第15話

「コトハ」クロハが、さらさらとした黒髪を揺らして、こちらを見ずに問う。

「僕たちは似てるかな?」

「!」

ギンカとクロハは互いの片方ずつの手を少しずつ近づけて、指を控えめに重ねた。

「俺は銀髪。クロハは、きれいな顔に黒髪。」

「似てるよ、顔立ちというか、雰囲気も。わかる。でも、どうして?」

「確かに俺とクロハは兄弟で、きっと、どっちかがどっちかのおじいさんとか、おばあさんとか、どちらかの、だれかしらの、特徴を引き継いで、全然違う見た目で生まれた。当然みんな愛してくれた」

ギンカが教えてくれる。「でも」とクロハがさえぎった。

重ねた指に力を込めて、

「いつかだれかが言ったんだ」


ふたりを愛するものはこの世界のどこにもいない


呪いの言葉だった。その時から。

誰の愛も感じられなくなった。両親はとても心配してくれた。それでも確かに聞こえたのだ。


いつの日かふたりを愛する者が現れる


「真逆だと思った」クロハが言う。

「それでもふたりには聞こえてた」ギンカが言う。


そこから先は。秘密の生業で生計を立てて、故郷へは帰らずに。ただ。

どうやったらひとに愛されるか、愛してもらえるか。

気づいた時には、自分たち兄弟の親愛しか信じられなくなっていた。



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