リモデリング・ブレイン~オーパーツに隠された秘密~
瑛輝
オーパーツの世界
第1話 オーパーツ
僕は、
元々小さい頃から小児喘息持ちで、病弱と言われて来た男子である。
高校生にもなると、それも落ち着いて、今では、ごく普通に高校生活を送っている。
今は爺ちゃんと婆ちゃんに引き取られて、普通の高校に通っている。
何故かって?
両親がいろいろと大人の事情で離婚し、どちらも引き取らなかったからだ。
僕が重荷だったのだろう。
まあ、親にもいろいろ事情もあるだろうし、親の人生にとやかく言うのもねえ…
僕は僕の与えられた人生を生きていくしかないと言うわけで…なんとなく、勉強や運動もそこそこで普通に育った17歳だ。
爺ちゃん、婆ちゃんにしては感謝している。
あまり頭の良くなかった僕は、私立の高校へ進学してしまったせいで金銭面で迷惑をかけていると思う。
スポーツ強豪のこの高校は、運動強者には授業料免除だが、取り柄のない生徒は勿論高額だ。そう、僕はそれに甘えてこの学校にいるわけで…
そう、いつか爺ちゃん達には大物になって孝行するつもり…の志は持っているつもり…
(ぼーっと考えながら窓の外の生徒を見ている
「と、言う事で、お前らは明日から始まる春休みが終われば、3年生だ。まだ、先を決めてないやつも数名いるが…ちゃんと決めておきなさい!では、今日はこれで終わりだ」
明日から春休み。
春休みか…ぐだぐだとバイトとゲームで過ごす日々が待っているんだなと思いながら下校。こんなんで将来何になりたいんだ僕は…
帰宅すると、丁度、トラックが家の前に停まっていた。
「お、
「ああ…はい」
運送業の人と一緒になって運び込みを手伝った。
◇
最後のダンボール箱を手に取り、トラック荷台から降りた。
「爺ちゃん、これで最後」
「ああ、ご苦労様。適当に置いておいてくれ」
邪魔にならなそうな所にダンボール箱を降ろした。
爺ちゃん、婆ちゃんの実家は骨董品と駄菓子をこの古い民家で営んでいる。
こうやって国内外から定期的に仕入れをしているようだった。
儲かっているのかよく分からないけど…
この間、店に置いてあった、ヨーロッパ中世時代の鎧とかもあったけど、無い所を見ると売れたんだろう…確か、50万って書いてあったけど…買う奴いるんだな…。
こうやって見ると大きな物から小さな小物までいろいろな物が置いてある。
意外に爺ちゃん達お金持ちだったりして…
な、わけないか?と、古くヒビの入っている我が家の店壁を見る。
ふと、見ると、今、運び込まれたダンボール箱の一つが開いていた。
チラっと見ると綺麗に整頓されて小物が入っていた。
「ん?」
一つの小物が気になり、取り出してみる。
「これは…洋酒かな?違う…か」
手に取った置物はずっしりと重みがあり、精巧に作られた禍々しい門のような物だった。
特にその門の部分の扉が開きそうでもなく、何処にも穴や動かせそうな物も見当たらなかった。
大きさは焼酎の五合瓶を3個並べたくらいの大きさで、材質は陶器のような…気もしたが、そうではなかった。初めて触る材質…見た目はツルツルしていそうに見えるが、触ると意外とザラついていた。
「ん?
「爺ちゃん。うん…なんか、この門みたいな置物、カッコイイなと思って…これ何?」
「それか?…」
「うん」
「ん~~わからん」
「え?…わかんない物を仕入れて来たの?」
ちょっと呆れ顔をする七羽。
「七羽よ。骨董と言うのはな。何が化けるか分からん商売よお」
「爺ちゃん、それは知ってるけどさ…」
「その門のような置物、何千万年も前の代物ともはたまた、オーパーツかもとも言われておる物よ!」
「オーパーツ?」
「そう、オーパーツは、それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる出土品や加工品などを指す物や、地球上に存在しない物質で出来ている物などの事を言うのじゃよ」
「へぇ‥‥オーパーツねぇ…で?これ幾らで買って来たの?」
「う~む、1万円くらいじゃったかの?いろいろな機械で鑑定を試みたらしいのじゃが、結局、どの時代の物かも、素材すらよく分からかったようじゃの、X線鑑定で中身も空洞でもなく素材の塊じゃったらしいし、価値としては置物と言うくらいじゃの…」
高いのか高くないのか分からない数字だった…
「気に入ったなら持ってっても良いぞい。飽きたら言い値で店に並べてくれれば良いからの」
「‥‥じゃあ、ちょっとカッコイイから、貰っていくね。僕の部屋に飾って置く」
「あいよ」
僕は気になるその門の置物を持って自分の部屋へ持って行った。
◇
夜になり食事を終え、自分の部屋でその置物をどこへ飾ろうか悩んでいた。
いろいろ悩んだ末、勉強机の上の本棚辺りに飾ろうと思い、乗せようとした瞬間、手を滑らせてしまった。
「あ!やば!」
ゴトン!
「痛!!!!ったあああああ!!!」
右手から滑り落ちた門の置物は、勉強机の上に支えるように置いていた左手の甲に落ち、
ドタドタ、バタン!
