2章 成り上がり商人編

第21話 死に戻り

 

 情報の洪水。頭が痛い。ヨナンの脳みその許容量を越える情報が入ってくる。


 ☆大森林の腐葉土……10億年の歴史のある大森林で、脈々と積み上げられた腐葉土、その他の腐葉土とは格が違い、植物は普通の5倍のスピードで育ち育った食物は栄養豊富。

 ☆大森林の薬草……栄養豊富な大森林で育った薬草、普通の薬草の3倍の効果がある。

 ☆大森林の石……多分、普通の石より栄養が豊富、食べれる種族がいればの話………………………


 これは、前に一度経験してる。

 このまま行くと、脳の血管が破裂して死んでしまう。


 プチッ!


 やっとの思いで、情報を遮断する事に成功した。


「ハァハァハァ……生き返った?」


 {鑑定スキルを一定条件使ったので、鑑定スキルのレベルがLv.2になりました。続けて、死に戻りスキルを行使した事により、地球のデータベースが解禁され、鑑定スキルがLv.3になりました}


 続けて、女神ナルナーの声が頭に響く。


『……ご主人様?』


 鑑定スキルが、覚醒して話し掛けてくる。


「これ、成功したんじゃないのか?」


『やりましたね! これでアスカにザマーできますよ!』


「俺の計画って、本当にザマーする事だったのか?」


『じゃないんですか? 僕はご主人様じゃないから知りませんよ!

 ただ、ご主人様は、アニメ【リターン0】の死に戻りスキルに憧れてたんでしょ?』


「前から思ってたんだけど?そもそもアニメって何だ?」


『えっ? そこからですか!』


 こんな感じで、ヨナンの2度目の人生は、ヨナンの過去の記憶を見る事から始まった。


 ーーー


 ヨナンの日本の記憶を、鑑定スキルが高速回転で、ヨナンに見せる事3時間。


 脳ミソを酷使したヨナンが、まず行ったのは、エドソンを見に、実家に帰る事。


「リターン0は、やっぱり最高だよな!俺もエミ〇アたんみたいな可愛いい彼女が欲しいぜ!」


『僕はヤッパリ、レ〇派ですね!』


「お前って、パ〇ク枠じゃねーのか?」


『僕は実態ないですから!異世界転生モノにありがちな、可愛い使い魔にはなりませんから!』


「パ〇クみたいに、魔石から出てこれないのか?」


『僕は、いつも言ってるように万能じゃないですから!

 データベースに書いてる事以外分かりません!』


「だったな」


 鑑定スキルと、たわいもない会話をしながら、実家のドアを明けると、そこには、


「おっ! 帰って来たようだな!どうだった、俺がやった大工道具は!」


 前回と全く同じように、大工道具の使い心地を聞きたくて、エドソンがヨナンの帰りを廊下で待っていた。


「いい感じだったよ。斧もノコギリも良く切れたし」


 ヨナンは、前回と同じように返す。


「だろ! エリザベスに内緒で奮発して、少しだけ良い道具を買い揃えたんだよ!

 エリザベスには、合計5万マーブルだと言ったけど、実際は9万マーブルもしたんだぞ!

 俺のお小遣いの3ヶ月分もしたんだから、大事に使ってくれよ!」


 エドソンは、前回と同じように、切れ味が良かったと言われたのが余っ程嬉しかったのか上機嫌。ニコニコ顔で饒舌になっている。


 だけれども、


「て、オイ……ヨナン……お前、何で泣いてるんだ……」


 エドソンが、ヨナンが号泣してる事に気付く。


「何でも無いよ。ただ、エドソンが元気な姿のままで居る事が、凄く嬉しいかっただけだから……」


 ヨナンは、エドソンが生きてるのが嬉しくて、嬉しくて、涙が勝手に溢れ出て、止まらないのだ。


「元気な姿のままで居る事が嬉しいって、俺はいつでも元気だけどな……大事な息子の為なら大工道具買うのに、別にお小遣い3ヶ月分使ったって悔いないし」


 ヨナンが、何で泣いてるのか分からないエドソンは、素っ頓狂な事を言って来る。


「ああ。本当にありがとう。家には全くお金が無いのに、凄く無理してくれて……」


 そう。お金さえあれば、前回の戦争の時、人を雇うとかして、20人キッチリ兵士を揃えられれば、エドソンや兄貴達が死ぬ事なかったし、トップバリュー男爵に、グラスホッパー領を奪われる事も無かったのだ。


「お前、ウチに金ないって、ハッキリ言うな……それって、間接的に、俺が甲斐性なしと言ってるのと、同等の事だぞ!」


 エドソンは、少しムッとしたのか、ちょっと怒っている。


「そのお金の事なんだけど、俺に1つ提案が有るんだ。少し今から、俺の話を聞いてくれるか?」


 ヨナンは、自分の大工スキルの事、大工スキルがあれば大森林を開拓出来る事を、エドソンに隠す事なく、詳しく話したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る