第2話 ミリアの故郷
1週間後、夏樹たちは、ミリアの故郷がある村へとたどり着いた。村に着く頃には日が暮れていた。
村に入ると、そこには異様な光景が広がっていた。
「これは……」
夏樹は絶句する。
村は、魔女たちに支配されていた。
「ひどい……」
ミリアは顔を背ける。
村人たちは、まるで奴隷のように扱われている。畑仕事や、家事、さらには夜伽までさせられていたのだ。
村人たちが着ているのはボロ布のような服で、食事も最低限しか与えられていなかった。
「早く助けないと!!」
ミリアは怒りに震えながら叫ぶ。
「待て!!俺たちが行ってもどうにもならない」
夏樹はミリアを止める。
「どうして!?」
ミリアは夏樹に詰め寄る。
「お前が今行ったところで、奴らに捕まるだけだ」
夏樹は冷静に答える。
「だからって、このまま見て見ぬふりはできないよ!!」
「ミリア、落ち着いてください!!」
興奮して叫び続けるミリアを止めたのは、エリスだった。
「エリス……」
「あなたがここで感情的になっても、何も解決しないですよ」
エリスは優しくミリアに声をかけると、彼女はハッとした表情を浮かべ、落ち着きを取り戻す。
「ごめんなさい……」
「謝らなくていいです。それよりも……」
エリスは辺りを見渡す。
「はい……」
ミリアは暗い顔をしながら答える。
「ここも、私たちが暮らしていた場所と同じ運命を辿ることになります」
「えっ!?」
「どういうことですか?」
夏樹とセリアは同時に驚く。
「魔女たちの掟に縛られているんです」
「えっ?それじゃあ、俺が前にいた世界でも?」
夏樹の言葉に、エリスは静かにうなずく。
「はい。私達魔女は、男と関係を持ってはいけないのです。それが、たとえどんな理由があっても……だから、私たちは村を出て、ひっそりと暮らすしかないんですよ……」
「そんな……」
夏樹は絶句する。
「そんな決まりなんて、関係ないよ!!」
ミリアは叫ぶ。
「ミリア……」
「だって、私はずっと前から夏樹のことが好きだったんだもん!!でも、私の両親はそれを許さなかった。それで、家出してきたんだよ……」
「……」
夏樹は何も言わず、ミリアの話を聞く。
「ねぇ、お願い……夏樹、私と一緒に逃げよう!!」
ミリアは夏樹の手を握る。
「……悪いけど、それはできない」
夏樹の言葉に、ミリアはショックを受け、泣きそうになる。
「どうして!?」
「俺は、もう決めたから……」
夏樹は、自分の決意を口にする。
「夏樹?」
エリスは心配そうに声をかける。
「大丈夫だよ、エリス。俺は何があっても、君を守るよ」
夏樹の真剣な眼差しを見て、エリスは微笑む。
「ありがとうございます……。それじゃあ、行きましょう!!」
こうして、夏樹たちは村人たちを救うための旅を続けた。
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