侵略者たち
ソードメニー
第1話 崩レタ平和
「帰ってきた、僕らの故郷に」
レイの言葉に、アンとドゥは頷く。三人は、都市の中心にあるシンボルタワーに向かう。女神こと霊界ウルトラの母アナスタシアに会うためである。
「いつ見ても綺麗だ、この塔は」
三人は、シンボルタワーに入り、中間の高さに位置するマザールームに到着する。そこは、傷ついた戦士を癒す場所で、アナスタシアが率先して行っている。
「アナスタシア様、ただ今戻りました」
「レイ、アン、ドゥ、お帰りなさい。疲れたでしょう。私が癒してあげましょう」
「いえ、それほど疲れていないのでお構いなく。私たちは長い間シン・ガイアにいたので、少し故郷を懐かしむため、見て回りたいと思います」
「そうですか。そういえば、都市の見回りを六使徒も行っています」
「六使徒というと、王直属の戦士シックスヘイブンですね。あの方たちは個人でもかなりの実力があります。何故集まっているのでしょう?」
「それは、直接ミズーリオに聞いてあげてください」
「ミズーリオ様もいらっしゃるのですか?」
「ええ。ちょうど今、このタワーの最上階にいると思います」
三人は、タワー最上階に向かう。そこには、霊界ウルトラにシンボルであり、エネルギーである人工太陽の光が保管されていた。一日に一回、ウルトラの王ゼウスと側近ミズーリオはここへ来るのだった。
「温かな光だ」
「そうですね」
「行こう。おや、君らは?」
三人は、振り返ったゼウスと会う。
「レイです。あとチームメイトのアン、ドゥです」
「おお!セブンの息子の!確かシン・ガイアにいたはずだが帰ってきたのだな」
「はい。それより王の方こそ戻られていたのですね」
「息子のグッドとラックのお陰でな」
ミズーリオが付け加えて言う。
「あとハデス様もです」
「そうだったな。ところで、ここへ何の用だ?」
「ミズーリオ様に用があるのです。アナスタシア様にここにいると聞きました」
「妻か。では、私は先に行っているぞ、ミズーリオ」
「はい。行かれた。それで私に何の用だ?」
「現在、六使徒が集まっていることについてお聞きしたいのです」
「その事か。話せば長くなる―」
ミズーリオは、三人に説明した。(『グッドとラックの夢旅行』)
「そんな事が・・・。では、今この星には、オリュンポス十二神、それから祖ガイア様がおられ、六使徒は挨拶に来ているのですね?」
「そういうことだ。ガイア様は霊界ウルトラの戦士がシン・ガイアを見守る今、真の平和な状態と仰られた。それもすべて義兄ハデス様の御力があっての事だ」
「全宇宙人を滅ぼしてしまうほどの暗黒物質を操る力ですね」
「ああ。かつて魔王と名乗っていた私なんか紙切れのようなものだ。真の魔王ハデス様に比べれば。そろそろ王の元に戻らねば」
「途中までお供いたします」
その頃、六使徒はオリュンポス十二神と別れの挨拶をしていた。
「もう行くのか?」
「はい。我々は王直属の戦士として宇宙の平和を守らなければなりません」
そこへ、ゼウスがやって来る。
「間に合った」
「息が切れているぞ」
「私も年だ」
六使徒が敬礼する。
「「行って参ります」」
「気を付けたまえ。この宇宙には乱暴な怪獣、それから悪事を企む宇宙人がいる」
「宇宙人はハデス様が滅ぼしてしまいましたが」
「そうだったな。もうこの世には極悪な宇宙人たちはいない。残るは、我らが生んでしまった怪獣のみ」
「残らず殲滅します!」
「頼んだぞ!」
「うぅ・・・」
ハデスが頭を押さえ、ふらつく。
「どうした、ハデス」
「分からぬ・・・突然めまいに襲われた」
「日頃の疲れが出たのだろう。マザールームで癒されるといい。私から妻に頼む」
「ああ。助かる」
