから。
兎に角、トップバリュー男爵のチ○コを切り落とすまでは、絶対にナナとは会えないのである。
ーーー
春休みが終わり、ヨナンは2年生になった。
ナナの晴れ舞台であるカララム王国学園入学式は、画面越しに見ながら号泣。やはり、ナナをマジマジ見ると勃起してしまうのは治ってなかった。
そして、2年生の担任も、1年生の時同様に、グロリア先生。
そんないつもの感じで、2年生初めてのホームルームが始まる。
「それでは、同盟国であるアンガス神聖国からの編入生を紹介する!」
早速、グロリア先生により、アンガス神聖国女王のココノエが紹介される。
「妾は、アンガス神聖国女王のココノエじゃ。この学園は、実力至上主義で身分関係無く強い者が正義だと、カララム元国王のアレクサンダー君に聞いておる!
なので、最初に獣人だからと妾を差別するつもりの者が居たら、最初に言ってきて欲しい。その場で消し炭にしてやるのじゃ!」
どうやら、ココノエも、アレクサンダー君同様に、学園のルールを履き違えてるようだ。
というか、そもそも生徒を消し炭にしちゃいかんだろ!
「では、ココノエの席は、ヨナンの隣の席だ!
ヨナン分かってると思うが、お前は、ココノエのお守りだ!
何か問題が起こる前に、全力で食い止めるように! ココノエに何かあると、国同士の国際問題になってしまうからな!」
教師がまさかの生徒に丸投げ?
まあ、ココノエを抑えられる者など、このクラスに居ないし。
カトリーヌやアレキサンダー君レベルでも、九尾であるココノエを抑えつける事など出来ないのである。
「我が神ヨナン様。どうか宜しくお願い申します」
ココノエは、慇懃に俺の前まで来て頭を下げる。というか、モフモフフカフカの9つの尻尾を触りたくなる衝動が思わず起こってしまう。
どれだけ魅力的な尻尾なのだろう。
でもって、俺の周りには、いつも、アレキサンダー君とココノエの、2人の王族が居るようになってしまった。
アレキサンダー君は基本ボッチだし、ココノエは警護対象だからしょうがないのだけど。
そして、注意しなければならないのは、絶対にナナに会わないようにする事。
それに関しては、俺の9人の女騎士達と、学園中に仕込んでる監視カメラによって、完璧に逃げ続けられている。
こんな所で、アスカ対策に仕込んだ監視カメラが威力を発揮するとは思わなかった。
去年は、アスカにザマーする為に、アスカが何か攻略対象に仕掛ける時を見計らって登場し嫌がらせしてたが、今は、完全にナナから逃げる為に使っている。
そう、ナナは、どうやら俺を探してるようなのだ。
でもって、毎日、授業が終わるたびに、2年生の教室に訪れるらしい。
まあ、しっかり監視してるので、簡単に逃げれるのだけど。
逃げれそうにない時も、しっかり俺の女騎士達がナナに喋りかけるなどして、ブロックしてくれるので、絶対にナナと鉢合わせる事はないという体制を整えているのである。
『ご主人様、そこまでしますかね……』
鑑定スキルが、呆れながら聞いてくる。
「俺にとっては、それ程の事なんだよ!
俺は、カッコ良い頼れる兄ちゃんとして、ナナに真実を伝えたいんだよ!
だけど、勃起が治る前に、ナナと会ってしまったら、俺は変態バナナ野郎だとナナに思われてしまうんだ。
そして、勃起が直ってから、ナナに本当の兄だと告白しても、勃起男キモっ!て、言われてしまうのが関の山なんだよ!」
『そうですかね? どうやら、ナナさん。ご主人様にお礼が言いたくて、毎日、ご主人様に会おうと頑張ってるみたいですよ。
既に、ご主人様に避けられてると感じてるみたいですし……』
「そいつは不味いな……」
ヨナンは動揺する。
だって、人って、自分を嫌ってる人を好きにはなれないから。
ナナが、俺から避けられてると思い続けたら、必然的に、ナナは、俺の事を嫌いになってしまう可能性が出てくるのである。
「鑑定スキル……どうしよう……」
『そんなの、ご主人様の身から出た錆でしょ?自分で何とかして下さいよ!』
「嫌ってないと思わせればいいんだな。そしたらプレゼントを贈るとかか?」
『あの……ご主人様、分かってます。既に、ご主人様は、ナナさんに極大なプレゼントを与えてるんです!
服1000着与えてますし、ナナさんの為に専属メイド5人も付けてるでしょ!
しかも、元『熊の鉄槌』のエリスさんまで、ナナさんの専属護衛にしてしまいましたよね?』
「だから、それ以上のプレゼントを贈ればいいんだろ?」
『違いますよ、ナナさんは、そのお礼をしたくて、ご主人様に会おうとしてるんです!』
「じゃあ、プレゼントは逆効果だと?」
『ですね!』
「じゃあ、手紙とか?」
『なるほど。手紙なら良いかもしれません。適当な理由を考えて、今は会えないとか書けば、今すぐ会うのは諦めてくれるんじゃないですか?』
「それな!」
てな訳で、ヨナンの、お手紙作戦が始まったのであった。
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