ラジオのある生活
ガビ
第1話ラジオのある生活
朝は、目がショボショボしているので、テレビや動画は見たくない。視界がはっきりし内に画面を見ると気持ち悪くなる。
学生時代はこんなに繊細ではなかった。
起きてすぐに日本テレビにチャンネルを合わせて、母親が作ってくれた朝食を食べながらニュースを見ることに疲れなど感じなかった。
まだ20代なのに「昔は良かった」なんて思ってしまうヤツになるとは。
思い出にしがみつくのではなく、身体の劣化により、昔を美化していると言い訳できるが、今の高校生から見たら俺なんかおっさんなんだろうなぁ。と、自虐的な気分になってくる。
そんな気分で静かすぎる部屋でボーッとするだけの時間過ごしていると、今考える必要のないことまで考えてしまう。
これから仕事に行くのだから、就業中に考えれば良いのだが、あの意地悪なパートのおっさんの自慢話をどうやってかわそうと、無駄オブ無駄なことに朝の貴重な脳の容量を使ってしまう。
このパターンはまずい。
そう思い、ある日ラジオでも聞いて気を紛らわせようと思いついた。
どうやら、スマホで聴けるらしいじゃないか。
早速ラジオのアプリを入手して、翌朝、好きなお笑いコンビの名前を検索して、再生してみる。
オールナイトニッポン。
聞いたことがある。有名なラジオの番組だ。
2時間もあるから、全部は聞けないだろうけど、そんなに真面目に聞かなくて良いだろう。
2人が奥さんの話やら近くの本屋が潰れた話やら、若い人達に人気のアイドルのライブに行ったら疲れた話やらを聞いていたら、気がついたら家を出る時間になっていた。
夜10時頃帰ってきた。
木曜日。週で最も体力と精神が削られる木曜日。
アニメや小説を嗜む気にもなれないくらい、疲れていた。しかし、すぐに寝るのは、なんかヤダ。
12時くらいまでは起きていたい。
早寝早起きをした方が良いことが多くなることは分かりきっているが、寝たら、朝が来てしまう。朝から少しでも逃げるために、人は夜更かしをするのだという持論を持っている。
でも、することがない。
座椅子に座って途方に暮れていると、朝聞いていたらラジオが後1時間くらい放送時間があることを思い出した。
スマホで再生。
相変わらず話を聞いていなくても罪悪感のない雰囲気。例えるなら、付き合いの長い友人の話を漫画を読みながら聞いている・・・みたいな。
もちろん、このお笑いコンビの2人は俺の友達ではないが、テレビで見ていた時よりも、親しみやすさを感じる。
そんなことを考えていたら、放送が終わった。
そろそろ寝る準備をしておくか。
無心で歯磨きや布団の準備をした。
目覚まし時計がなる。
いつもの不快な音で目覚める朝だったが、その時は、「今日は誰のラジオを聞こう」と、少し楽しい気持ちになっていた。
また、お笑い芸人でも良いし、声優、俳優、アーティストでも良い。
布団から軽く起き上がる。スマホを手に取る。
そうだ。あの人はラジオをやっているだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます