第38話 幼馴染みは魔女 ! ④

【魔魅side】


 ところで、師匠たちは愚痴を言いに来たのだろうか ?


「そんな訳無いでしょう、バカ弟子 !

 アンタ、婚約者が居る相手に横恋慕しているんだって !

 妖界あやかしかいから魔法省に抗議が来たそうよ ! 」


 未紗みさ師匠って、ニュータイプ ?


「……アンタの顔に書いてあるのよ。

『 面倒な奴らが来たな』とね」


「いえいえ、けっして思っていませんよぉー 」


 妙に勘が良いから気をつけないと……


「今、『魔法省』と言いましたが、日本にあるんですか、師匠 ? 】


 アッコが不思議そうに聞いた。

 わたしだって初耳なんだから疑問に持つのは解るわね。


「見習い魔女のアンタ達は知らないのも無理は無いけど、あるのよ。

 一般には公開されて無い組織と云う物がね 」


 続けて彩子さいこ師匠が、


「現在の総理大臣 琵琶湖びわこ牡丹ぼたんが魔法省の大臣を兼任しているわよ。

 彼女も私達と同じ魔女なのよ、知らなかったでしょう 」


「「「ええーっ ! 」」」


 わたし達はビックリした。

 元・東京都知事で、日本初の女性総理大臣に成った人が魔女だったなんて !


 そう言えば、昔の都知事選挙で、ライバル候補を応援していた元・都知事の石頭いしあたま信太郎に『厚化粧の魔女』なんて言われていたのは本当だったんだ。


「とにかく、私達『白い魔法使いホワイト・ウィッチィズ』は略奪愛なんて認めないんだから、相手のことはあきらめなさい !」


「ウグゥ、師匠達だって一人の男性を取り合っていたクセにぃ~ 」


 思わず言い返してしまった。

 せっかくの優良物件を見つけたのにダメなんて納得いかないわ。


 ギロッ ! ×3


 師匠達が再び怒り始めてしまった。


「本当に腹が立つことに、私達は知らなかったのよ !

 アノ須々木野誠に騙されていたの !

 お付き合いをしているのは、自分一人だけだと信じていたのよ、私達は !

 滑稽こっけいでしょう、笑いたければ笑えばいいわ !

 笑った奴は…………」


 笑えるかぁー !

 笑ったら、確実にヤられるとわかっているのに !


「スミマセ~ン、師匠。

 白い魔法使いホワイト・ウィッチィズがあるなら、別の魔女も居るのですか ? 」


 でかした、モモ !

 話題を変えてしまうに限るからね。


「居るわよ、『やみの魔法使い、ダーク・ウィッチィズ』がね。

 代表格なのは、野党の嘘突気うそつき党の舌先したさき清子とか、鸞鳳らんぽう闇の魔法使いダーク・ウィッチィズよ 」


 しっ 知らなかったぁ~、意外と魔女が居るんだわ。


 益代ますよ師匠が、


「今日は注意と警告だけで無く、貴女達が正式に魔女見習いに成った証明書を渡しに来たのよ。

 ここには居ない、サリーこと神奈川早夕里さゆりは旧姓の夢乃島ゆめのしまからの変更届出が無かったから後で渡しておくわ。

 九十九里浜魔魅、大阪都おおさかと晶子あきこ、和歌山恵美めぐみ、神戸百代ももよ、前に出なさい ! 」


 わたし達は、それぞれ違う色の魔石の付いた指輪を貰った。

 そう、今時の魔女は魔法のステッキなどは使わない。

 この魔石の付いた指輪がステッキ替わりのブースターの役目を持つ。

 わたしの魔石は紫、アッコは緑、メグは赤、モモはピンク色だった。


「いい、良く聞いてね。

 この証明書を付けて無い魔女は、ノラ野良魔女として陰陽師に退治されても文句言えないから、付けていてね 」


「「「「陰陽師 ! 」」」 」


 陰陽師まで居たの、この21世紀の世の中に !


「ア~、一般的には知られていないけど、宮内庁に陰陽寮と云う組織があるわよ 」


 世の中知らないことで、いっぱいなんだ。


 ん ?

 ポジとネガが帰ってきた。

 助さんの様子を見に行かせていたのに、帰ってくるのが早すぎるわね。


「フェェェ~ン、恐かった、恐かったよ、マミ ! 」


「俺達は、とんでもない相手を敵に回す処だったんだぞ、マミ !

 本当、消滅するかと思ったよ 」


 ネガとポジが震えていた。


 二匹に聞くと、助さんや栞に味方している妖怪達に脅されたそうだ。


 猫魈に猫又、化け狸に妖狐…………日常は妖怪、吹き溜まりだった。

















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