エロゲー世界の闇堕ち悪役に転生したので、俺は今日も珍棒振り回して無双する~俺のチン闘力は4545万です。聖女!俺のビッグマグナムをくらえ!

にこん

第1話 競パンはしゃべらない

~ゲーム内テキスト~


ひとつの焚き火を3人の少女……と一着の競泳パンツが囲っていた。


その中のビキニアーマーの少女が口を開いた。


「ベニス……ベニス・ションベーン。私たちはついにここまでこれたぞ」


ビキニアーマーはそう呟いて一着……石の上に置かれた競泳パンツ……カピカピに乾いて異臭のする競パンに語りかける。


その目にはここまで見せることのなかった女としての涙が浮かんでいた。


その様子を見ていた聖女は立ち上がりビキニアーマーの女に詰め寄る。


パーン!!!!

そのほっぺたを強烈にビンタ。


「あなたはいつまでこんな競パンをベニスさんだと思っているんですか?!!!」

「うるさい……この競パンはベニスが最後に残したものだろう!」


泣き崩れる聖女。


"感動のシーン。ここで名曲『アナルカンドにて』を流すように!"


「私だって分かってるんですよぉぉぉ!!!この競パンがベニスさんの最後の遺品だってことくらい!」


そう言って聖女は石の上に置かれていたカピカピに乾いた競パンを手に取った。


「競パンに触れるな!聖女エローナ!それは私の彼氏の競パンだ!」

「うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!私だってこの競パンに惹かれてここまで来たんですよ!」


そう言って聖女は服を脱いで全裸になった。


「ねぇ、ベニスさん。私と一体化しましょうよ」

「……」


競パンはしゃべらない。

競パンだから。


「私の競パンを返せ!淫乱ビッチ聖女がっ!」


全裸の女とビキニアーマーの女が競パンを取り合う。


その生涯で唯一愛してしまった男の競パンをふたりは命をかけて奪い合う。


自分こそがその競パンの継承者にふさわしいと言うように。


この後に魔王との戦いが残っていることを忘れてふたりは競パンを取り合う。


そして数時間にも続いた競パンの取り合いは……


「ふん。まだまだだな聖女。やはりベニスは私を選んだようだ」


ビキニアーマーの少女がその右手に競パンを握りしめていた。


ギュッと握りしめて。


掴んだこの手はもう


​───────離さない。


寝転がった聖女は虚ろな目で夜空を見上げた。


そして


「ベニスさん……私、負けちゃいました」


チャカッ。


聖女はいつのまにかハンドガンを持っていた。


その銃口を自分のコメカミに押し当てる。


「ハンドガンだと?!なぜお前が!」

「私は聖女、聖女エローナ。いろいろとあるんですよ。さよなら……」


パーン!!!!!


ビシャッ!


その場に飛び散る大量の聖女の血。

処女の血を彼女は散らした。


「エローナ!!!エローナ!!!」


その死体に駆け寄るビキニアーマー。

しかしそれを咎める声。


「やめてください……私たちにできる事は魔王を倒すことでしょう?」


そう言って今まで傍観を決め込んでいた、メスマン彫刻のようなエロい体をした女が立ち上がった。


メスマン帝国、かつて反映した大都市メスマン帝国。

そこではメスマン彫刻と呼ばれる彫刻が大量に乱造されていた。


話は逸れたが、立ち上がった少女。


名はメスイーヌ。


「覚悟を決めてください!命をかけて届けられたんでしょ?その競パンは!競パンの継承者……!メスマン戦士の誇りがあるのでしょう?!聖女はなんのために死んだんですか!!!その意味を考えてください!」


その問いかけにビキニアーマーの女はただ拳を震わせて……。


「知らん!知らん!知らん!分からん!なんで死んだのか答えろ!」

「私も知りませんよ!聖女はなんで死んだのですか?!」


数分見つめあっていたふたりだが、やがてビキニアーマーが口を開いた。


「分かったさ。行こう。聖女のかたきを」

「えぇ、最終決戦の地へ」


覚悟を決めたビキニアーマーとメスイーヌは魔王城へと向かっていく。


そして、魔王を倒して。


世界に平和は戻りました。



おわり。



"エンディングで『アナルカンドにて』を流す"


一年後。


「聖女エローナが死んで一年か……」


相変わらずビキニアーマー姿の彼女はメスイーヌに目をやった。

メスイーヌのお腹はぽっこりと膨らんでいた。


ふたりは静かな森の中に小さな家を買って静かに暮らしていた。


「えぇ、そうですね」

「まさか……カピカピの競パンから妊娠するとは思わなかったな」


メスイーヌは魔王を倒した後発狂したように競パンと交尾していた。

その結果なぜか妊娠。


「元気な赤ちゃんを産もうな二人で。そうだなぁ、女の子がいいな。男は弱いから」

「えぇ、あなた……」


二人の唇が触れ合おうとしたその瞬間だった。


バーン!!!!


