第21話

 クロハは一枚の絵画を主人公に見せて言う。

「一生かけても描けない絵があるんだと、思い知らされた。僕は君を描いても描いても、満足できない。それでも、ひとつだけ、これならできそうだと思う。一枚だけ、君の顔を描く。君が変わっていくたびに、一筆ずつ、愛を込めて、塗り替えていく。いつも隣に居られるわけじゃない。それでも、これから先の人生。画家として君を描いていく。ちがう。一言で言いたかった。好きだ。だから近くでずっと、描かせて欲しい」

 ギンカは顔を真っ赤にしながら、瞳もどこか濡れた宝石や花のような色にして泣きそうな顔で言う。

「見てくれるだけでいいんだ。この畑も、水晶も、今のみっともない髪色の俺も、顔も瞳も全部!全部愛して手を伸ばしてくれるなら、この世のすべてが君で、俺は君を力一杯抱きしめたくなる……」


だから。


愛してる


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