神様にお願い

@ririrere

第1話 神様のいる国、日本

《悪いことをするな、神様がみているぞ》

そんなの大人が子供をしつける為の戯言だと思っていた。

でも、神様は本当に存在した。


2034年、神様が日本に降臨した日。

その日から《日本》は神の国になった。

幸福度はブッチギリの1位。

住みたい国NO.1。

旅行したい国NO.1。

結婚するなら日本人が好ましい。

食べるなら日本料理。

神様の国なのだから当然、全てにおいて1位を独占している。

国債なんて神様が内閣総理大臣になって20分で消え去った。

神様の国が借金なんて有り得ない。

政府からすれば神様バンザイ、神様様々だ。

そう、政府からすれば..ね。

私たち一般人の暮らしは変わらない。

フツーのご飯を食べて、フツーに学校に行ってを繰り返す。

新鮮味なんてこれっぽっちもない。

これでいい、これが如月 葵の日常。

変わらない毎日、平凡が1番だ。




とある豪邸にて


豪邸の中にはスーツを着た偉そうな大人達とラフな格好をした金髪の若者が座って会議をしていた。

「...との見解です、神様はどうお考えでしょうか?」

《うーん、違うね

もっと緩いほうがいいかな》

「えっ」

《あ、聞いてなかった

ごめんね、なんだっけ》

「で、ではもう一度初めから説明させて頂きます

今、我々が直面している問題についてです

今回の議題は娯楽についてです

まず、我々がすべきこととし...」

あーながい。

なんでこんな回りくどい言い方するかな〜。

真面目くさってるのはさすが日本人って感じだけど。

要するに発展しすぎてほんとなにするのも楽だけどなにか刺激が足りないよー。

なにか楽しいことないかなー。

あ、神様総理なんだしなんかやってくださいよってことでしょ?

君ら先週も同じこと言ってたでしょ?

しつこいね。

ひとつの国を豊かにするとやっぱこうなっちゃうよな〜。

危惧してた通りだわコレ。

こんなんが国のお偉いさんなんだからそりゃ発展もしなかったわけだ。

「ということなのですが、神様

なにか良い案はないでしょうか?」

あ、話し終わってた。

また聞いてなかったって言ったらムスッとするんだろうなぁ。

言葉にしないくせに顔にはでるんだもんなぁ日本人。

まぁそんなところが可愛いんだけどさ。

《じゃあさ、ゲームしようよ

国民巻き込んで》

「ゲーム、ですか?」

《そう、ゲーム

その名も【神様にお願い♫】

参加者は僕が適当に選んだ24人+その24人がそれぞれ指名した24人の最大48人

最近流行りのバトロワ形式で最後の一人には僕からのご褒美として【なんでも願いを叶えてあげる券】をプレゼント!

どうかな?》

「いいですね!」「さすがは神様です!」「私共では到底及ばぬ尊いお考えです!」

《いや〜褒められると照れるねぇ》

「して、勝者はどうやって決めるのですか?」

《殺し合い》

会議室の空気が凍った。

あ、やっぱダメ?

じゃあいまのなs

「いいですね!殺し合い!やはり流血や暴力は大事ですよね!」

《え?》

「さすがです神様!」「さっそく国民の皆様に発表しましょう!」

「神様、やはり尊く崇高なお考えをお持ちのお方だ!」

嘘でしょ、もう考えることも放棄してるじゃん...

僕が甘やかして育てた結果がこれかぁ。

凹むなぁ。

まぁしょうがないか、とっさの思いつきだけどみんなやる気みたいだし。

最後の1人の願いがしょうもなかったらもう滅ぼそう。

それでいいや。


こうして、神様の思惑が裏に潜んだデスゲーム(仮)

【神様にお願い♫】の開催が決定され、正式に発表された。



神様内閣の発表から10日後...


「えっ」

葵の元には【神様にお願い♫】の招待状が届いていた。

グッバイ、日常。

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