八重&十八番《エース》 編
第50話 初めてのお使い ①
「じゃあ、
「あい、いってきゅるね。 おかあさん」
「うん、まかせて、おかあさん」
テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ テポ
七之助と栞の間に出来た双子は一緒に初めてのお使いに行くことに成った。
そう、例のテレビ番組を見て双子は、初めてのお使いを両親に値だったのだ。
双子は、それぞれの両親に似ていた、子供の頃の両親に。
姉の八重は七之助に、弟の十八番は栞の子供の頃にそっくりだった、性格が。
初めてのお使い、両親の七之助も栞も商店街に買い物に行く双子の後を追いて行きたい衝動に襲われたが、グッと我慢した。
追いて行ったのがバレたら、双子は しばらくの間は口を聞いてくれなくなることは、火を見るより明らかだったからだ。
「じゃあ、サファイア、タマ、ダイフクモチ、頼んだよ。
くれぐれも見つからないようにしてくれ 」
タヌキ娘やさくらは、追跡や隠密に不向きな為に選ばれた3匹の妖怪は張り切っていた。
「ボクは、この辺の猫たちに声をかけてくるから、追跡観察は ふたりに任せるからね 」
言うだけいうと駆け出していたサファイアを見て、
「足だけは引っ張らないでよね、駄犬 ! 」
「それは拙者のセリフでござる、駄狐 ! 」
いがみ合うように八重や十八番の後を追い掛ける二匹を見て不安に
「一反木綿、あの娘たちだけだと不安だから、空からウチの子供たちを見守ってくれるかい 」
七之助が頼むと、日向ぼっこからムクリと起き出して、
「へっ、任せておきな。 真打ちは最後に登場するってね ! 」
フワフワと飛び立つ一反木綿を見て、安心した七之助は栞を見ると、いつの間にか離れにある部屋へと向かっていた。
「おじいさん、たまには役に立ってくださいな。
ウチの八重と十八番が初めてのお使いに行ったので、護衛してください !」
離れの部屋から出て来たのは、妖怪の大将である『ぬらりひょん』だった。
いつの間にか七之助たちの家で家族と一緒に食事していた妖怪たちに交じっていたのだ。
何が気に入ったのか、そのまま住み着いた ぬらりひょんは、勝手知ったる人のうち とばかりに使っていなかった離れの部屋に住み着いたのだ。
「アイタッタッタッタ 、持病の腰痛と神経痛が !
すまないねぇ、栞さん。
年のせいか、今日は身体が動きそうに無いんだよ ! 」
見え透いた仮病を使う、ぬらりひょん。
しかし、
「報酬は、この2本の日本酒です。
どうしますか、おじいさん。
いらないなら、私の
栞は、抱えていた薄い紙に包まれた2本の日本酒を ぬらりひょんの前に置いた。
「なっ、それは
ムッ ムッ ムッ、急に身体の調子が良く成りましたぞ。
喜んで、
調子良く引き受けた ぬらりひょんの腕には、2本の日本酒が抱えられていた。
♟♝♞♜♚♛
公園の前を八重と十八番が通りかかるとアイスクリーム屋から、一人の女の子が飛び出してきた。
「 ヤエちゃん、エースくん、どこにあそびにいくの ?
まゆき もいっしょにいく ! 」
アイスクリーム屋の雪子の一人娘の
「まゆきはねぇ、エースくんの
「まってよぉー、おねえちゃん!」
遅れて小さな男の子が真雪の元に駆けていく途中で、
「アッ ! ヤエちゃんだぁー ! 」
テトテトと真雪から八重にターゲットを変えたのは、アイスクリーム屋の雪美の息子である
その様子をアイスクリーム屋の美人姉妹の雪子と雪美は
見ていた。
「あらあら、まあまあ、八重ちゃんと
「これで我が家は安泰ですね、姉さん 」
雪女たちの旦那様は誰なのかは姉妹しか知らない。
決して姿を表に出て来ないからだった。
♟♞♝♜♛♚
商店街に入り
「ちょっと待ちぃや、マユキ !
エースはウチの旦那に成る男や !
さっさと手を離さんかい ! 」
店の前を掃き掃除していた、火の車の看板娘の右京がホウキを投げ出して十八番の元に来て、空いている腕に抱きついた。
周りから見れば、両手に花の状況だが当の十八番は意味が解っていない。
ただの仲良しの友達だと思っているあたりは栞譲りの鈍さかも知れない。
子供たちが商店街を歩いている姿を見て商人たちは微笑ましい笑顔で見つめていた。
福岡田姉弟を誰の子が落とすのか、それが最近の商店街の話題だった。
八百屋に来ると父親の大江山
彼が経営しているホストクラブ『鬼岩城』のツマミを買いに来ていたのだ。
八重や十八番を見つけると末の息子を焚き付けた。
「ほら、ボヤボヤしていると大好きな八重を取られちゃうぞ、
夏鬼は、あわてて八重の元に行った。
そう、福岡田姉弟は父親に似て人外タラシだった。
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