第8話 愛は地球を救う と言うらしいけど愛だけでは食べていけないよね ! ①


 栞さんに本屋に連絡電話をすると、やはり心配していたのか 直ぐに迎えに来ると言い出した。


「栞さんは、まだ若い独身女性なんだから、こんな冴えないオッサンと変なウワサに成っても困るでしょう。

 サファイアは、私が本屋さんに連れて行くから心配しないで待っていてくださいね 」


「申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

 サファイアが居なくなってから、祖母が非常にさみしがっているので助かります 」


 俺と栞さんの会話を聞いていたのか、サファイアが


かおりちゃんが心配しているなら、仕方ないや。

 今回は、オッチャンの顔を立てて帰ってあげるよ ! 」


 まっ まずい ! サファイアの声人としての声が栞さんに聞こえてしまう。


「あら、もしかして『ニャア ニャア』鳴いているのはサファイアかしら。

 あの娘が鳴いているなんて珍しいわ。

 よっぽど福岡田ふくおかださんのことが気にいったのね。

 実は、わたし達の前でもめったに鳴かないんですよ。

 本当に申し訳ありませんが、よろしくお願いしますね 」


 そう返事をして、栞さんとの会話が終わった。

 疑問に思った俺はサファイアに質問した。


「 ああ、それはね。

 ボク達、猫又や猫魈が認識した相手にしか人語を聞き取れないんだよ。

 オッチャンは、前にボク達の集会所に来たことが有ったけど、ボク達の会議の内容が聞き取れたかい ? 」


 そういえば、『ニャア ニャア』としか聞き取れなかったな。


「いいや、猫の鳴き声しか聞こえなかったよ 」


 サファイアが ニヤリと笑いながら、


「何処かのドジっ娘じゃ無いからボク達は、バレるようなヘマはしないよ ! 」


「へぇ~、前に俺がサファイアの後を追けた時には、気づかずに猫の集会所まで案内してくれたじゃないか 」


 俺が逆襲するとサファイアが、


「しっ 知ってて案内したに決まっているでしょう !

 ボク達、猫……ましてや猫又や猫魈のんだからね !

 ボクを追けて来たのがオッチャンだから、


『 追けてきているのはオッチャンかな。

 だったら大丈夫だろう。

 オッチャンは、猫たちに大人気だからね。

 秘密を知ってもペラペラとしゃべったりはしないだろう』


 と判断したのに…………しっかり、小説のネタにしちゃってるんだから、ボクの面目が駄々下がりだよ !

 あれだけ、

!』

 と、言ったのに書いているんだから呆れたよ !」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る