第2話 冒険の書




 一階の父の部屋の隠し部屋の本棚に、冒険の書は収まっていた。




 いいかい、凛太郎。

 この冒険の書はただの一度だけ、開くことができる。

 ただそれが、時期は決まっているけど、何才の時かは、わからない。

 私は十才だったが、おまえのおじいちゃんは四十才だった。

 自然と、呼ばれているような気がして、この冒険の書を開くと。

 そう。

 『霞月』国へと行ける。

 『霞月』国には不思議な動物が十二匹。いや、十三匹いるんだ。

 私たちは十二匹のその動物たちを集めなければいけない。

 その内の一匹は猫だよ。

 目が三つある黒猫。

 私たちと同じ場所にある二つの目と、額にある一つの目。

 この目は猫の気分で開いたり閉じたりするんだ。

 この猫と協力して不思議な動物を集めるんだ。

 え?うーん。そうだな。おまえの好きなアニメと同じようなことをするんだ。

 相棒の動物と協力して、時に戦って、時に遊んで、時に休んで、仲良くなりながら冒険をするんだ。

 ただし、アニメと違うのは期間が短いことだよ。

 黄金週間。

 つまり、『霞月』国を冒険できるのは、ゴールデンウイークの期間だけ。

 平日を挟んでいたらその平日も含まれるから。まあ、十日前後かな。

 え?短い?どうにかしてって?

 う~ん。お父さんにはどうしようもないなあ。

 う~んそうだなあ。

 凛太郎がどうしてももう少し長くいたいと思ったら、頼んでみるといい。

 え、誰にって。

 それはもちろん。










「そなた。本当に幻の十二月の動物たちを集めよと命じて大丈夫かのう?」

「お任せガッテン」












(2023.4.26)



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