第96話 大森林の秘密
「大森林が故郷って、一体、どういう事よ!」
リサリサが、下から目線でエリスを問い詰める。
というか、チビっ子のリサリサが、モデル体型の超絶美人のエリスに食ってかかる様子は、絵柄が物凄く変である。
「大森林は、私の故郷」
「だから、それがどういう事と聞いてんのよ!」
「故郷は、故郷。それ以下でも以上でもない」
「ああーー! 分かったわよ! 大森林が故郷なのね!
それは分かったから、何故、今迄言わなかったのよ!」
「聞かれなかったから」
エリスは、にべもなく答える。
「ハイハイ。私が悪かったのよね!
でも、アンタの前で、私、何度か大森林を探索すると言ってたの聞いてたわよね!」
「聞いた」
「そしたら、何でその時教えてくれなかったのよ!大森林は、エリスの故郷だって!」
「だから、リサリサが訪れても殺さないようにと、ちゃんと仲間に言っていた」
「ええそうなの、それはありがとうございました。って、違うから!
ちゃんと、私に、最初から言っときなさいよ!
そしたら、わざわざ1人で探索しなかったんだから!
アンタの故郷なら、アンタと一緒に行けば何も問題ない訳だし!」
「なるほど」
「なるほどじゃないわよ! アホくさ!
結界が張ってたから、こっちは、何があるんじゃないかとワクワクしてたのに、ただのエルフの隠れ里だったなんて……」
「ウン。ただの世界樹を護るエルフの隠れ里」
「な……何ですって!」
エリスの言葉に、リサリサが驚き過ぎて顎を外す。
「何、やっとんじゃ!」
ゴンザレスが、リサリサの後頭部と顎を持ち無理矢理、ゴキッ!と、顎を元の位置に戻す。
「痛った! そんな事より、世界樹ですって!?
そんなの何処にも見えなかったわよ!」
「認識阻害魔法で隠してある。だけどこれは世界樹を護る隠れ里の秘密。知ってしまったからには、リサリサには死んで貰わなければならない」
エリスは、躊躇なくリサリサに向かって、弓を向ける。
「ちょっとちょっとちょっと!ちょっと待ってよ! 決して誰にも言わなから!」
真顔のエリスに、リサリサはとても慌てる。
というか、いつもエリスは真顔だった。
「私は、里の掟があったから誰にも言えなかった。でも知られてしまったからには仕方が無い」
エリスは本気だ。
弓の照準をリサリサに合わせて、力一杯、弓の弦を後ろに引いてるし。
「ていうか、アンタが勝手に言ったのよ!『久しぶりの里帰り。ウキウキ』とか!」
「アッ……」
「これは、アンタの落ち度よ、何でアンタが勝手に口を滑らせた償いを、私達がしなきゃならないのよ!」
「確かに……」
エリスは悩み出す。
どうやら、隠れ里の掟と、自分のミスを天秤に掛けてるのだろう。
まあ、全てエリスが悪いのだけど。
「で、どうするんだ?何も聞かなかった事にして、大森林の探索止めとくか?
どう考えてもヤバそうだし……」
俺は、大森林の探索の中止を提案する。
だって、一々、虎穴に足を突っ込む必要もないしね。
皆が黙ってれば、エリスが掟を破った事も誰にもバレない訳だし。
「主様は、全く問題ない。逆に主様が隠れ里に訪れたら歓迎される。
きっと、隠れ里に住むエルフの女全員が股を開くと思う」
「何で、股を開くんだよ! まあ、美形のエルフに股を開げられるのは嬉しいけど」
「エルフは、女神ナルナー様を信仰してる。ご主人様は女神ナルナー様のお気に入り。誰しも、お気に入りとS〇Xしたくなる」
「あの……エリスさん。エリスさんは、相当な美形なんだから、S〇Xとか股を開くとか、端たない言葉は似合わないと思うんだけど?」
「何故に?」
エリスは、相当悩んでる。
というか、ただ直接的な言葉を選んでしまうのは、ボキャブラリーの不足なだけかもしれない。
まあ、あんまり人と話をしないので、ボキャブラリーが少ないのはしょうが無いのかも知れないけど。
「ヨナンが大丈夫なら、勿論、私も着いて行っても大丈夫よね!
私、実を言うと、世界樹を探す為に冒険者を初めたんだし!」
リサリサが冒険者になったのは、どうやら世界樹を探す事が目的だったらしい。
「リサリサは隠れ里に入る事は許されない」
「何で、ヨナンが良くて私が駄目なのよ!
アンタと私の仲でしょ!」
「主様は、女神ナルナー様のお気に入りで、リサリサは、ただのチビっ子」
「チビッ子言うな! というか、ヨナン、アンタから私も入れるように頼みなさいよ!
どうやら、エルフという種族は、アンタの言う事なら何でも聞きそうだし!
もし頼んでくれるなら、私もヨナンに股を開いてあげるわよ!」
なんかリサリサが、チビッ子の癖に豊満な胸を押し付けてくる。
「アラアラアラ。下の息子がコチンチンになってるわよ」
ロリババアのリサリサが、からかってくる。
誰しも男の子だったら、可愛い女の子に胸を押し付けられたら、コチンチンになるっちゅーの!
これだから長寿種は嫌いなのだ。普通にエロハラスメントをしてくるし。
「で?どうなのよ?私とヤリたくないの?」
リサリサのボディタッチが酷い。本当に全く恥じらいがない。
「ああ! 分かったよ! エリス、リサリサも連れてってもいいよな!」
決して、俺はリサリサとヤリたい訳ではないのだ。ただ、ここを収める為には、リサリサを世界樹が有るという隠れ里に連れて行くしかなかったのだ。決して、合法ロリとヤリたいだけじゃないんだからね!
「主様がそう仰るなら問題無い。エルフに、女神ナルナー様のお気に入りに逆らえる者などいない」
「だったら、ワシは止めとく。誰がエルフの巣窟なんかに行けるか」
エルフと仲が悪いドワーフのゴンザレスは、全く世界樹に興味がないようだ。
勝手に1人で引き返して行くし。
「やったわ! ついに世界樹をこの目で見れるのよ!」
リサリサは、ルンルン気分で世界樹に向けて走り出した。
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