第2話







 きのこヘアーにマル眼鏡をして今時な感じを出しているのが私の彼氏だ。

 服は当然のようにブランドもので固めているが、そこまで似合っていない。

 付き合ってみて分かったが、まあ結局は風な感じだけの人だった。

 そもそも転売で生きているような人間なんてそんなものだろう。

 

 

 今日も私は彼の手伝いである。

 行列に並ぶのが最近のデートみたいなものになっていた。

 

 

「今回は当たればデカい」



 そう彼は言っていたが私にはあまりよく分からないのだ。

 今日はこれからトレーディングカードを買うらしいが、どうしてこんなただの

 カードが何万円にもなるのかが理解出来ない。どうして発売前からそんな値段が

 ついているのかも意味がわからないから私なりに勉強中である。

 

 

「くっそ、ハズレだ。お前は? 」



「見て、わかんない」



「あ? まったくとろいなお前は。おお、何だよ当たってんじゃん! 」



 そして玩具屋さんに行って、カードがお金になった。

 いつから世界はこんな事になっていたのか? 私は今異世界に来ているのでは?

 とか考えてしまう。でも出来るなら悪役令嬢とかはやりたくないのだ。ただの

 お姫様でいいし、普通に王子様と結婚したい。

 

 

「寿司でも食いに行く? 」



 なんて彼が言うから私は頷くが、でもあのカードを買ったのは私だし、私のお金

 で買った訳だからそのお金は私のもののはずなのに……当然のように彼の財布に

 諭吉が入っていった。



 結局そういう人間なのだこの人は。

 

 

 だから私はこの人を転売する事にした。

 彼ををフリマサイトに登録するだけの簡単な手続きで、私にも出来た。

 動画の説明通りにしただけだったけど、どんどん値段が上がって行く。

 私が思っていたよりも彼の価値はあるようだ。

 

 

 そして私はけつあな確定ボタンを押した。

 

 

 

 







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