変わり者の初老数学教師と、それをつい気にしてしまう『私』のお話。
学校を舞台にした現代ものの掌編です。
恋愛もの、と言ってしまうと語弊しかないのですけれど、胸にキュンとくる感じの幕引きにまんまと撃ち抜かれました。
若いころはさぞかし美形であったであろう、几帳面で小綺麗な感じの老紳士。好き……。
マイペースというか、「何を考えているのかわからない」と評されるような性格がまた素敵。
数学の先生ってそういうとこあるよね……というのはただの偏見なのですけれど、ちょうど学生の時お世話になった数学の先生がこんな感じだったので、とても「わかる〜!」と共感しながら読みました。
最後の展開、きっとそれ自体は特段なんてことないはずなのに、でもまんまと鷲掴みにされちゃったところが大好き。
主人公の落ち着いた語り口も含めて、静かなのに威力のあるお話でした。