第15話 彼女の正体
あれからハルバード様と私は二人揃って伯爵家のご両親へ結婚のご挨拶に伺いました。
もちろん最初は反対されましたがハルバード様が何時間も説得し、最終的には私がテナス商会の娘であることも考慮されてなんとか婚約を認めていただきました。
そしてついに本日私たちは結婚式を挙げる運びとなりました。
今現在私は控室で人の手を借りながら着替えをしていたところです。
すると、ちょうど着替えが終わったタイミングで控室に父が入ってきます。
「おおメリエッダ、病で亡くなったわたしの妻、いやそれ以上に綺麗になったな」
「ありがとうございますお父様。今日という日を迎えられたのも、これまで育ててくれたお父様のおかげです」
「その言葉を聞けただけでもわたしは満足だよ。――さて、向こう方の妹君が訪ねてこられたからそちらにも挨拶をしなさい」
「はい、お父様」
「幸せになりなさい、メリエッダ」
振り返った父は、涙が入り混じったような声で祝福の言葉を残してから控室を出ていきました。
「失礼するわ」
しばらくしてから、私にはない気品にあふれた女性がやってまいりました。
例の妹御です。
「まずは結婚おめでとうメリエッダ。お兄様との結婚、心から祝福するわ」
「ありがとうございます。これも婚約のご挨拶に伺った際、ハルバード様と一緒になってご両親に口添えをしてくれたあなた様のおかげです」
「ちょっと、顔を上げなさいな。いい? アナタはこれから私の義姉になるのだから、そんな風にかしこまらなくてもいいのよ。むしろ伯爵家の妻として堂々としてくれないと困るわ」
オルレイン伯爵家の長女であるルアンナ様は、頭を下げた私に呆れたように声をかけます。
「そういうものなのですか。……分かりました、ではこれからよろしくお願いしますねルアンナ」
そうそうその調子よと上品に笑うルアンナの姿に、なんだか自分にも妹ができたみたいで嬉しくなりました。
上手くやっていけるか不安でしたが、これなら心配はいらないでしょう。
「ただね、二人の結婚がわたしのおかげってことだけは全面的に同意させてもらうわ。
「別れさせ屋?」
「な、なんでもないわ、こっちの話よ」
なにやら不穏な単語を耳にしましたが、ここは聞かなかったことにいたしましょう。
__________
少しでも本作を面白いと思っていただけたら、☆レビューやフォロー、応援などをしてもらえると嬉しいです。
特に最新話からの☆レビューはたとえ☆1つでもいただけますと、作品を更新するモチベーションに繋がりますのでまずはお気軽にしてもらえれば幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます