第9話 創造主の本
最初の依頼を受けてから5日。
この5日間は毎日、イルと一緒にEランクの魔物を狩りに行った。
最初は、魔物を殺す事に戸惑っていたけど、今は慣れて来た。
どう剣を振り抜くと、魔物を即死させる事が出来るのかも少し掴めて来た。
少しでも苦しまないよう、介錯するために僕なりに考えたんだ。
魔法の訓練も頑張った。
今では水を圧縮して放つ事も出来るようになり、火もある程度自在に出せるようになっていた。
しかし…次元箱は難しい。
次元空間に箱を作る…これが中々想像できなくて苦戦していた。
その後の夜。
僕は一人で世界樹の自室でこの世界の創造主オルキルトさんの本を開いていた。
オルキルトさんの本は数十冊あって、殆どがこの世界を旅した日記になっていた。
メイ婆さんが見せてくれた脳豆が入ってたあの本は、文字化けの魔法か何かが付与されていたため。重要な事が書かれているのだと思い、常にメイ婆さんが次元箱に管理していたようだが、日記などはこの部屋の本棚にびっしりと詰まっていた。
最初の1と文字が書いてある本を手に取った。
表紙を開く。
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〇〇年〇月〇〇日
1.始まりの記録
私は、エルド・アトランティス国軍、第7中隊隊長、オルキルト・アーゲン・ラビリス、26歳。
このRBSを使用したのは、ボルドグル大尉が始まりで私で二人目だ。
私は、これを前使用者ボルドグル大尉から受け継いだ。
大尉は、この機械を使って脳28%まで覚醒に成功した、我が国で最強の人間と言っても良いだろう。
私はそれを継ぐべく、大尉が創った世界をリセット、新しく創造しここへ舞い降りた。私が創ったこの世界「アラウザルゲート」は子供の頃に遊んだゲームを元に私が創造した物だ。
この世界「アラウザルゲート」は地球同様、生きている存在。
ここで、私は身体を鍛え、RBSの力で脳を覚醒させ、未知なる力を得るのが目的だ。
魔物と戦い、脳の覚醒に対する身体を鍛え、私は何処まで成長する事が出来るのか、今から本当に楽しみだ。
ボルドグル大尉のように強い指導者になるために頑張らなければならない。
次の者に、私がRBSを託す事もあろうと思い、この記述を残そうと思う。
その者がリセットした時は、この書物も失われるだろうから問題はない。
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オルキルトさんで二人目だったんだ?…って事は僕で3人目か。
ひょっとしたら、架空の物語やゲームなどに出て来るエルフやドワーフなどの亜人種、魔物とかは、オルキルトさんが子供の頃遊んだゲームが、今の地球で架空の物として伝わったのかな?
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〇〇年〇月〇〇日
2.ブレインビーンズ
この世界に散らばったブレインビーンズを食す事で覚醒は始まる。
大体は、一つで1%だ。今の身体で摂取する事が出来そうなのは3個までと推定する。
なので・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇、世界樹の家の上、大きな二つに分かれている場所に、予備を置いておこうと思っている。
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ん?何だこの〇は?
注意書きかな?
世界樹の家の上?…この世界樹を昇れば何かあるのかな?
後から行ってみよう。
それから1冊目を読んで見たが。
僕と同じく、エルフの国から始まり。
明日、明るくなってから、世界樹の上を調べて見ようと思う。
◇
「おはよう」
「イロハ、今日は早いのぅ」
「イロハさんおはようございます」
自室の扉を開けると、2人は朝食の準備をしていた。
いつも僕より早く起きているけど、エルフって早起きなのかな?…それより…
「メイ婆さん。聞きたい事あるんだけど?」
「ん?なんだね?」
「オルキルトさんの本にこの世界樹の上に何かを置いてあるらしいんだけど」
「ああ…そういや、そんなのもあったっけかね?」
「知ってるの?」
「うむ。一応、あたいもその本は目を通したからの」
「で?何かあった?」
「白紙の本が一冊。世界樹の枝の間の穴に置いてあっただけじゃよ?」
「それはどうしたの?」
「そのまま戻しといたままじゃね。オルキルト様の本を移動させるわけにもいかんからな」
「そう…ちょっと行ってくる」
「なら外にある梯子を使えばいいさ」
「ありがとう」
世界樹の家を出て、脇に立てかけてある梯子を移動させて家の屋根にかけた。
梯子を上り始めた僕にイルが声を掛けて来た。
「イロハさん、大丈夫?」
「ああ。イル、大丈夫!」
屋根に上り、窪んでいる所を探して足をかけて登りだす。
二本の大きな枝の間って言ってたよな?…
どんどん枝を伝って登って行く。
えっと、あれか?
七羽は大きく二股になっている場所を見つけ更に登った。
二股の場所まで登って、周りを見ると人が普通に寝れるくらいの場所があった。
えっと…この辺なのかな?
周りをもう一度見渡すと、少し穴の開いた部分があった。
近づくとそこに一冊の本が挟まっていた。
これだな!
七羽はその本を穴から引っ張り出した。
本を持って戻ろうとすると結構高い所まで登ったのに気づいた。
「ふえー…本持ったままじゃ危ないかなこれ?…」
そう思っていた所。
「イロハさん大丈夫ですか?」
「あ、イル」
心配になって後を追って来たのはイルメイダだった。
「登ったは良いけどこれは…」
「だと思いました…」
「じゃあ、私にしっかり捕まって貰えますか?」
「え?何するの?」
「いいから腰に手をまわしてしっかり捕まってください!」
「あ…うん」
七羽はイルメイダの細い腰に手を回した。
「もっと強く!」
「は…はい」
ぎゅっと力を入れた。
「風の精霊、シルフィードよ。私達を纏いてゆっくりと地上へ降ろしてください…ハレ…ラー…ハイ…、ブツブツ…」
イルメイダはそう呪文のような物を唱えると。
ふわりとした風が僕らを包み込んだのがわかった。
「では、降りますよ!」
「うん!…うわ!」
イルメイダが体を宙に投げ出すと、ゆっくりと降下していった。
「凄い!浮いてる!?」
「はい!すぐに下に着きますから、しっかり捕まってて下さいね」
「う、うん」
暫くすると地面に二人は着地した。
「ありがとう風の精霊さん」
イルメイダがそうお礼を言うと同時に風がすっと消えて行った。
「今の…魔法?」
「魔法とは違います。これは精霊術です」
「精霊術?」
「はい!、それはそうと…もう、離しても大丈夫ですよ…イロハさん…」
「え?…あああ!ごめん!」
そう言われて焦って手を離した。
そ…そう言えば…女の子に抱き着いたのが初めてだった…
ど、どうしよ…
イルメイダも少し照れて俯き。
それを見て、七羽も顔を赤くするのだった。
2人は世界樹の家へ戻った。
そう言えば前に、イルメイダのステータスを見た時に、魔法とは別で精霊術って言うのがあったのを思い出した。
家へ入り、聞いた事だが精霊術とは魔法とはまったく別物らしい。
魔法は魔力を素にして具現化させる事を言い。
精霊術とは万物に宿る精霊たちの力を借りて、物事を起こす術式なんだそうだ。
それは半妖精の亜人種であるエルフだから出来る術だと聞いた。
その話を聞いた後、2人の目の前で持って来た本のページを捲った。
するとそこには。
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後書き。
先週はリアルが忙しく、投稿がおそくなりました…
今から夏真っ只中、熱中症には気を付けて、涼しい所で読んでくださいね。
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