第27話
「優しくゆっくりマッサージするように洗顔してください」
「はい!」
ミーナさんはサラ様の化粧を落とすとゆっくりと刺激しないように肌を洗う。
「上手です!さすが侍女さんですね」
「ありがとうございます!洗いましたらどうしたら?」
ミーナさんは色々な化粧品を持ってきた。
「これは?」
「ローゼン王子やサラ様の旦那様などが肌に効くと聞くと全て買ってきてくれて、全部試しましたが効果はなく」
残念そうにする。
「そりゃ一日で効果は出ませんよ、それにいっぱいつければいいってもんじゃないと思います」
私はひとつひとつ手に取ったり匂いを嗅いだりしてみた。
「これはさっぱりして良さそうですね」
1つつけてみるとスっと肌に馴染み刺激の少ないものがあった。
「それはヘチマから取った化粧水と聞きました」
「ヘチマ!それはいいですね!これからは洗顔後はヘチマ水を顔につけるようにしてください」
「はい!」
ミーナさんがヘチマ水をつけた。
「マリルさん、化粧で隠してはダメなの?」
サラ様は肌があらわになって不安そうにしている。
「ダメです!化粧は毛穴を埋めてさらにニキビができやすくなります。落ち着くまで化粧は禁止です!」
「うー」
「それとこの部屋もダメ!見られたくないのはわかりますがなんでみんな閉じこもるかな……」
「こんな姿、誰にも見られたく無いもの」
サラ様は小さい肩をさらに縮めた。
「そう……ですね。特に好きな人なんかには見られたくないですよね。ですがこれからはカーテンを開けて部屋も清潔に保って下さい。ローゼン王子にはしばらく部屋には近づかないように言っておきます」
「えぇ……」
サラ様は悲しそう眉を下げた。
「ローゼン王子とは手紙のやり取りなどしてみたらどうですか?それなら顔は見れなくても繋がっていられます」
「お嬢様!私が届けますよ」
ミーナさんがドンッ!と胸を叩いた。
「そうね、良くなるなら頑張るわ」
「その意気です!あとは……」
「まだ問題が?」
私が話を続けると二人は驚いた顔をする。
「問題大ありです!まずは食事も変えて下さい、油っぽいものや甘い物はしばらく禁止です」
「そんな……」
サラ様は絶望した顔をする。
「それと髪も常に縛って顔を出して下さい」
「や、やだ!」
サラ様の髪は長く前髪も伸びて顔を隠している。
痕を見られたくなくて髪で隠すのはわかるがこれがまた良くない!
ミーナさんに言って前髪は切るように頼んだ。
「食事もしばらくは野菜中心にして栄養をしっかりと取って下さい。あとサラ様お通じの方はどうですか?」
「え!?」
いきなりそんなことを聞かれてサラ様が戸惑う。
「毎日ちゃんと出てますか?」
「あっ……その……」
恥ずかしがって言おうとしない。
「排便は生きてるなら当たり前の事です!私は毎日ちゃんと出てますよ、ミーナさんはどうですか?」
私はミーナさんに質問した。
ミーナさんは一瞬驚き答えを渋るが覚悟を決めたように答える。
「わ、私も毎日出ております!」
顔を赤くして答えてくれた。
「ですよね!」
私は笑って次はサラ様だと顔を向けた。
するとサラ様は顔を隠しながら小さい声で答えた。
「わ、私は……毎日なんて出ません……3日……いえ4日に1回くらい……」
ボソッと答えてくれた。
「やっぱり……便秘もニキビの原因のひとつですよ。ミーナさん、食事は食物繊維多めでお願いします」
「食物……せんい?」
「キノコやゴボウ、さつまいもやレンコンなどがいいですね、必ず毎食入るようにしてください」
「は、はい!」
ミーナさんは頷いた。
「あとはビタミン……だから、ピーマンやブロッコリー、ニンジン、オレンジなど色の濃い野菜もおすすめです」
「色の濃い……わかりました!」
「ピーマン……は嫌いなの」
サラ様がピーマンときいて嫌そうな顔をする。
「ピーマンも料理法によっては美味しいですよ」
そうかしら?
とサラ様は嫌そうに眉をひそめた。
その顔が先程より明るく見えて思わず笑う。
「サラ様、ストレスもニキビには大敵です。ですから悩まずに楽しい事を考えるようにしてください」
「楽しい……なんて無いもの、この顔では外にも出れない」
また顔が沈んでしまう。
「なら、治ったら何がしたいか考えて下さい。それを目標に頑張りましょう!」
「何が……私はまたローゼン王様とお散歩がしたいわ」
ポッと頬を赤らめた。
「きっと出来ます」
私はサラ様の手を握りニコッと微笑んだ。
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