【声劇台本】骸と少女【サシ劇】

ゆる男

第1話骸と命

骸:はあ・・・私はもう終わりかもしれない


骸:このまま乾いた世界で孤独に生きるのか・・・ん?


少女:わー!なんだろーここ!不思議な匂いがする〜!


骸:おや?なぜこんなところに人間がいるんだ?


骸:お嬢ちゃん、こんなところにいたら危ないぞ?


少女:あ!やっと人に会えた!こんにちは!


骸:人って・・・私が人に見えるのか?私は骸骨だぞ?


少女:骸骨さん?どっちでもいいや


少女:骸骨さんは何してるの?


骸:私か?私はこの廃れた墓地に住んでいるただの骸だ


骸:もうこの墓地に来て500年になる


少女:ふーん500年かー


骸:おや?驚かないのかい?


少女:あー確かにすごい!500年も生きてたら骸骨になっちゃうよね


骸:そうだ、仲間が枯れてからもう300年は経つかな?


骸:お嬢ちゃんが久々のお客さんだ


骸:安心してくれ、人を襲ったりはしない


少女:骸骨さん優しいんだね


骸:優しいんじゃない、触れないだけだ


少女:なんで?


骸:遥か大昔にな、この廃れた墓地にお嬢ちゃんくらいの女の子が来たことがあったんだ


骸:名前は美麗(みれい)と言ったかな?


骸:私がその子に触れた途端、彼女は枯れてしまった・・・


少女:どうして枯れたの?


骸:私が触れてしまったからだ


骸:私が人間に触れると人間の命を奪うことになる


骸:そして、人間の命を貰って私たちは生きられるようになる


骸:人間の命は私の乾いた心を一瞬にして潤すことが出来るのだ


少女:じゃあ人の命貰うとどのくらい生きられるの?


骸:人間の命を貰うと1000年は生きられる


少女:えー!骸骨さん1000年も生きられるの!?すごーい!


骸:何も凄くはない、あと200年・・・仲間も居なくなってからは私の心も廃る一方だ


少女:お友達はなんで枯れちゃったの?


骸:私の仲間は少し荒れていてな


骸:沢山の人間たちの命を奪ってきた


骸:その時、突然仲間たちは枯れたのだ


骸:人間たちの命を貰いすぎて、逆に霊気を吸い取られたのだと


少女:・・・そんなこともあるんだね


骸:そう、あの時から私は一人ぼっちだ


少女:大丈夫だよ、骸骨さん、私が居るから


骸:ありがとう、ところでお嬢ちゃんはどうやってここまで来たの?


少女:起きたらここに居た


骸:そうか


少女:ねえ骸骨さん、私も、私が住んでる世界で一人ぼっちなんだ


少女:だからさ、骸骨さんと同じ!


骸:同じか、お嬢ちゃんは優しいね


少女:ううん、骸骨さんも大変だったね


少女:私も骸骨さんに会えてよかった!


骸:ま、待て!私には触れるな!


少女:え?あ、そっか!命あげることになっちゃうんだ


骸:そうだぞ、これ以上は私も人間の命は奪えない


少女:私の命はあとどれくらいだと思う?


骸:さあな、お嬢ちゃんの住んでる世界の平均寿命なんて知らないからな


少女:そうだよね・・・骸骨さんが知るはずないよね


骸:ん?どうしたんだい?お嬢ちゃん


少女:え?何でもないよ?


少女:そうだ、骸骨さん、お友達の証でこれあげる


少女:あ、触っちゃだめだと思うから投げるね


骸:おっと、なんだいこれは?


少女:これは亡くなったお母さんがくれただるまさんだよ


骸:だるま?


少女:うん!私が辛い時にこのだるまさんを見ていつも元気もらうの


骸:このだるまが何をするんだい?


少女:このだるまさん、不思議な力があります!


骸:ん?


少女:こうやって転がしてみて


骸:こ、こうか?


少女:ほら、起き上がる!


少女:骸骨さんが一人ぼっちでもこのだるまさんを見て立ち上がるんだよ


少女:私も何度も・・・何度もこのだるまさんを見て元気を貰ったんだよ


少女:・・・何度もね

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