第52話・6 王宮(3)

 王様と面会するマーヤ一行。

――――――――――――――――――――――――

 控室で待って居ると、王様が呼んでいると呼び出された。


 てっきり応接間みたいなのが在って、そこへ行くのかと思っていた。

 案内された部屋は長い机と椅子がある食堂の様な部屋だった。


 部屋の作りは壁はレンガを積んだそのままで、天井も低く張りが屋根を支えているのがみえていた。

 剥き出しの屋根裏が直接見える様な部屋だった。


 「良く来てくれた、私がミンストネル国の王、エドワルドだ。」


 長い机の奥に座った20歳ぐらいの人が話しかけて来た。

 王様だと言うからには王様なのだろう。気軽に声を掛けてくるのでびっくりしていたら。


 「おお、魔女の娘だ。」

 「めんこいな! もう一人の魔女は確かに魔女っぽいぞ!」


 なんだか良く分からない事を言い出した。しゃべり方も王様と言うより普通に町の人みたいだ。

 余計な事を考えていたら、カー爺が挨拶を始めた。


 「お初にお目にかかる。」

 「傭兵クラン”緑の枝葉”の頭をしているカーと申しますじゃ。」

 「側に控えております、ダルトにアント、それにケンドルでござる。」と指さしながら名前を言っていく。

 「女性二人は魔女にて、名乗る名は持たぬ者達ですじゃ。」


 カー爺も喋り方が少し丁寧位の貴族相手とか全然気にしてない様な話方だった。

 王様が気さくに話しかけて来たから、カー爺も王様に合わせている見たい。


 「おお、先ほどドノバンから聞いたが、魔女は名が無いそうじゃな。」

 「それに魔女になるには結婚して子供を産む必要が在る、とも聞いたぞ。」


 しっかりと馬車で話した内容は伝わってました。

 これで名前を名乗らず魔女だと言っても咎められないはず。


 王様が少し姿勢を改めて、声も真剣みが出た声に成った。


 「昨夜の活躍は聞いた。」

 「我が国を魔物の災害から防いでくれたそうじゃな、礼を言うぞ。」


 お礼を言われてしまった。王様って簡単にお礼とか言わないと思っていた。


 「「「ありがとうございます。」」」お礼を言われたので、全員でお礼のお礼(?)を言った。


 「儂は、魔女が魔法で魔物をバッタバッタと倒したと聞いて、魔女について聞きたいと思ったのじゃ。」


 「それでは、魔女について説明させていただきます。」

 「ミンストネル国の人は魔女について詳しくご存知無いと思いますので、成り立ちから説明しましょう。」

 「魔女とは、ミンストレル国から東の国々に生まれた魔法を使う女性の事で、医者を兼ねております。」

 「魔法や治療の術は魔女に弟子入りして師の魔女から習うのが習わしです。」

 「二人も同じように修業して魔女と成りました。」


 「魔女と言えばオウミと思って居ったが、東の国々で生まれたのか。」


 「はい、モルバ族やヤーシ族にも、此処ミンストレル国にも昔は居たと聞いています。」


 カー爺が私も良く知らない昔話を言っています。


 「おお真か! 我が国にも居たのか!」


 うんうんと王様は頷きながらカー爺が話す内容に聞きほれていたが、改まった顔になって聞いて来た。


 「その方らの働きに対して、褒美をと考えていたら、何やらそなたらから提案が在るそうじゃの?」


 カー爺が提案した話になってきました。

 私も詳しくは知らないので、耳をそばだてて(別に私の耳は起きたりしない)聞く事にする。


 「はい、この度のスタンビードはエルゲネス国の闇魔術師が引き起こした人災でございます。」


 カー爺の訴えに王様も相槌を打ちながら言う。


 「確かに調べさせた所、エルゲネス国の闇魔術師が我が国に入り込んで居る事が分かった。」

 「それに、そなたらが捕まえたベロシニアと申す元貴族の一味も取り調べで同じ事を話しているそうじゃ。」


 カー爺も王様の肯定に背を押され、ここぞとばかりに訴えます。


 「闇魔術師が起こすであろうスタンビードが近々ダンジョンの在る国々で起こるでしょう。」

 「神聖同盟のダンジョンの在る国々にとって大きな災いを引き起こすのは間違いありません。」


 王様は冷静に疑問点を聞いてきます。


 「そこじゃが、なぜ闇魔術師らはスタンビードを引き起こすのじゃ、理由が今一つ分からん。」


 恐らく、カー爺の提案で最初に疑問に思うのがそこだと思います。

 闇魔術師らにとってスタンビードを引き起こすに何のメリットがあるのか?


 「彼らは、ダンジョンコアを欲してダンジョンの最下層に在るダンジョンコアを持ち去ろうとしております。」

 「ダンジョンコアを失ったダンジョンはスタンビードを引き起こすのです。」


 カー爺はダンジョンコアの間で闇魔術師が話した内容を私の事は隠して話します。


 「スタンビードが引き起こされる理屈は理解した。」

 「成れど、闇魔術師共は何故にダンジョンコアを欲する?」

 「それも一つでは無く幾つもなのか。」


 以外に王様って頭が良いなぁ とか思ってしまいました。


 「8年程前に成りますが、ダキエの商人がアーノン・ススミなる人物を各国へと使わせた事がありました。」


 「確かに、アーノン・ススミと名乗るダキエの商人の使いが神聖同盟の盟主ロマナム国へ参った事があった。」

 「彼は魅了の大きな物を探してくれとロマナム国とル・ボネン国それにオウミ国を回ったときいている。」

 「結構な見返りをその3か国へ渡したと聞いているが、知っているか?」


 「ダキエの名工が作った魔道具を貰ったと聞いております。」

 「その対価として、国を跨いだ魅了の大きな物を探す探索組織を作る様に提案したそうです。」

 「それが傭兵ギルドが作られた経緯だと言う事です。」


 「その事と今回のスタンビードに何か関係あるのか?」


 「はい、魅了の大きな物とはダンジョンコアも魅了の大きい物の一つなのです。」


 「なに! ダキエがダンジョンコアを欲しているのか?」


 「違います。」

 「エルゲネス国の闇魔術師が欲しているのです。」


 「どう違うのだ? どちらもエルフの国だろうが。」


――――――――――――――――――――――――

次回は、カー爺の提案の内容とミンストレル国の対応です。

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