第2話 門の中
眩い光に包まれた「
「うわあああ…何これ!」
星の光のような物が無数に見え。
徐々に明るくなり。
光を出るとそこは森の中に佇む家の前だった。
その家は大きな木と同化しており、奇妙な形をしていた。
庭には綺麗な花が咲いており、綺麗に掃除も行き届いている。
上を見上げると、鬱蒼とした森の中に太陽の光が無数に差し込み、幻想的な風景を醸し出していた。
ここは…どこだろう…あの置物の門の中なのか?…
カチャ。
目の前ある家の扉が開く。
「え!?」
「あ!…えっと…こんばんは…じゃない、こんにちは?かな…」
「貴方は…まさか!?お婆様ぁ!」
い、今のは…女の子。
一瞬見ただけだったけど…凄く、綺麗な女の子だった。
ここがあの門の置物の世界?…やはり生物…人がいたんだ。
とりあえず…情報が欲しい。
ここは何処なのか?この世界は何なのか?元の世界に戻れるのか?…
ガチャ。
扉が再び開き。
二人の女性が姿を現す。
1人は先ほど出て来た女性。
一般的、美人ちゃんとはこのことを言うのだろう、色白細身で髪色は綺麗な金髪、カラーコンタクトをしているのかと思うほど緑色の目を持ち、歳は僕と変わらなくらいかな?
もう一人は、杖を持ち高齢のように見えるが、同じ色白細身で髪色も同じく金髪だった。
そして、ある事に気付いた。
耳が尖っていた。
そうまるでファンタジー漫画で見たエルフのように。
「そなた…この世界の人ではないとお見受けするが?」
高齢の女性がそう言った。
言葉が分かる…
「ああ…はい、僕は別世界の人間だと思います…多分…」
「ふむ。名は何と言う?」
「
「イロハか…その姿では心苦しかろう。まずは中へ」
「え?…その姿?」
我に返り、自分の姿を確認すると…
Tシャツにボクサーパンツ姿だった。
「あああああああ!!」
そう、置物の声と光で目が覚めてベッドから起きたままの姿だったのだ。
◇
大きな木の家に招かれた僕は、老婆が用意してくれた服を着た。
少しぶかぶかでサイズで大きめだったけど、何とかそれを着てほっとした。
そりゃ、こんな美人な子の前であの姿は…ねぇ…
中に入ってみると、その大木の家の中は広かった。
椅子や机、食器に至るまで、殆どの物は木製だった。
木製のコップに水を女の子が注いでくれて3人はそこに座った。
「何から話そうかね…ああ、あたいはメイ・アーグラエル。この子はあたいの最初の孫のイルメイダ」
「イルメイダです。イルと呼んでください」
「はい…メイさんとイルさんですね、先ほど言いましたが僕は、宝杖七羽と言います…えっと英語的に言うとイロハ・ホウジョウなのかな?…イロハで良いです」
「ふむ。率直に聞くけど、イロハ、そなた…オルキルト・アーゲン・ラビリス様の末裔か何かかい?名前に似ている所はないが…」
あ、その名前…この世界を構築した前使用者の名前…
「ああ…いえ、身内ではないので関係ない…あ、いや関係なくはないと思いますって……」
なんて言えば良いんだコレ…
門の世界を作ったのはオルキルトって人なのは間違いないけど、今は自分が起動させちゃったわけだし…かと言って、この門世界の人にそれを理解出来るのかもわからないし…
「ふむ。なるほど…では、話の切り口を変えようかねぇ…」
メイと言う老婆は立ち上がり、空間の中に歪みを作った。
「!?」
僕は驚いた。
なんと空間の歪に手を突っ込み、出て来たのは分厚い古い本だった。
「驚いたかい?これは次元箱と言う能力さあ」
「次元箱……」
ゲームで言うアレか?インベントリボックスみたいなやつ…
それは便利だなあ…
「オルキルト様は、この世界の創造者。あたい達エルフ族にこの世界の理を託し、この世界を去った英雄でもあるのじゃよ」
「創造者…理を託して去った?…」
「あたいらアーグラエル家は、その理を守り続けていく義務を背負っておる、この世界の理を知る者は、アーグラエル家以外にはエルフの中でも数名しかおらぬ」
「じゃあ…この世界が門の世界って知っているって事ですか?」
少し、間が開いてメイは頷き、語りだした。
「ああ…この世界はオルキルト様が創造構築された世界。あたいらも作られた生物にすぎぬ事は知っている。そなたのような者がいつか来るかも知れないと言う事と、いきなりこの世界に終わりが来るかもしれない事もここには書いてある」
…いきなり世界が終わると言う事…つまりリセットされるって事か…
僕は引継ぎを選んだから、この世界の永続は決まったわけで…もし、リセットしていたらこの人達は何も言われずに消去されてたって事か…
「そなたが現れた事によりこの世界の安寧は、今しばらくは決まったような物じゃ…有難い話じゃよ…」
「ええ…そう…ですよね…」
ゲームだとしたら、この人達ってNPCって事なのかな?…
いや…そうは見えない、自分達がこの世界で造られた人だって事を知っている。
こんなちゃんと自我を持って話すNPCがいるわけがない…
「オルキルト様も慈悲深い方で、去る前に長寿エルフ族へこの理についての本と、次に来訪する者のための手助けをアーグラエル家へ残して行ったのよ」
老婆はまた立ち上がり空間からまた分厚い本を取り出した。
「あたいで7代目、その役割を引き継いでここまで生きて来たのじゃ、イルも触りは聞いた事はあるじゃろうが、ここまで話をした事はないから驚いておるじゃろう?」
「ええ…お婆様…そんな事実がこの世界に…」
「さ、イロハ、この本を…」
僕はメイさんからその本を受け取った。
表紙を捲るとびっしりと文字が書いてあった。
≪これを読む者よ、説明がいるかは分からないが最初から説明しよう。この工機具は「リモデリング・ブレイン・システム」通称「RBS」と言う物だ。≫
≪このRBSは、我が国「エルド・アトランティス」で制作された最高傑作の工機具である。オリハルコンを素に作られたRBSは、そう簡単に壊れる物ではない。≫
エルド・アトランティス…聞いた事あるぞ…
アトランティスと言えば古代栄華を誇って沈んだ国だったかな?…何かで読んだ事ある。
≪さて、先ずはこの世界に触れよう。我々は神と言われる者が銀河系を創造したように、それを模倣してこの門の世界を作った。この世界は言わば別次元に創造した世界だ。≫
≪我々を創造した神と言われる存在は、空間に惑星を造り地球を創造した。生き物が絶妙に育つように、そしてそれは今も宇宙と言う容量の空間を広げている。まだまだ何かを造り上げるように…。我々は神のように上手くは創造できないが一つの世界くらいは創造できた。それがこの世界だ、この世界も神が地球を造ったのと同様、作物や生き物が生まれ育ち、時間も経過していく。違うのはこの世界は広がる事はない。この地球に似た惑星の中だけの世界だ。≫
門の世界とは、古代文明アトランティス人が作った物…
普通に架空とされていたアトランティスが実在したって事か?
≪オルキルト・アーゲン・ラビリス、私が今回、創造した世界は使用者、つまり人間の脳を改造し、覚醒していく能力を秘めた世界だ。≫
≪RBSに血を吸わせ、遺伝子解析、その個人にこの世界の言語も適応し、起動する。これを読んでいると言う事は、私が創造した世界を引き継いだと言う事になるわけだ≫
それで、今、目の前にいるエルフ族の言語もわかるってわけか…
≪さて、ではRBSについて触れよう。この世界を冒険する事により、脳を覚醒させていく幾つかの試練を作ってある。≫
冒険?…試練?…
≪人間の脳と言うのは、10%前後しか使っていない。いや本当は行動する事によりそれ以上使っているのだが、潜在に眠っている力はもっとあるのだ。≫
≪先ず、常識と言う思考壁が人間の脳を眠らせている。その常識の壁を取り除き、活性化させ、RBSの力によって刺激を与えて行くといずれ100%引き出す事が可能になるだろう、最強の人間を作るシステムがRBSの目的である≫
≪この世界の住人は魔法と言う物が使える。それは人間に眠る潜在の一部でもある。≫
「魔法…」
「うむ。魔法とはこれのことじゃ」
メイと言う老婆は掌で炎を作り出し、それを躍らせる。
「うお!?火が出た!」
≪地球でも火を作りだしたり、物を動かしたり、気の流れで治療する人間はいるだろう?それが、脳の力を引き出す事によって生まれる潜在能力である≫
超能力って事か…確かにそんな能力持った人がいるって聞いた事はあるけど…
≪この世界を冒険する事で脳を解放へ導く工機具がこの「リモデリング・ブレイン・システム(RBS)」であるが、いきなりに脳を覚醒させると脳にも肉体にも悪影響がでるため、段階を経て覚醒させるシステムであって、ゲーム感覚で身体を強化できる≫
ほう…なるほど一気に脳を発達させるとおかしくなりそうだしね…
でも、脳を覚醒させると現実の世界でも魔法…いや超能力が使えるようになるって事なのか?…ふむふむ。
≪ただ、注意事項もある。この世界は生きている。この世界での死は、本当の死を意味する。ただのお遊びではないと言う事だ≫
「本当の死を意味する…のか…」
「ああ、そうさぁ。この世界には魔物がいる。死なんてこの世界では日常茶飯事の事さぁ…、この世界に住む人々はその魔物がいる環境で町を造り、汗水たらして生活している。イロハの世界は、あたい達は良く知らないが…それがこの世界「アラウザルゲート」さ」
メイ婆さんの、死と言う言葉に僕は少しぞっとした。
日本って言う法で守られた国で生まれ、何不自由なく生きて来た僕には、死ぬかもしれないと言う言葉は重く感じた。
先を読み進める。
≪この世界とRBSの話はここまで、後は自分で見て聞いて冒険をし、脳、肉体を作り上げると良い。死なない程度にな。そうすれば地球でも最強の人間となるだろう≫
≪次に、使用者には特別な力を最初から使えるようにしてやろう。この本の最後の方に一つブレインビーンズを入れてある。それを食す事により1%脳が覚醒するように出来ている≫
ビーンズって豆?…
最後のページを開くと、□に豆が入っている絵が描いてあった。
いや…絵ではない、紙なのにそこに空間があり、豆が入っている。
まるでアートトリックに嵌ってしまったかのようだったが、確かにそこに空間があり豆があるのだ。
それを七羽は取り出した。
じっと、少しその豆を眺めた後、元のページに戻る。
≪それを食べる事により、記憶力、洞察力、身体能力が強制的に向上するはずだ。それにより、見た生物や物を鑑定し数値化で目視できるようになるはずだ。それと使用者なら思い浮かぶだけで、今の自分自身のステータスなども分かる様にもなっている。使用者へ配慮プログラムとでも思って貰えればいい≫
「この豆を食べれば良いのかな…」
少し匂いを嗅いだ後に、恐る恐る口へ放り投げる。
あまり味はしない。
あまり噛まずに飲み込んだ。
その効果は直ぐに現れた。
頭がズキンと少し傷んだが、痛みはすぐに薄れて行った。
「え…何これ…」
一瞬、目眩に襲われたと思った次の瞬間。
感覚が研ぎ澄まされて行くのを実感したのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き。
まだいろいろと書きたい仕様があるのですが。
あまり難しく設定してもな…と思っていますw
さてさて、これからどうなるのでしょうか!
面白そうとでも少しでも思った方!
フォローと★、♡、などなど頂けるとやる気に繋がりますので宜しくお願い致します!
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