そこかしこ

イヤホンを外したら

夜が耳から入って来ました

鼓膜を突き破って

頭の中をぐるぐるかき混ぜます

やがていっぱいになって

出口を探して夜が蠢きます

眼球がぽろっと取れて外に吹き出します

鼻からも口からも吹き出します

自分の頭蓋骨の形が

はっきりわかります

夜で満たされた頭では

羊も数えることができなくて

しばらく眠れそうにありません

そんなときは眠らなければいいんです

輪郭が夜に埋もれていく

縁がなくなった私の中身はドロドロとベッドに溶け出して

シーツのシミになるのです

そんな私がたくさんいるのです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る