第4話
お久しぶりです。
タイトルはお試しでハーメルンバージョンに変更しました。
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◆
「この学園での
人畜無害そうな顔で恐ろしい入学式の挨拶をする学園長の話を聞き流しながら会場内のネームドキャラを目に焼き付ける。
壇上の学園長に始まり肥満型のオネエポーズが様になっている保険医、厳つい教師陣とゲーム時代と変わらぬクラス割のせいで同じ列に座る
正直、見るだけでゲーム時代の
その中でも特に心を揺さぶる(悪い意味で)のが先ほど言い争っていた主人公と御令嬢だ。
「ねぇ、薊くん。なんかこの学園すっごく嫌な感じがするんだけど気の所為かな?」
そう言うのは隣に座る
それと来紅の言う「嫌な感じ」は断じて気の所為などではない。
「それは多分、学園を建てる時の人柱だな」
この
来紅は見習いとはいえ魔女になった事で突然、人柱の怨念を感じ取れるようになった事で驚いたのだろうがすぐに慣れるだろう。
「な〜んだ、なら大丈夫だね。もう気にしないようにしよっと」
……もう慣れたらしい。流石は魔女、逞しいにも程があるだろ。
おそらく師匠であるメリッサから人柱についての知識をある程度聞いており、それで危険度を判断したのだろうが、それにしても早い。
来紅が感じたであろう人柱の怨念は捧げた神や悪魔等が残さず消費する。奴等は基本的に全て平らげるのだから気にするだけ無駄だと。
そんな事よりも……
「ぁあん?」
「ぉおん? ですわ」
小声でメンチを切り合う主人公と悪役令嬢が問題だった。これは不味い、思ってた以上に二人が我慢強かった。あのまま殺し合いでもしててくれた方がまだマシだったぞ。
周囲は魔道具で空中に投影された昨年新入生の死体にどよめいているが、そんな事はどうでもいい。
転生直後ならともかく、『お菓子な魔女』を脱出した俺達には「あ〜はいはい」で終わる程度の衝撃だ。
そんなどうでもいい事より、なにかこの状況を打開する切っ掛けをくれ! このままバトルが始まれば今後の計画に支障をきたしてしまう。
「そこの君達は随分と余裕があるようですね。何かコツでもあるなら他の生徒さんに教えてあげて下さい」
そんな祈が通じたのか、学園長が式の開始から貼り付けている笑顔のまま言葉を投げ掛ける。
ヤンチャな生徒へのお灸を据えるための無茶振りなのだろうが、被害に合うのは主人公と悪役令嬢だ。ざまあみろ。
「
真顔で告げる来紅。
いや、お前じゃない。だから直ぐに座って解答権を主人公と悪役令嬢に譲ってくれ!
「な、なるほど、友のため覚悟を決めていると。私も大切な
来紅、君じゃない。大人しく座りなさい。学園長が戸惑っているだろう。
これで勢いを削がれたのか、学園長を含め誰も主人公と悪役令嬢に物申すことなく入学式は終わった。
◆学園長 side
「ふぅ、疲れましたね」
入学式が終わり、気苦労をした彼は学園長室で休憩する事にした。
と、言うのは表向きの話。
本当のところは全く別の部屋に癒やしを求めてやって来たのである。
学園長室の前で見送りと別れた彼は、自分以外に誰も知らない隠し魔法陣で、その場所へ来たのである。
「とは言え、私の負担は生徒達が有望である証ですからね。良しとしましょう」
そうして視線を巡らせれば、見慣れた豪華な内観に、磔にした元生徒達。
数百年の歴史を誇る学園で、創立から密かに集められた
「あの子達なら、いずれここへ辿り着けるでしょうね」
思い返すのは試験会場や入学式で目を付けた将来有望そうな生徒達。
この自室に飾るのは、自信が見込んだ生との中で、この
魔王亡き今、自信がその気になれば大概の事は叶ってしまう。故に、敢えて縛りを設ける事で生き甲斐たる趣味が作業に成り果てるのを避けているのだ。
そして、縛りの範囲内である生徒達が来た場合、生かさず殺さずで集めてきた。長い年月でコツコツと。
今年は特に当り年なのだ。心躍るなという方が無理な話と言える。
「ああ……その時が愉しみだ」
そうして学園長は……
否、学園内ダンジョンの
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※殉卒:
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