鬼ごっこ
Rotten flower
第1話
「お前、よくそこから動かないよな。」
それ以降、その子の言葉を聞かなくなった。「動かない」というより、「動けない」という日本語のほうが正しく、かつ、「動かない」という表現は僕の中で最も聞きたくない動詞が僕の耳に飛んでくることはその人の命の尽きということだ。
「鬼ごっこしようよ。」
僕の耳にその言葉が入ってきた。いや、わざと大声でいったのかもしれない。
「お前もやる?言わなかったら強制参加な。」
僕の口は動かない。いや、動かせないんだから参加するということは仕方ないだろう。
結果、鬼ごっこが始まってしまった。周りの参加者たちが走っている中、僕の足は地面にくっつけられたかのように動かない。
「俺が鬼になったらお前を捕まえてやるよ。」
いちいち煽ってくる言葉を投げかける参加者はまるで僕が彼らに悪いことをしたかのようだった。
「あ、捕まっちゃった〜。」
わざと動かないで僕の真似をする人もいた。そしてついに煽ってきたやつが捕まった。
あいつはゆっくりとこちら側に近づいてきた。こちら側に、こちら側にと。
「いや、お前動かないから捕まえるの楽だわ。」
僕の肌に彼の手が触れると同時に、彼は気絶した。その後、僕の頭から寄生虫が現れたかと思うと彼をどこかに運び込んでしまった。
鬼ごっこ Rotten flower @Rotten_flower
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