第36話 幼馴染みは魔女 ! ②

【サファイアside】


 ア~ア、また タラシているよ、七之助 !

 魔女の家に行く栞ちゃん達を心配して来てみれば、魔女の使い魔をタラシていた七之助がいた。


「ブゥー 、お兄ちゃんのおひざはボクのモノなのにぃー !」


 一緒に追いてきた、さくらがヤキモチを焼いている。

 七之助……子供、それも女の子が生まれたら、絶対に甘やかすんだろうなぁ~。


 しかし魔女かぁ~。

 猫魈に成ってから初めて見たよ。

 長老の話しだと、30歳まで生娘きむすめで、先祖に魔女が居ると成ると聞いていたけど、本当に見ることに成るとは思わなかったよ。

 そういう意味では、栞ちゃんも危なかった訳だけど、栞ちゃんの先祖に魔女が居なかったからなのか、魔女に成ることが無かったから油断していた。


 まさか、結婚したマミが生娘だなんて、誰も予想出来ないと思うんだ。

 待てよ、そうするとトシオも魔法使いに成っているんじゃないだろうか !?


 なんてこった !

 ボクの猫生は波乱万丈に成ってしまうじゃないか !

 ボクは、田舎でのスローライフをしたいのに理不尽すぎる !


「サファイア、アノ女の人、お兄ちゃんを見る目が嫌なんだけど……」


 さくらに言われて、あらためてマミを見る……

 うん、流石は、さくらだね。

 七之助のことなら一番理解しているみたいだね。

 マミの目は、あきらかに七之助を値踏みしている。

 子供の頃の悪い癖が出なければ良いのだけど。

 マミの子供の頃のアダ名は『何でも欲しがるマミちゃん』として有名だったからなぁ~。


「ハァ~、仕方ないなぁ、栞ちゃんの為に一肌脱ぐか 」


「えっ ! サファイアは毛を刈っちゃうの ?

 まだ、寒くなる日があると思うよ 」


 さくらは、何をボケているのだろうか ?

 ボクに突っ込み役でもして欲しいのかな。

 でも、さくらは短気だから、間違って猫パンチをしたらウルサイだろうから詳しく聞いて見るか。


 ♟♞♝♜♛♚


【魔魅side】


 いいなぁ、いいなぁ、栞は。

 少し年上過ぎな気もするけど、優しい人が旦那様に成るなんてうらやましいわ。


 広島のオバサンスピーカーオバサンの話だと真面目で仕事も出きるようだし優良物件だと言っていた気がする。


 まだ、婚約しただけなんだから、わたしにもチャンスがあるかなぁ~。


 昔、子供の頃に遊んだ乙女ゲームを思い出した。


『恋のバトル・ロワイアルー真実の恋はひとつ、命短し恋せよ乙女、君は真実の愛を見つけられるかー』


 こと『恋・バト』は最後の最後まで油断出来なかった。

 なにせ、結婚式の最中に花婿がライバル娘に拐われるイベントが有ったくらいだからね。


 そう……恋はバトル・ロワイアルよ !

 栞には悪いけど、わたしも助さん七之助にアピールしても良いよね !

 わたしだって可哀想なんだから許されると思うの。


〖賛成だよ、マミ ! それでこそ魔女の醍醐味だね 〗


〖この男の人をマミがゲットしたら、わたし達も甘え放題な訳だから協力するわ !〗


 ポジとネガがテレパシーで話しかけてきた。

 どうやら、わたしの考えている事は筒抜けみたい。


〖それはそうよ、わたし達はマミの無意識から生まれた存在なんだから、言わばマミの分身なのよ 〗


〖そうそう、それな ! 〗


 ネガとポジには隠し事は出来ないわね。



 ♟♞♝♜♛♚


【サファイアside】



 ……さくらに事情を聞いて絶句した。

 いくら猛暑でエアコンが無いからとは云え、子猫だったさくらの毛を刈るなんて酷いよ、七之助 !


「 お兄ちゃんの毛を刈られた時、お兄ちゃんの鏡を見た時のボクの気持ちが解る、サファイア。

 てっきり他の猫だと思って威嚇してしまったボクの気持ち解る、サファイア ! 」


 あちゃー、さくらの地雷を踏み抜いてしまったじゃないかー !

 それもこれも七之助が悪い !

 後で、まとめて貸しを支払ってもらおう。

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