第19話
◆
「~♪~♪」
彼のお陰で、今日は人生最高の一日だ。
親友になってくれた事やプレゼントを贈ってくれた事だけではない。
一番重要なのは、それらに隠された
「薊くんも私と同じ気持ちだったんだね♪」
装飾のアイビー籠められた花言葉は『友情』『結婚』『不滅』なんかが有名だろう。勿論、これらも嬉しい。
まるで将来、結婚を約束してくれてるような気がして心が躍る。
しかし、それらの花言葉は、このアイビーという植物の本質を全く現していない。
一番重要なのは、たとえ枯れ果てても巻き付いた対象から決して離れない姿から名付けられた『
ただの『友情』や『結婚』では、いつか別れの時が来るかもしれないと不安になるが、これなら安心できる。
「ずっと一緒だよ」
プレゼントをチェーンから外し、指輪だけ取り外した私は左手の薬指に嵌めた。『死んでも離れない』指輪を『結婚』の象徴たる指に。
彼に嵌めて貰えるのは卒業してからだろうか? その日が待ち遠しい限りである。
「プロポーズは私からしよっと」
友達になる時も、親友になる時も、彼から言ってくれたのだ。男性からプロポーズしてもらう事に憧れはあるものの、そこまでしてもらっては自分の立つ瀬がない。
それに、もうプロポーズはして貰ったようなものなのだ。『死んでも離れない』という指輪が何よりの証拠である。
「私に勇気が出るまで待っててね。誰にも渡さないんだから♪」
そうして、
◆
「一難去ってまた一難か……」
いつも以上にドロっとしたコレは、来紅曰くスゴク体に良いポーションらしい。
「気を遣ってくれるのは嬉しいんだけどな」
どうやら、初めて会ったときにグロッキーだった事から来紅の中で俺は健康管理が疎かな人間にカテゴライズされたらしい。
どこかで血液は完全食だと聞いた事があるが、血液だと分かっているものを進んで飲みたくはない。特に、心臓実食のトラウマがある今のような時は。
「……飲むか」
トラウマがあろうが無かろうが飲まないという選択肢はない。それに、来紅には味の感想を聞かせてほしいと言われているのだ。
状況的にもそうだし、彼女の親友としても飲まないという選択肢は取れない。
「んっ、ごえっ」
口に含むとドロッとした舌触りと若干の鉄臭さ、それに何とも言えない独特のしょっぱさを感じた。一言で言うとかなり
以前に飲んだ時よりも粘度が高いのは
何とか吐き出すのを我慢して飲み込むも、胃が拒否反応を示すように警告を発し胃液を迫り上げる。
「きっつい」
前回トラウマを抉られた時の三倍、前世で二郎系ラーメンを初めて食べた時の百倍ダメージが大きい。
今にも風に揺られて飛ばされそうである。
「このコンディションでダンジョン行けるのか?」
いつものダンジョンである『血封の迷宮』は適正レベル的には問題ない。なんなら両手を縛っても軽く蹴散らせる敵しか出ないのだから。
しかし、あそこの固有モンスターである『ブラッド・スライム』は赤黒い粘液から内臓が透けて見えるのだ。思い出すだけで吐きそうである。
「……頑張るか」
『病みラビ』本編開始まで時間がないのだ。そうでなくともランダムイベントに巻き込まれれば、死あるのみである。無駄にできる時間など存在しない。
そうして、夜までゴロゴロした俺は重い足を引きずってダンジョンに向かった。
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