第28話
私はその後ミーナさんに気をつける事を教えてその日は一度帰ることになった。
「また、来てくれる?」
不安そうにするサラ様にもちろんと笑い答えるとホッとした笑顔を返してくれた。
私はまた来ると約束してサラ様の部屋を後にした。
外には警護の兵士が廊下の奥で待っていた。
指示通り部屋の近くにはいなかったようだ、彼らに案内されて私はローゼン王子やアーロン様が待つ部屋へと戻ってきた。
「「マリル」」
私の顔を見るなりアーロン様とローゼン王子が詰め寄ってきた。
「それでサラは!?」
「遅かったけど大丈夫?」
二人に同時に話しかけられて私は口をポカンと開けてしまう。
「お2人共、お嬢様が困っていますよ」
するとローゼン王子の執事さんが助け舟を出してくれた。
「す、すまない」
「マリルごめんよ」
二人は慌てて一歩下がった。
「いえ、アーロン様私は問題ないので大丈夫です。そしてローゼン王子、サラ様の事ですが……」
「ああ」
ローゼン王子は覚悟を決めたような顔で私を見つめる。
「サラ様の部屋にはしばらく近ずかないで下さい、出来るなら違う建物で暮らして欲しいです」
「そ、それってサラとはもう……」
ローゼン王子の顔がサーっと青くなる。
「いえ!サラ様が良くなるためにです。これからサラ様は厳しい生活を送ります、その為にローゼン王子が邪魔になってはいけませんから」
「そんな、僕では彼女の助けになれないのか?」
「王子、女の子は自分のかわいい姿を見せたいものです。王子の役目はありますから」
「なんだい!?なんでもやるよ」
自分にもできることがあると聞いてやる気を見せた。
「先程言うようにしばらくはサラ様には近づかないで下さい、でもサラ様とは毎日とは言いませんが手紙のやり取りなどしてください」
「手紙?」
「はい、サラ様はまたローゼン王子とお散歩をするのを目標に頑張るそです。ですからサラ様が挫けそうな時言葉で力になってあげて下さい」
「手紙……言葉、わかった!」
ローゼン王子はコクリと頷く。
「それと、サラ様に贈り物は控えて下さい」
「えっ!?」
ローゼン王子の驚く顔に言っといて良かったとホッとする。
「サラ様の為に贈り物をするのは良くなってからです。今はその贈り物が毒になる事もあるのです」
「毒!?」
「あっ!別に命に関わると言うことではありませんが、薬もつけ過ぎれば悪くなる事もあると言うことです」
「わ、わかった……」
ローゼン王子は残念そうに形を落として頷く。
サラ様になにかしてあげたい気持ちはわかる……ならと私は口を開いた。
「それなら花を一輪いつも手紙に添えてはどうでしょうか?いつかまたこの花を一緒に見たいなどサラ様のモチベーション……気持ちが高まるような事を書いてみたら……」
「花か……」
考え込むローゼン王子に慌てて注意する。
「花束とかはやめて下さいね!」
ローゼン王子の「え?」とした顔に頭を抱えてため息をついた。
「それと、少し王子の執事さんとお話してもいいでしょうか?」
「ザックスと?」
ローゼン王子が執事さんを見ると二人は顔を見合わせた。
「私は構いません」
ザックスさんはニコッと笑い私に合わせて膝をついてくれる。
「それは私には言えないことなのか?」
「サラ様がきっと言いたくないと思うので、私がサラ様の立場ならアーロン様には伝えて欲しくない事です」
「俺も?」
突然自分の事を言われてアーロン様も驚いている。
「俺はマリルのどんな事言われても驚かないし嫌いになんてならないよ」
アーロン様にいい笑顔で気を使わせてしまった。
「ありがとうございます。でも女の子は素敵な男の人に耳に入れたくない秘密があるもんなんです」
そう言うとアーロン様とローゼン王子は納得いかないのか顔を見合わせて眉をひそめていた。
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