第30話 告白と同棲
「ふぅ、美味しかったね」
「ああ、美味しかった」
「また、一緒に作ろうねっ」
「うん。俺も料理を作る楽しさを知れた気がするよ」
「それなら良かった」
カレーライスを食べ終えた俺とサリナはソファでくつろぎながらまったりと時間を過ごしていた。
この時間はとても幸せな時間に感じる。
この時間がこれからもずっと続けばいいな。
「俺はサリナと一緒にいるときが一番幸せみたいだ」
「……えっ!?」
サリナは俺の発言に驚いたようで目を大きく見開き、俺を見つめていた。
その表情を見て俺はようやく自分がどういう発言したのか気付き、急に恥ずかしくなり顔が熱くなってしまう。
「あっ、いや、今のは……」
「もしかして、冗談……?」
「い、いや、本当に思ってること」
「そ、そっか、嬉しい。ユウくんもそう思ってくれてたんだね」
「サリナも?」
「うん。私もユウくんといる時間が一番幸せだよ」
俺たちはお互いに頬を赤らめながら照れていた。
サリナも俺と一緒にいる時間に幸せを感じてくれていたということを知って俺はさらに嬉しくなった。
突然、サリナが足をもじもじさせながら上目遣いで俺のことを見てくる。
「サリナ、どうした?」
「あのさ、一つ提案というかお願いがあるんだけどさ」
「うん?」
「もしよかったら、一緒に暮らさない?」
ん……?
え……?
俺の聞き間違いか?
サリナは今、俺に一緒に暮らさないか聞いてきたのか?
俺の頭は困惑していた。理解が追い付かなくて俺の頭は今にもショートしてしまいそうだった。
「え、サリナ、一緒に暮らさない? って言った?」
「うん、言ったよ」
「聞き間違いじゃなかったのか。サリナは本当に良いのか?」
「もちろん! 嫌だったらそもそもお願いしてないよ」
サリナが良いなら俺が断る理由はない。
だけど、一緒に暮らすなら一つだけ伝えておかないといけないことがある。
俺がサリナと出会ってからそこまで長い時間が経っているわけではないが、一緒にいるうちにサリナの人柄の良さなどに段々と惹かれていった。
そして、いつの間にか俺はサリナのことが好きになっていた。
家で一人の時もサリナのことを考えることが多くなった。
俺がサリナと一緒に暮らすにしても、俺のこの想いを隠し通しながら暮らすのはサリナに対して失礼な気がする。だから、俺は今、この想いをサリナに伝えなければならない。
一度、深呼吸をしてから心を落ち着かせる。
「サリナ、一つだけ伝えないといけないことがある。それを聞いてから、本当に俺と一緒に暮らすか決めてほしい」
「え、うん……」
「俺は……サリナのことが好きだ!」
「うん! 私もユウくんのことが好きだよ!」
あれ?
予想外の反応過ぎるんだけど。
サリナの言う「好き」と、俺の言う「好き」の意味合いが違ったりしない?
俺は慌ててどういう意味で好きなのか伝える。
「恋愛的な意味の好きだよ?」
「うん! 私の好きも恋愛的な意味だよ?」
「え、あ、本当に?」
「うん!」
「それじゃあ、俺と付き合ってくれるってこと?」
「もちろん! これからよろしくねユウくん!」
サリナは俺に抱きついてきた。
サリナも俺のことを恋愛的な意味で好きだということが知れて、心臓の鼓動が早くなっていく。
こうして俺とサリナは恋人同士になることができたのだった。
「でも、気づかなかったな。サリナが俺のことを好きだったなんて。俺の片想いだと思ってたから」
「そうなの?! 私はバレてしまってるものだと思ってたよ」
「俺が鈍すぎるだけなのかもしれないけどな」
「付き合うことになったわけだし、一緒に暮らすってことでいいよね?」
「ああ、もちろん」
「同居じゃなくて、同棲になるけどね」
「そうだな。最初は緊張すると思うけど頑張るよ」
付き合うことになり、一緒に暮らすことも決まったのでサリナはとても上機嫌なように見えた。もちろん、俺もかなり嬉しい。
好きな人と一緒に暮らすことができて、これから一緒にいられる時間が増えるのだから。
「私の家で一緒に暮らしたいと思ってるけど、いいかな?」
「ああ、ここは二人で暮らすには狭いからな」
「それじゃ、明日から一緒に暮らすってことでいい?」
「明日か、早いな。わかったよ。俺も荷物とか準備しておくよ」
「私も手伝いたいから今日はここに泊まってもいい?」
「え、いいけど、ベッド一つしかないよ?」
「もう恋人同士なんだからいいでしょ?」
「サリナがいいならいいけど」
サリナが急に大胆になった気がするのは気のせいだろうか。
でも、恋人同士になったのだからこういうことも増えていくかもしれないから出来るだけ慣れていかないとな。ずっと緊張したままでは俺の精神がもたない。
明日から同棲か。
改めて考えると今日一日で凄い色んな事が起きたな。
「これからは二人の時間が今よりも増えるね!」
「そうだな。嬉しいよ。サリナといると楽しいからな」
「ありがとう。私もユウくんと一緒だと楽しい! 私たちの相性、最高だねっ!」
この日は寝る前に風呂に入ったり、歯を磨いたり、寝る準備を済ませた後に一つのベッドに二人で並んで少し話したりしてから俺たちは眠りについたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます