第104話 アレクサンダー・カララム君
「それでは、編入生のアレクサンダー・カララム、挨拶しろ!」
担任のグロリア先生は、例えこの国の王様相手でも全くブレない。
生徒に対しては、教師として誰に対しても毅然とした態度で接するようだ。
でもって、今は、新学期初めてのホームルーム。
編入生のカララム王アレクサンダー・カララム君は、尊大な態度で自己紹介を始める。
「ウム。ワシが、カララム王国第15代目国王アレクサンダー・カララムじゃ!
例え、ワシの方が地位が上でも、学園ではアレクサンダー君と呼んで欲しい。それがカララム王国学園のルールであるのでな!
学園では、地位も生まれも何も関係ない。ただ、実力だけが全て! 強い者こそ威張っていいのじゃ!」
なんか、学園のルールを履き違えてるアレクサンダー君が、ドヤ顔で自己紹介する。
因みに、これがカララム王、アレクサンダー君のステータス。
名前: アレクサンダー・カララム
職業: カララム王(お休み中)
称号: 若返り王 暴れん坊将軍
スキル: 剣術Lv.2、木魔法Lv.2、火魔法Lv.2、鑑定Lv.1
ユニークスキル: 身体強化Lv.2、魅了Lv.1
力: 1500
HP: 1200
MP: 1000
器用: 100
アレクサンダー君。何気に強い。
残念スキルの鑑定Lv.1と、まさかのユニークスキルに魅了Lv.1まで持っている。
この魅了スキルで、髭面の大男のホエール侯爵を籠絡して、学生になったのだろう。
じゃなければ、昨日、あんなにすんなりと、アレクサンダー君のカララム王国学園の編入は決まらなかった筈だし、中々、アレクサンダー君も、アスカ同様に腹黒そうだ。
まあ、アスカ程の魅了の力はなさそうだが、王様として人心掌握にとても便利なスキルには違いない。
でもって、アレクサンダー君は、俺の従兄妹のカトリーヌ・グリズリーや、俺の騎士9人以外の女生徒にモテモテ。
そりゃあ、現王様が、いきなりクラスメイトになったのだ。結婚すれば確実に王妃になれる。第何王妃か分からんけど。歳も若返ってるし、同じ時間を生きる事が出来るのだ。
これは、女子達にとっては超絶優良物件。
「良き良き。才女はワシの王妃にしてやるからな。良く勉強に励むのじゃぞ」
カララム王アレクサンダー君は、どこまでもぞんざい。
魅了スキルまで持ってるので、女子達は、もうメロメロだ。
「アレクサンダー君! 私勉強頑張る!」
「アレクサンダー君、いつでも私を抱いてね。毎日、新品の下着を履いて準備しておくから」
ヤバい。ヤバ過ぎる。アレクサンダー君。
魅了スキルを使ってるのは分かってるのだけど、下手に王様だから、注意もできない。
というか、ユニークスキルだから、本人は意識しないで使ってるのかもしれないのだけど。
「そしたら、今から保健室でしけこむとするか!」
アレクサンダー君……まさか、学園の保健室でお股が濡れるプレイをするつもりか……。
やはり、現役王様はやる事が一々ヤバイ。
不良学生も真っ青な、暴れん坊将軍ぶりである。
「アレクサンダー様。学園の風紀が乱れるので、保健室で子作りするのはお止めになって下さい!」
生徒を代表して、真面目なカトリーヌが注意する。
まあ、公爵令嬢のカトリーヌが注意できなければ、このクラスで、アレクサンダー君に注意できる者なんかいないんだけどね。
「ハッハッハッハッ! そうじゃったな!
ここは、大奥じゃなくて、学園だったわい!
いつもの癖で、学園でも仕事の子作りする所じゃったわい!
仕事熱心な癖は、中々抜けんものだな!」
アレクサンダー君は、子作りを仕事と言い切った。
なるほど、王様の仕事は跡取りを作る事なので納得できる。
俺も、なんか王様になりたくなってきた。
『ご主人様が、自重しなくて本気になったら、王様にも魔王にも簡単になれると思いますが?』
鑑定スキルが、俺の心を勝手に呼んで、念話で話し掛けてくる。
「何でお前、俺の心を読んでるんだよ!」
ヨナンは口を押さえ、鑑定スキルに文句を言う。
『そりゃあ、僕はご主人様のスキルですから、ご主人様の心も普通に読めますよ。基本、ご主人様が少しでも考えた事は、僕になんでも筒抜けですから』
「嘘?」
『嘘じゃないですよ。ご主人様が、あの子のお尻キュッとしてるな。とか心の中で考えてる事とか、全部筒抜けですからね!』
「俺にプライバシーは無いのかよ!」
『そんなもん、僕とご主人様の中じゃ要らない物でしょ?』
「確かに、朝のオシッコの色や、ウ○コでお前に健康チェックされてる時点で、俺にプライバシーなど無かった……」
『ですよねー!』
とか、鑑定スキルとワチャワチャと念話で話してると、突然、アレクサンダー君が、ヨナンに話し掛けてきた。
「我が友、ヨナンよ! 一緒に学食食べに行こうではないか!」
「我が友?学食?」
「お前は、ワシの友達じゃろ? ドラゴンの血をワシに分け与えてくれたのも、ワシと親しくなりたかった訳では無かったのか?」
確かに、王様にご機嫌取る為にレッドドラゴンの血を分け与えたのだが、別に王様と友達になろうと思ってた訳ではない。
というか、カララム王と、何を話したら良いか分かんないし……。
しかしながら、ここで学食を行くのを断ってしまったら、不敬罪で死刑にされてしまうかもしれない。
「じゃあ、学食行きます?」
「おお! そしたら、早速、貧乏人の生徒が行く食堂の方を行ってみよう!
前の学生時代は、お付の取り巻きが五月蝿くて、貴族の専用の学食でしか飯を食べれなかったからな!」
なんか、アレクサンダー君は、学園生活のやり直しを、楽しんでるようだ。
確かに、アレクサンダー君の取り巻きは、誰も編入してきてないし、前の学園生活より、はっちゃける気満々であるようだ。
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