第21話 腐敗の魔王
封印。
ヨハンは直感的に納得した。
足元から感じた、あの嫌な感覚。
地下に魔王が封印されているとなれば十分納得だ。
魔神13将のダークとも怖気ずく事無く
対峙できたヨハンだったが
あの感覚から逃避が浮かんだのだ。
間違いない
セント・ボージの地下には魔王が居る。
ただ、それはそれで問題があった。
オーベルだって近づけないはずだ。
「セント・ボージかぁ
この間行って来たが人は近づけ無ぇぞ」
自身が行けたのは間違いなく
改造によって毒耐性が強化されていたお陰だった。
ヨハンはそう言った。
もしかしたら虫は平気なのかもしれないが
乗り物である人本体が倒れてしまう。
聖騎士も言うに及ばずだ。
「それはその通り。何かしらの対策が必要」
ゲカイもその事は理解している様子だ。
その上で何かしらの策が向こうにはあると考えていた。
「こっちはゲカイちゃんがいるから
解除しながら行けるっすよね」
「発生源の解除が出来るかどうかは
見てみないと分からない。漂う毒を
無効化は出来る」
チャッキーの確認に肯定と補足で
答えるゲカイ。
「まさか・・・ゲカイちゃんを乗っ取る気じゃあ」
ストレガがそう気が付いたがヨハンは冷静に言った。
「いや、降臨後も残っているかどうか
魔王殺害の一件で無事でいられるかどうか
どっちも確証が無ぇ、それに
降臨前から準備しているんなら
側近として安全な新大陸で一緒に避難しているはずだ。」
現にゲカイは助かったものの
津波そのものには晒され危険だった。
最初からの計画には入っていない。
「しかし、残っているのを確認した上で
即興でそのシナリオに移す事は
十分考えられるぜ」
これもオーベルを追跡して来て
尚且つ追跡に成功してもらわねば
ならない。計画としては成り立ちにくいが
追いつかれた場合の対処としては
非常に有効な引っ越し相手である事は間違いない。
「ゲカイの保護は最優先だな」
頷くチャッキーとストレガ
ゲカイは何か恥ずかしそうな表情になっていた。
ここで一つヨハンが案を思いついた。
「なぁストレガ。」
「はいお兄様」
「ゲカイに化けられないか」
アモンは外見をコロコロと変えていた。
同じ悪魔ボディならそれが可能では無いかと考えたのだ。
「妹さんを危険に晒すんすか」
ちょっと怒っているチャッキー
彼はストレガの成り立ちを知らないのだ。
ヨハンは自分の考えを説明した。
「アモンの兄貴と同じ金属の肉体だ」
相手は寄生虫だ。
金属粒子の悪魔ボディには寄生出来ない
ストレガは乗っ取られる心配は無い。
これ以上無い好条件の囮になれるのだ。
「ごめんなさい。お兄様・・・私は」
ストレガは申し訳なさそうに説明した。
この姿を望んで悪魔の契約を行った。
この姿以外になろうとした時
契約そのものが無効化になってしまう恐れがある。
「そう思うと、とても怖くて・・・」
「いや、悪かった。兄貴が簡単に
ポンポン姿を変えてしたモンでな
同じ体って言っていたからよ
そう思ってな」
予想外にストレガは罪悪感に捕らわれた反応だった。
慌てて謝罪するヨハン。
「彼女は骨が基本になっている。
基本骨格を変えられない。
私の身長になるのは無理」
以前、ストレガを解析したゲカイが
そう補足した。
仮に金属粒子を移動固定出来たとしても
本体である骨は加工出来ない。
ストレガには変化は無理な注文だった。
「その毒って上に行くタイプっすか」
チャッキーがセント・ボージに話題を戻した。
「いや、地表に溜まるタイプだ。
空は安全だ。」
ヨハンは偵察時の詳細を皆に話した。
「そっかぁじゃあ秘密の地下道とかも
無いっすよね・・・」
「それは・・・探しきれて無ぇな」
一人では物理的に無理な話だ。
「もしかしたら、毒の範囲まで
近づかずに封印を解除出来るのか
・・・それとも」
少し言いづらそうにゲカイは続けた。
「死体でも動かせるのかもしれない」
ネクロマンサー
死体・死霊を行使し
ゾンビやスケルトンなどのアンデットを
生産・召喚する能力者。
「・・・なんか、オーベル出来そうだな」
13将「計」だ。
自身が行動するより
他者を使役する方が得意に決まっている。
ヨハンは合点がいってしまった。
根拠は無いがゲカイの予想は当たっていると思った。
封印の解除までの乗り物なのだ。
それまで寄生で来ていれば良いので
それまでに宿主の形があれば事足りるのだ
生きている必要は無いなら
毒は何の障害にもならない。
対策は要らないのだ。
こちらはストレガとヨハンは
デフォルトで毒が無効。
ゲカイは解除し続ける限りは安全だが
途中で力尽きる危険があるので
毒の効果範囲を見て行動時間を
予想してから突入を判断する事になった。
そうまでして突入した所で
一度に解除出来るは一個だけなので
毒を解除していたら他には何も出来ない。
安全な所で待っていてもらう方が良いと
ヨハンは思った。
馬車を借りる、或いは購入してしまっても良いだろう。
朝からの行動方針を決めると部屋に戻る事になった。
ストレガのプレートで
女子用と男子用で二部屋借りた。
ヨハンは自分のプレートを使おうと
したのだが、ストレガに止められた。
聞いて見ると、表向きは平等なのだが
やはり位の高い冒険者の都合を
優先する傾向があるそうだ。
ストレガはこの間の南の都市で
Gクラスの3に昇格していた
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