自慢の息子へ

 父ちゃん、死んじまったよ。すまないな。お前ともっと会話したかった。お前にはもっと教えたいことがあった。お前と酒を飲みたかった。挙げればキリがないくらい、お前とはやりたいことがたくさんあった。お前が生まれてからもう十八年。勉強嫌いなお前が試験を受けて入るって言いだした時はびっくりして心臓が止まったぞ。結果はどうだった? もし落ちてもまた来年がある。何度でも挑戦しろ。だが、諦めるな。お前自身で決めたんだから。いい報告を聞ける日を待っているからな。

願わくは、お前の彼女に会ってみたかった。父ちゃん、お前に彼女がいること知っていたからな。お前は父ちゃんに取られると思って隠していたみたいだけど、バレバレだったからな。まぁ、父ちゃんみたいに女を泣かせなければそれでいい。母ちゃんみたいなぶっ飛んだ女の人――母ちゃんには内緒だぞ――は滅多にいないからな。女性関係の縺れは面倒だから弁えていけよ。

 お前に頼むのは申し訳ないが、母ちゃんを頼む。お前も知っての通り、母ちゃんは朝が弱いし、笑っているように見えて色々なことを考えて苦しんでいることもある。だから、お前が妹と一緒に母ちゃんを支えてやってくれ。父ちゃんにできなかったことを押し付けてしまって本当に申し訳ないが、頼んだ。

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