奥
植生の豊かさが尋常じゃない。植物図鑑のような物もないし、これから少しずつ確かめて行く必要があるな。魔物の情報は豊富だが。
特に金になるか、ならないのか、うまいのか、まずいのか。
森の地図を作りながら、奥を探索していると、紫オーガが赤オーガ50匹を引き連れていた。
赤オーガは俺たちが昨日倒した。オークナイトより少し弱いぐらいだが、紫オーガはオークナイトの倍ぐらいの戦闘力がある。
「よし、やるか。ジャンヌ頼むぞ。」
ジャンヌは全力の一矢を紫オーガに放つがギリギリで腕に防がれた。腕には矢が刺さったから、矢に塗った麻痺毒は効いてるだろう。
俺たちに気づいた紫オーガは赤オーガ達に指示を出して、俺たちに赤オーガ達が襲い掛かる。
「よし、逃げながら、数を減らしていくぞ。」
それから、鬼ごっこをしながら、矢で赤オーガ達の数を減らしていく。
最終的には紫オーガだけになった。
「アリシア、スノウ。いつも通りにやれ。いい経験になる。」
アリシアとスノウが前衛で俺とジャンヌが矢でカバーに入る。
1時間は戦闘しただろう。長い時間をかけて紫オーガを殺した。
こいつらは金になるところはないが、討伐証明の耳とある程度の金と交換してもらえる。
今日は疲れたから、明日でいいだろう。耳切って死体は放置にしとこ。疲れてるし。毒も少量しか持ってないし。
「アリシアとスノウはどうだった。疲れたか?」
「もう、腕が上がりません。一撃一撃の力が尋常じゃありませんでした。」
〜私も魔力切れになりそうです。〜
二人に魔力回復ポーション飲ませた。
それから、耳を切って、今日はとりあえず帰ることにした。
昨日、狩ったオークナイトを料理して風呂入って、寝た。
翌日からは、森で採取した植物の効果の確認に一日使い、一応オーガの耳の換金もしといた。
それからは探索と狩りと金稼ぎの日々だ。
この街は漁師な装備がとにかく手に入る。値段は結構高いが。
熱帯雨林だからだろうか、雨がかなり降る。まずはスノウの装備を氷魔法特化の良質なミスリル装備と魔道具にして、雨の日に自分達より格上の相手をしばいといた。
特に、森のまあまあ奥に行ったところにある。大きい河は独壇場だ。
金にはならないが、ピラニアみたいな魔物を凍らせてレベリングできるし。
俺たちが食えなく金にならない死体はこの大河に捨てとけばいいしな。
しかも、大河には金になる魔物も山ほどいた。この森は俺たちに都合がいい。
そうして、半年ほどで俺とジャンヌは風魔法特化の装備、アリシアは身体強化特化装備で固めた。
アリシアも体が大人になった。身長は172cm、バストEカップぐらい。スノウより身長がデカくなるとは。
川の近くに拠点を何個も作って、そこで金稼ぎとレベリング、訓練に努めた。
だからだろうが、めんどくさい奴らに山ほど絡まれて、殺しては大河に死体を捨てる。装備はそのまま売った。
そうしていた俺たちにオークションの話が来た。冒険者ギルドの奥に呼ばれて。
「オークション?」
「そうだ。この町では月に一回オークションが開かれるんだよ。金さえあればなんでも買えるぞ。」
「なんでも?収納袋でもか?」
「容量の小さい物なら買えるかもな。毎回人気だから値段が相当跳ね上がるがな。」
「それでなんで俺たちにその話を?」
「あんたら相当金溜め込んでるんだろ。」
「それなりにな。」
「それに腕もたつ。うちの冒険者ギルドにいた雑魚ならともかく、腕利き達もいなくなってる。お前ら達だろ?」
「さあな。殺した奴の顔なんていちいち覚えていない。」
腕利きだろうが、森の中に事前に準備していた罠に引っ掛けて殺したし。
逃げることは容易いが、獲物を追って殺すのは難しいのだ。
「それはいいさ。バカがバカやっただけの話だからな。お前らに頼みたいのはオークションの護衛だよ。」
「護衛?」
「ああ。オークションの終わりに金で買えなかった物を襲って奪おうとする奴らがいるんだよ。それから守ってほしいんだよ。」
「遠慮しとく。どんな問題に巻き込まれるか分からん。大体俺以外の腕利きに頼めばいいだろ。」
「普通は冒険者にこんなこと頼まねえよ。今回は指名依頼なんだ。」
「指名依頼?俺たちにか?余計怪しいな。」
「そう言わずに会ってくれよ。交渉次第ではお前らの欲しい収納袋もくれるかもしれんぞ。」
「誰だよそれ。」
「この街の領主様だよ。」
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