「私の子供は、絶対に姉さんに近づけさせないことにするわ」
「今日はお邪魔したわね」
レナは笑顔で言った。
「いえいえ、いつでも歓迎ですよ。アリシアも喜んでいるでしょう」
セイレンは優しく言った。
「ふん、別に喜んでなんかないわよ。姉さんは私のことをからかうだけだし」
アリシアは不機嫌そうに言った。
「そんなことないわよ。私はアリシアのことを大切に思ってるの。だから、セイレン君と仲良くしてほしいのよ」
レナは優しく言った。
「仲良くしてるじゃない。私たちはパートナーなんだから」
アリシアは強弁した。
「パートナーだけじゃ足りないわよ。もっと深い関係にならなきゃ」
レナは意味深に言った。
「深い関係って何よ。私たちは戦友であり、エデンヤードの領主であり、それ以上でもそれ以下でもないのよ」
アリシアは頑固に言った。
レナはアリシアを真剣な眼差しで見て、言った。
「アリシア、あなたはわかっていないのね。あなたとセイレン君は、ただのパートナーではなく、魔族と人族をつなぐとても大切な絆を担っているのよ。あなたたちの関係が良好であれば、エデンヤードの平和も保たれるし、両国の信頼も深まるのよ。だから、もっとセイレン君に心を開いて、愛情を示してあげなさい」
レナは真面目にアリシアに諭した。アリシアも真剣な顔で話を聞いた。
「それに、アリシア。あなたとセイレン君の間にもやがて子供が生まれるでしょう。その子供は、魔族と人族の間の平和を象徴する子となるのよ。あなたたちの愛の結晶だから、きっと素晴らしい子に育つわ。だから、その子にも幸せな家庭を見せてあげなさい。セイレン君と仲良くして、笑顔でいてあげなさい」
レナは優しく微笑んでアリシアに言った。アリシアはレナの言葉に少し動揺したが、かすかに頷いた。
「分かった」
「あなたとセイレン君の間には、男の子が良いと思うのよ。魔族と人族の血を引く強くて優しい王子様になるわ。あなたたちの子供だから、きっと素直で勇敢で賢い子に育つわ。だから、その子にはしっかりとした甲斐性を教えてあげなさい。セイレン君のように、人を守ることや尊重することを知っている男に育ててあげなさい」
レナは真剣にアリシアに話した。アリシアはレナの言葉に驚いたが、少し照れくさそうに笑った。
「そうね」
「それから、アリシア。その男の子が立派に育ったら、他の女の子と仲良くなる前に、すぐに私のところへ連れてきなさい。彼に色々と教えてあげるわ。恋愛や結婚や家庭についてね。私はあなたたちよりも経験豊富だから、彼には良いアドバイスができるわ。彼が幸せな恋をするためには、私の指導が必要なのよ」
レナは真面目にアリシアに話した。
「んんん?」
「そうしてその男の子に指導をした後、私は彼に夢中になり、彼も私の虜になるわ。彼は私の理想のタイプだから、私は彼に一目惚れするわ。あなたたちの子供だから、きっと私にぴったりの男に育つわ。だから、その子には私のことを好きになってもらうために、色々と努力してあげなさい。セイレン君のように、女性を魅了することや満足させることを知っている男に育ててあげなさい」
レナは真剣にアリシアに話した。
「ほう」
「結婚式にはぜひ来てね?」
「私の子供は、絶対に姉さんに近づけさせないことにするわ」
レナはイシュタラへ帰っていった。
「どっと疲れたわ」
アリシアはソファーに倒れ込んだ。
「お疲れ様、アリシア」
セイレンが彼女の隣に座った。彼は優しく彼女の頭を撫でた。
「ありがとう、セイレン」
アリシアは彼の胸に顔を埋めた。彼女は彼の温かさに安心した。
「私の子供かあ」
アリシアは無意識にぽつりと言った。
「どんな子供が欲しい?」
セイレンが尋ねた。
「え? なに言ってるの?」
アリシアは顔を上げた。彼女はセイレンの顔を見て驚いた。
「いや、ただの話だよ。もし、僕と君が子供を作ったら、どんな子供が生まれるかなって」
セイレンは笑った。
「そんなこと考えたこともないわ」
アリシアは赤くなった。彼女はセイレンの胸に顔を戻した。
「考えてみようよ。僕は君に似た子供が欲しいな。銀色の髪に紫色の瞳。呪詛力も強くて、でも優しくて」
セイレンは夢見るように言った。
「そんな子供が生まれたら、私はどうするの?」
アリシアは不安げに言った。
「どうするって、愛情を注ぐだけだよ。君は素晴らしい母親になると思うよ」
セイレンは優しく言った。
「本当? 私は母親に向いてると思う?」
アリシアは目を輝かせた。
「もちろん。君は強くて美しくて賢くて、でも可愛くて甘えん坊で」
セイレンはアリシアに微笑みながら言った。
「でも、私の子供について考えるのは、まだ遠い未来の話よ。今は、エデンヤードの平和を守ることが先決だし」
アリシアはそう言って、セイレンの腕を握った。
「そもそも、私、あなたと一緒になるとも一言も言ってないんだけど」
「まあ、それはそう遠くない未来の話だから」
「それもまだ先の話よ」
セイレンはアリシアの言葉に苦笑した。
「そうかな?僕は君と一緒になるのは、もう決まってると思ってたけど」
彼はアリシアの頭を撫でた。
「何を勝手に決めてるのよ。私はまだ何も決めてないわ」
アリシアはセイレンの手を払った。
「私は魔王だったんだから、人族の元国王と結ばれるなんて、簡単にはいかないのよ」
「そんなこと言わないでよ。君はもう魔王じゃないし、僕も国王じゃない。今はただ、エデンヤードの共同領主で、仲良く暮らしてる二人だよ」
セイレンはアリシアの肩に手を回した。
「それに、君は僕を好きでいてくれるし」
「私があなたを好きだなんて、そんなこと言ってないわ」
アリシアは顔を赤くして言った。
「言わなくても分かるよ。君が僕に抱きついたり、キスしたり、甘えたりするときの顔は、とても幸せそうだから」
セイレンは優しく言った。
「そんなこと、しないわ」
アリシアは否定したが、セイレンの胸に顔を埋めた。
「嘘つき。今もしてるじゃないか」
セイレンは笑った。
「君は僕のことが大好きだし、僕も君のことが大好きだ。だから、一緒になろうよ」
「……ふん」
アリシアは返事をしなかったが、セイレンの腕を強く抱きしめた。
「それでいいのかな?」
セイレンは幸せそうに言った。
「……うるさいわね」
アリシアは小さく言って、セイレンに微笑みかけた。
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