天才双子の異世界革命

御野影 未来

第1話

 みなさんこんにちは。双子の兄本宮優斗です。

 妹の美愛だよ!

 今僕達は2人で小説を書いているんだ。

 どんな話の内容かだって?

 それは、僕たちが住んでいるここではなく異世界という別の世界で魔法を使って暮らしている話なんだ。

 その世界では、火、風、水、土、光、闇、この6つの属性の魔法を使うことができるんだ。

 どう?かっこいいでしょ!

 その中でも、やっぱり魔法陣を使った魔法が一番すてきだと思うんだ。

 だから2人で毎日どんな魔法を出したいのかをイメージして魔法陣を描いているんだ。


 今日も美愛と一緒に魔法陣を描いているところなんだ。

 今日は移動手段となる転移の魔法陣を描いているところ。

まだ見ぬ世界の景色をイメージしてデザインしてるよ。

 下書きができたら筆を使って書いているんだ。

 ここは半径で埋めて、ここは草原をイメージ。そしてここに川をイメージして、最後にモンスターの顔を描こう。

 よし、もうすぐ完成するぞ!


 「「できた!」」


 小説を書く上で細かく設定を決めることはとても重要なんだ。プロットと言って登場人物の性格をまとめたり、話の内容をざっくりと決めてまとめたものを最初に作るんだ。


 「ゆうとー、みあー、ご飯の時間だよ」

 「「はーい」」

 17時くらいから描き始めていたのだが、いつのまにか19時を過ぎていた。


 今日の夜ご飯はハンバーグ。お母さんの料理で一番好きなんだ。お母さん特製のデミグラスソースによってハンバーグが一層美味しく感じられる。

 美愛もハンバーグが大好きで、口いっぱいに頬張って食べている。

 最後の一口を名残惜しそうに食べているのを見て改めてお母さんのハンバーグの素晴らしさを認識した。

 「「ごちそうさまー」」


 ご飯わ食べた後僕達はすぐに自分たちの部屋のある2階へと向かっていった。

 2階に登るといつもの廊下の電気とは違う青や緑の混ざった光が漂っていた。

 目を凝らしてよく見てみるとその光は僕達の部屋から生まれていた。

 美愛と2人で目を合わせ、覚悟を決めて部屋のドアを開けた。


 光の発生源が判明した。


 それは僕達の描いた魔法陣から止まることなく溢れていた。

 

 恐る恐る部屋の中に足を踏み入れると光はさらに増していき、目が開けられないほどとなった。

 目を閉じていても光が突き抜けてくる。

 やがて光が収まったのを感じて目を開けてみるとそこには変わらぬ僕達の部屋があった。

 僕達は光の発生源であったオリジナルの魔法陣を描いた紙を持ち上げてみたが、特に変わった様子はなかった。

 僕と美愛は2人で首を傾げ、何が起きたのかを考えてみたがわからないので部屋を観察することにした。


 するとどこからか、「ゔゔぅ」という低く威嚇するような獣の鳴き声が聞こえた。

 意を決して窓に近づき外を見てみると、そこには知らない世界が広がっていた。

 たくさんの樹木であたり一体は覆われており、草や花、木の実などが見える。そして緑色をした化け物が部屋のすぐ側まで近寄ってきており、鋭い目つきでこちらを見て声を出していた。

 

 僕と美愛は化け物を見た瞬間に危険だと思い、目を逸らした。

 2人はこの状況に対して分析を始めた。

 

 ここは平和とかけ離れた別の世界であること。


 原因は光の発生源である僕達の描いた魔法陣であること。


 僕達の知っている言葉で考えると、

「異世界」と言う場所なのではないのか。

 

 あの化け物達はいつ襲ってくるのかわからないので、早急に逃げる手段を見つけなければいけない。


 「みあ、確実に僕達はあの魔法陣によって別の世界に転移している。もしかしたら今まで描いてきた魔法陣も使えるかもしれない」


 「私もそう思ってた。今探しているところだから、少し見張ってて」


 僕は手で了解を示し再び窓の外に目を向けた。

 目で見える範囲で化け物は6体。

木の凸凹した棒を構えていてそのうち2体は盾のようなものも持っている。

 まだ襲ってくる様子はない。

 おそらく突然現れたこの物体に不審がっているのではないかと考えられる。


 2、3分が経った後、美愛がお目当ての魔法陣を見つけたという合図が送られてきた。


 僕もまだ敵は襲ってくる様子はないという情報を伝える。


 美愛が探し出した魔法陣は2人で呪文を唱えなければいけないもので、火を放つものであった。


 「「我らの問いに答えよ」」

 「闇夜を赤く照らし」

 「温かくその身を包み」

「「敵を焼き尽くせファイヤーボール!」」

 

 僕達は2人で手を繋ぎ、お互いの身体中に巡る魔力を合体させて、敵に放った。


 僕達の攻撃は一匹も逃すことなく敵を焼き尽くした。

 いや、もはや威力が強過ぎてあたり一体の木が燃え尽きて灰となっている。

 完全にやり過ぎてしまった。

 

 僕達は2人は本当に魔法陣を使って魔法を使えたことに驚いてしまったと同時に、あたり一体の木を吹き飛ばしてしまったことに戸惑いを感じて、しばらくの間放心状態となってしまった。


 燃えた火はやがて尽き、温められた空気は冷たい空気にかき消され、頬に冷たく乾いた空気が当たり現実に引き戻された。

 辺りはなんの生物も感じない静寂に包まれていた。


 僕と美愛は正気を取り戻し外の様子を詳細に確認するために部屋の外に出ることにした。念の為攻撃用の魔法陣を持ち警戒しながら窓の外に出てみた。

 化け物がいた辺りには燃え殻が残り、焦げた匂いが充満しており、鼻を刺激された。

 

 僕達の見える範囲には敵の気配を一切感じない。

 

 「みあ、sarchの魔法陣あったよね?それ一応使っておこう」


 「そう言うと思って持ってきたよ」


 「さすがみあ!」


 「我らの問いに応えよ」

 「生命に感謝し」

 「艶やかな妖の煌めきよ」

 「我らに悪しき気を抱く者を探せ」

 「serch」

 

 目の前に周辺のマップが映し出された。


 「近くには敵はいないみたいだね」


 「そうみたいだね。でも、この魔法思っていたよりも遠くまでは調べることができないみたい。魔法陣を改良する必要があるね」


 「じゃあ、ここの線を長くしてみるのはどう?」


 「試してみるか」


 「実験の始まりだ」

 

 



 

 




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