第2話 なんで私だけ

なんで、平凡な私の元に神様からの手紙が...

うわっ、内閣のハンコ押してある...

葵が恐る恐る手紙を開けようとすると、急に手紙が光り始めた。

手紙の中身は真っ白でなにも書かれていなかったがなぜか内容は頭に入ってきた。

とても不思議な感覚だったのを覚えている。


《あなたは神様の開催するゲームの出場者に選ばれました

今日から5日後の8月14日、正午にお迎えに参りますのでそれまでに叶えたい願いを1つ

招待したい人を1人選んでおいてください

選びたい人がいなければいないで構いません

ちなみに拒否権はありません

生きてさえいればどこへでもお迎えにまいります

それではよき暮らしを

神様にお願い♫統括委員会》


「う、嘘でしょ...」

なんで!?

なんで私なんかが!?

ピコン

え?

ピコンピコンピコンピコピコピコピコ

ええぇっ!?なになになに!?

スマホあっつっ!!!

いろんなSNSの通知がいっぱい来てる!?

あ、充電切れた。

なんだったんだ...

ま、まぁ今は学校に早く行こう。

ビックリして止まっちゃってたし。

葵はまたゆっくりと歩き出した。


学校に着くとなにやらいつもと様子が違う。

なにか...騒がしい。

それに大量の視線を感じる。

私のことを見てなにかヒソヒソ話してる...

私なにかしちゃった...?

「な、なぁ!お前"如月葵"だろ?」

靴箱で靴を履き替えていると話もしたことない男子に声をかけられた。

「えっ、は、はい」

「聞いたか!?やっぱそうだよ!コイツだよ!

なぁ!お前俺を選んでくれよっ!」

「おい抜けがけはずりーよ!如月!俺を選んでくれるよなっ!?」

えっ?なになに?どういうこと!?

なんで話もしたことない人達が話しかけてくるの!?

選ぶって何に!?

「ちょっとあんた達!如月さん困ってるじゃないの!

如月さん!説明したげる!こっちおいで!」

今度は女子が私の手を引っばってきた。

これまた話もしたことない子だ。

強引だが男子よりはいいかな。

私は強引な子について行くことにした。

「ごめんね如月さん、あいつらデリカシーが無いわよね!

あたし達は信用していいからね!」

私は一通りの少なそうな学校の端っこに連れてこられた。

強引な子はマキと名乗った。

取り巻きの子達はそれぞれユキ、サキ、アユミと紹介してくれた。

「如月さん、朝のニュースとかネットニュースは見た?」

「い、いえ...見てません、すいません...」

「やっぱりね、まあ口で説明するより見た方が早いわね

どうぞ」

マキが見せてきたスマホの画面には今朝見た手紙の内容が政府によって掲載されていた。

さらに、神様がユー○ューブで選んだ参加者を名前と顔写真付きで紹介している動画も公開されていた。

私の名前と顔写真が全国に晒されている...

何コレ...プライバシーの侵害なんてレベルじゃない...

しかも公開してるのは神様と日本政府だなんて...

葵はその場にへたり混んでしまった。

こんなに晒しあげられるなんて考えても見なかった。

「如月さん、大丈夫!私たちが守ってあげる!」

「えっ?」

「だって可哀想じゃない!こんなに全国に晒しあげられて!

如月さんの気持ちも考えないで!

最低よ!」

「マキさん...」

なんていい人なんだマキさん達...

「だからね...

8月13日まで私たちが如月さんを守れたら」

えっ、やめて

その先は言わないで

マキの顔がいやらしい笑みに変わっていく

「わたしたちのなかからひとりえらんでくれないかしらぁ?」

聞きたくなかった

私は走った

ずっとずっと走った。

後ろからは怒号が聞こえてくる。

人に言ったらいけない言葉も聞こえてくる。

いつの間にか女の声だけじゃなく、男の声も聞こえるようになってきた。

それだけじゃない。

鳴き声や叫び声まで混じってきた。

私は後ろで何が起こってるのか考えたくもなかった。

涙が止まらない...

足が痛い

お腹も痛い

転んだせいで膝から血が出てる

なんで私がこんな目にあうんだろう。

優しい人に会えたと思ったら裏切られた。

遠くから追いかけて来てる人たちを見たら友達が混ざってた。

味方、いないじゃん。

ぐぅ〜

お腹すいたな...

私このまま死ぬのかな...

「あれぇ?どしたの君?」

!?

見つかった!?

「あっ!ちがっ!」

ダメ!足がもう動かない...!


おわった...

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る