第9話 新しいクラスメイト!

ざわざわ...


最初に目に入ったのフランスのジダンみたいな男だ、マジで似てる


(じ、ジダン!?)


一瞬戸惑ったぐらいに似てる

そんな彼が俺の方を見て互いに見つめ合う


10秒くらいは見つめあっていただろう

やっぱりあの人も俺の顔がジルーみたい(似てない)に見えていたのだろうか


「はいはい、静かにー!」


教卓に立つ先生が黒板に俺の名前を書く

多くの生徒が俺をまじまじと見る

俺はそのせいで目のやり場がない


そんな時ふと頭に浮かんだのは女神の言葉だ


”あなた以外にもいる”


もしかするとこの中にも俺のような境遇のやつがいるかもしれない

探してみる価値はあるだろう


「じゃあ自己紹介してくれる?」


髪に緑色のメッシュが入ったヤンキーみたいな女教師がそう俺に問う


「は、はい!」


俺は一歩前に出て軽く自己紹介した


「山宮俊輔です!趣味はサッカーを見ることで。好きなスポーツもサッカーです!」


ガタ!


言った瞬間クラスの数人の姿勢が変わる(もちろんジダン似の人も)


見るからに運動できそうな連中だ

これは確実にサッカー部の男たちだろう

この転校を機に俺も部活を始めるか

そしてエンバペやジルーみたいな超絶かっこいい選手になって女子にモテモテに...


ぐへへへへ....


勝手に妄想して、勝手に笑う俺の姿はさぞ不気味だっただろう


クラスの女子はやばいやつが来たと目が言っていた


俺はニヤニヤした状態で席に着く

奇跡的にもジダンそっくりの人と隣になった

俺が座ると早速話しかけてきた


「サッカーが好きなんだって?俺もだぜ」


「おお、同志よ...」


初日から仲良くなった彼と俺の席の後ろには北条さんが座った

彼女がそばにいるだけで安心度が違う

この学園生活”勝ったな”


1限目が始まるより先にジダン似の人が話しかけてきた


「よろしくな山宮、俺は黒野だ」


差し出された右手に自然と自分も手が出る


「よろしく!黒野君」


「君なんていらねえよ、黒野でいいぜ何なら下の名前でも…」


そう言いかけた瞬間に一限目の先生が来た


「お、話はまた後でな!サッカーについて色々話そうぜ!」


「いいね!」


そんな初日の半分もすぐに過ぎ

気付けばお昼だった

こんな学校って早かったっけ?と困惑しながら飯を食おうとすると

黒野が肩をたたいてきた


「俺サッカー部なんだけどさお前もどう?入らねえ?」


「いきなり来たねぇもちろんい…」


「お待ちください!」


その声に俺と黒野はビクッとした

北条さんが俺を心配そうな目で見ている


「ご主人様。私が知る限りサッカーと言うのはかなり激しく危険なスポーツだとい聞いております。例を挙げるならブラジル代表トッププレイヤーのネイマール選手ですらこれまでのキャリアの中で多くの怪我をされております。幸三様からもあまり危険な事はしないようにと仰せつかっております」


な、なにー!??????


俺には女神さまから与えられた圧倒的運動神経があるのに!!!


「いやいやいや北条さん!!サッカーは怪我なんて頻繁に起こるものじゃないよ!まして高校のサッカーなんてそこまでヤバいぶつかり合いじゃないよ!」


なんとしてでもサッカー部に入りたい俺は北条さんに懇願するが、それでもだめだと彼女は退かない

黒野も俺たちのやり取りを夫婦みたいだと言って笑っていた

そんな時後ろから声がした


「騒がしいクラスだなシュン殿」


え?


聞き覚えのあるその声の方を見ると、制服姿で腕の組む許嫁のミラさんがそこに立っていた…


俺はあまりの急展開に口が開いたままふさがらなかったのだ



























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