六使徒が心配して見ている。
「すまない。仕切り直して頼んだぞ」
「「行って参ります」」
六使徒が出発し、ハデスとゼウスがマザールームに歩いた時、ハデスが倒れる。
「ハデス?大丈夫か」
「うう・・・何かが中から暴れ出す・・・まさか、奴らが・・・く、防ぎきれぬ」
次の瞬間、霊界ウルトラに一本の漆黒の柱が立ち昇る。漆黒の柱の近くから順に倒れていった建物が吸い込まれていく。
「ハデス!!しっかりしたまえ!」
「ウゥ・・・逃ゲロ・・・」
ハデスの目の色が変わる。異変に気付き、戻ってきた六使徒は倒れたゼウスを目撃する。
「ゼウス様!!」
「アルフレオ!後ろ!!」
振り向く間も無く、アルフレオが吹き飛ばされる。
「何をなさっているのですか、ハデス様!」
「明らかに様子がおかしい。ハデス様ではない何かが中にいる!」
「来るぞ!」
応戦したタイフーン、クェークも虚しくも力が及ばず、ハデスの強烈な回し蹴りによって倒れる。
「兄さん!行くぞ!」
「ラック!連携だ!」
グッドとラックが同時に放った光線は、ハデスが放った二匹の黒龍が囲んだ空間に吸い込まれる。その隙に、近距離に来たハデスの猛攻を受ける。
「く・・・」
「強い・・・」
倒れた2人を見てシードが叫ぶ。
「よくも、よくも!!」
駆け出したシードをハデスは迎え撃つ。シードが倒れ、ハデスは辺りを見回す。
「フハハハハ!コノ力ハ無敵ダ。暗黒物質、コノ力ハ無限大ダ!フハハハハ!」
王の元へ戻るため外へ出たミズーリオとレイたちは、漆黒の柱に気づく。
「あれは、一体?」
「急ぎましょう!」
漆黒の柱は周りのものを吸い込み、大きくなっていた。柱の外側は、ハデスからあふれた濃度の薄い暗黒物質のもやで、入ることができた。その中心部にハデスがいた。
「ハデス様!これは一体?」
ハデスはミズーリオを見た後、喉元を掴んだまま濃度の濃い柱の方に近づけた。
「我ラノ力ノ一部トナルノダ!」
「・・・その口調、メフィラスか?」
一瞬、ハデスが驚きの表情になる。
「サラバダ」
ハデスは柱に強く押し当て、ミズーリオは柱の中に吸い込まれていった。レイが叫ぶ。
「ミズーリオ様!」
「フハハハハ!我ラハ油断シテイタ。シカシ、我ラヲ滅ボスコトナド不可能ナノダ」
「お前たちは何者だ?」
「我ラハ宇宙ノ侵略者デアリ、ソノ意思ハ固イ。同ジ意思ヲ持ツ我ラガ集マリ、一ツノ集合体トシテ生マレ変ワッタ。ソノ名ハ“カオスインベイダー”」
「ハデス様の力を利用する為に集まったのか?」
「チガウ。ハデスノ力ノセイデ我ラハ集マッタ。ハデスガ自ラ招イタ結果ダ。フハハハハ!」
「そんな・・・」
「我ラハ侵略ヲスル。ソノ為ニ、コノ力ヲ利用サセテモラウ!」
「そうはさせない!」
「邪魔ヲスルナ!」
レイが地面に吹き飛ぶ。ハデスは柱の頂上に来る。
「マズハ我ラノ敵、ウルトラノ星ヲ暗黒ニ染メルトシヨウ」
ハデスが両手で四角い囲いを作る。その前方で、二匹の黒龍が四角い囲いを作る。ハデスが目を強く開き、暗黒物質を放つ。それは黒龍の囲いを通り抜け、より強い力になって霊界ウルトラを覆う。次の瞬間、そこには何もなくなる。
「フハハハハ!忌マワシイウルトラ戦士ガイナクナッタ!次ハ、ウルトラ戦士ガ大切ニシテイタ星、シン・ガイアヲ暗黒ニ染メルトシヨウ」
ハデスは時空の歪みでシン・ガイアに移動する。ハデスは、両手で四角い囲いを作る。その前方で、二匹の黒龍が四角い囲いを作る。ハデスが目を強く開き、暗黒物質を放つ。それは黒龍の囲いを通り抜け、より強い力になってシン・ガイアを覆う。次の瞬間、そこには何もなくなる。
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