扉が開かれた。

そこには頭から血を流した下着姿の聖女が立っていた。


「私を忘れるんじゃないですよ。二人とも。このエローナがいなければベストエンディングにはならないでしょうが!」

「え、エローナ?!なんで生きてるんだ?!」

「私は聖女だからです。神が私を生き返らせたのです」

「「聖女ってすげぇ!!!!」」


この家に暖かな風が吹き抜けた。

それはメスイーヌの妊娠を祝福しているような、そんな暖かな風だった。


例え、英雄のベニス・ションベーンがいなくても世界は回るのだ。


fin.

True END.



~現実世界にて~


「だから!True ENDじゃねぇんだよ!相変わらずひどいなこのゲームは!」


チラッ。


エンディングで流れている曲に目をやる。


『アナルカンドにて』


出演したヒロイン達がピアノ演奏に合わせて


「アン アアアアンアンアンアン」


と喘ぐのが特徴のBGM。

ちなみにこれ用に撮影したワケではなく、わざわざ他のシーンから喘ぎ声を抜き出してそれを繋ぎ合わせて作ったらしい。


スタッフの熱意だけは伝わってくる。

その労力を他に回せって思うけど。


だってラストシーンめっちゃ適当じゃん。


それに


"ここで『アナルカンドにて』を流す"


とかっていうメモ書きみたいなテキストすら消さずにそのままコピペしてるせいでゲームに表示されてるし。


「魔王を倒すシーンで魔王を倒した、で描写が終わるゲーム初めて見たよ」


ゲームパッケージに目をやる。


これはとあるエロゲーだ。

タイトルは


【メスマン帝国の野望】


パッケージにバカでかく映ってるビキニアーマーの女が主人公で、その主人公が魔王を倒しに行く、というのがメインストーリーだが……俺はシナリオに期待して買ったわけじゃない。

なら、なにに期待したかと言うと


無論、エロシーンが目的だった。


このビキニアーマーのエロシーンが見たかったの!


なのに、現実はどうだ?!


「ないんですけどぉぉぉぉぉ?!!!!エロシーン!!!!」


残念ながら主人公のエロシーンはひとつも入ってない。


俺の見落とし?ありえない。


俺はこのゲームを何周もプレイしたし、そもそも今遊んだのは完全版だ。


完全版……オリジナルから修正を加えたバージョンのはずだが、それでもないのだから、初めから主人公のエロシーンを開発が入れる気がなかったということだ。


ちなみにだがこの酷すぎるゲーム内容と斬新なゲーム設計が大きな話題になり、クソゲーマー達が無駄に買い漁ったせいでCS機にも移植されたりした。


それだけ多くのクソゲーマーを魅了してきたのだ。


俺はクソゲー愛好家じゃないけど、主人公のキャラデザがドンピシャでパケ買いしたのにこのザマだよ。


んで、ふとPC画面に目を戻すと。


TIPS

・主人公の持つ必殺技【テクノブレイク】は男性特攻攻撃だ!

攻略に困ったら【テクノブレイク】を使ってみよう!



このゲームは一応アクションパートがあるんだけど、いろんな技があってアクションゲームとして楽しめるようになってるんだけど。


今表示されてるこの【テクノブレイク】という技はぶっ壊れていた。


これを押してるだけで敵は死んでいく。


なんでかって、このゲームはエロゲー。

出てくる敵はほとんど男だから、すべての敵に特攻が刺さりまくる。


ちなみにバグなのか分からないけど女の敵にもこの特攻が機能している。ぶっ壊れております。


アクションが苦手な人もこの技のおかげですごく爽快感が得られる親切設計だ。


俺はタイトル画面に戻ったゲームの操作を再開していく。


「今日は聖女で抜くか」


回想機能からこのゲーム人気ナンバーワンの聖女との回想シーンに入っていく。


これが俺が記憶してる最後の記憶になるとはこのとき思ってもいなかった。



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