「なんじゃああ、今の声は!?」
爺ちゃんが僕の声を聞いて駆けつけて来た。
「痛った…いや、ごめん爺ちゃん、手の上に落とした時に寸前で手を引いて直撃は免れたからさ…」
「ふう…でも、血が出とるではないか…ちょっと待っとれ」
「あああ、大丈夫、大した事ないから、この部屋にも絆創膏くらいあるからさ」
「痛そうじゃのう…骨は折れとらんか?」
「うん、手を引いた時、鋭利な部分が当たって切れただけだから大丈夫」
「分かった…気を付けるんじゃぞ」
「うん、爺ちゃんありがとう」
「ふむ」
バタン。
爺ちゃんは心配そうな顔で扉を閉めて行ってしまった。
「痛ったあ…ほんとに骨折れてないよねこれ…絆創膏はどこだっけ?確か…この辺に…」
絆創膏を探している間に血が滴り、門の置物へヒタヒタと落ちる。
「あ~あ~あ…置物にも血が…あった!」
ハンカチで血を拭い大きめの絆創膏を傷に貼る。
「これで良し…と。置物も洗いに行かないと…あれ?」
門の置物を見ると、さっきまで血が付いていたのにその痕跡はなかった。
「ん??…おかしいな…さっき血が滴って汚れていたように見えたのに…」
首を傾げ、少し考える七羽。
まあ…良いか…汚れてなかったならそれはそれで。
七羽は置物を上の本棚ではなく。
勉強机の邪魔にならない場所へ置いた。
◇
深夜の刻。
七羽が寝ていると声が響いて来た。
『汝…』
『汝よ』
「んん~~~何?…誰?…」
就寝して間もなかったため、声で目が覚める七羽。
むくりと起き上がると、机の上で淡い光を放つ何かに気が付いた。
「え?…」
それは紛れもなく、あの禍々しい門の置物だった。
『汝よ』
「ぼ…僕ですか…?」
『そう。血の主よ』
「血の主…ああ、あの時の血の事かな…」
ベッドから起き上がり勉強机の椅子に座り、その淡く光る置物を見つめる。
「えっと…血の主って僕の事ですか?…」
『汝に問う』
「‥‥は…はい?」
『汝はこの門を使用し限界を超える覚悟はあるか?』
え?…何この質問。
限界って何の事だろう…?やっぱり門なんだ、でも何の門なんだろ…
「あの…限界を超えるってどう言う意味ですか?…」
『汝の血の分析完了。脳の平均覚醒率8%、限界を超える覚悟はあるか?』
「ちょ…一体何言ってんの?…」
脳の覚醒率?8%って…
この門の置物を使えば脳を覚醒出来るって事?
言ってる意味はそう言う事だよね?…
「脳…って事は、勉強が出来るようになるとかです…よね?」
『正』
「じゃあ…覚悟ありで」
『了、続いて。汝、前使用者「オルキルト・アーゲン・ラビリス」が作った世界は、約10000年前に設定。それを引き継ぐか?それともリセットするか?』
いやいや…全然意味が分からないぞ…
何の設定?引継ぎもクソも分からないんですけど…
「え~と…もし、それを引き継がなかったらどうなるんですか?」
『門の中の世界はリセットされ、その中に生きた生物、歴史などは抹消。最初から構築する事となる』
生物?歴史?…何それ…抹消って…今続いているゲームのような物をリセットするって事?…
オルキルト…何とかって人が最初に作った世界をリセット?最初から構築?…
いや…待て…よく分からないから最初から構築とかしたら、もっと分からなくなるかも知れない…とりあえずは。
「そのままで…」
『了。では新たな使用者「ホウジョウ・イロハ」血の盟約により門を解放、リモデリング・ブレイン・システムを起動』
「どどど…どうなるのこれ…」
門の置物は淡い光からまばゆい光を放ち始める。
大きく光った瞬間、門が開く。
七羽はその小さな門へ光と共に吸い込まれるのだった。
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後書き。
お読み頂きありがとうございます。
作者「瑛輝」の2作目の作品になります。
処女作「ブルースフィア~地球異世界ハーフの異世界スローライフ放浪録~」は沢山のファンに読まれ、一時なろうで130万PV、カクヨムでは27万PV突破しました。
本当に有難うございます。
リアルに少し暇が出来たので、ちょっと書いてみたい小説を書きます。
今回の作品は、ブルー・スフィアより、真面目にスローで正統派な冒険や人の生き様などを書いて行きたいと思うので。
序盤は、世界観を書かないといけませんので、チートでおもろい!とか、これは先が面白くなりそう!みたいな期待にはそぐわないかも知れません。
暇な時じっくりとゆっくり読んで頂けると幸いです。
ゲーム、漫画、SF、ファンタジー、異世界が好きな人向けにお届け出来たらよいと考えております。
プロではないので、沢山の誤字や、語彙など、おかしかったりしますがご了承くださいませ。
誹謗中傷など気分が悪くなるコメントなどは、削除かコメントも返しませんのでご了承ください…
では、宝杖七羽の体験をお楽しみくださいませ。
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