第42話:会場到着

そうして車で約3時間、途中でサービスエリアに寄ったりお昼ご飯を食べたりしてやっと到着した。


「いやー席が極上とはいえどうしても疲れるよねぇ~」


車から出て伸びながら身体を捻るとポキポキと小気味いい音が鳴る。


「ん~そうだねぇ~」


隣で檸檬も伸びをしている、流石に三時間は長かった。


「凄い、潮風の匂いだね~」


「そうだねぇ~お魚が食べたくなっちゃうよ」


「さっき食べてきたじゃないですか……」


「そうですね~明日はお休みですし、余裕があれば夜ご飯に懐石料理なんても良いですね~」


藍那がニコニコとして言うが懐石料理ってこの間みたいな高級レストランだよな……。


「でも、藍那ちゃん。これから屋台を巡るんだよ!」


真白が待ちきれないといった感じで目を輝かせる。


「そうだね、屋台で食べるわけだし、夕食はそれでお腹いっぱいになっちゃいそうだな」


真白に続いて俺も話に乗る。


「屋台ですか~私食べた事無いですね~」


「そうなの? もったいない! ならここは、私達が藍那に教えてあげないとね!」


嬉々として檸檬と真白がキメ顔をする、可愛いな。


「まぁ~でもここは~、商店街から神社まで、ず~~っと屋台があるもんね~」


「そうなんだ、よく知ってるな蕾は」


「えへへ~調べたんだよ~」


「そっか、ありがとうな」


セットした髪を崩さない様に頭をポンポンと叩く、セットした髪の毛を撫でると嫌がられるからなぁ……。


「それじゃあ行こうか、って雨音は?」


「寝てるわ……」


「は?」


「だから、寝てるのよ……」


「えぇ……」


呆れた様に言う弓場さん、流石にこのタイミングで寝てるのは……。


「仕方ないから、私が見てるわ。佐伯君は皆のエスコートお願いね」


「わかった、じゃあ頼んだ!」


「えぇ、少なくとも花火始まる前には起こすわね」


そう言って車内へ戻って行った。


「それじゃあ気を取り直して」


「出発だ~!」


「「お~」」


檸檬の呼びかけに二人が掛け声を合わせる、そして三人で俺を見る。


「ど、どうした?」


「出発だ~!」


「「お~」」


そしてまた三人の視線が突き刺さる。


(これは俺がやるまで待ってるのか……)


「お、おぉ~」


恥ずかしいが手を上げると納得したのか三人共「うんうん」と頷いている。


そうして一足早い夏祭りが始まった。


◇◆◇◆◇◆◇◆

祭囃子に提灯の明かり、それが神社まで続いているその両脇からは美味しそうな匂いと子供達の笑い声が響き、この時間からお酒を飲んで気分良くした地元のおっちゃんの声がする。


「そういえば、今はどこに向かってるんだ?」


「えっとね~お祭りのメイン会場の神社だよ」


「そうそう、そこは恋愛成就の神社で有名なんだ!」


「へぇ~恋愛成就ねぇ~」


「翔さんはそこまで興味が無いのですか?」


「珍しいねぇ~男子も食いつくと思ったんだけどぉ~」


「う~ん、気にならない訳じゃ無いよ。でもあんまり男で『恋愛成就だから!』ってのは少ないんじゃないかな? いや、居るには居ると思うし、それは全然良いと思う。でも、少なくとも俺は、恋愛成就目当てで行く事は無いかなぁ……」


前世でも彼女が行きたいと言えば行ったけど、基本的に自分から『恋愛をしたいから、恋愛成就の神社へ!!』ってのは無かったな。


それに今世はそういった物も頑張ってみたいし。


(というか恋愛の神様なんて居るのかな?)


二度しかあった事無い、しかも薄ぼんやりとしか顔の思い出せない神様を思い出しながら考える。


「そうなんだ、少し残念」


「つまんな~い、もっと恋愛に前向きになろうぜぇ!」


檸檬がウザ絡みをしてくる、いや、男色家じゃ無いし普通に恋愛はしたいと思うけど……。


「まぁ、でもせっかくだし。縁結びのお守りとかあれば買うかな~」


そう言うと4人が驚いたように目を見開く。


「へ、へぇ~翔君は縁を結びたい相手が居るのかな?」


「ふ、ふーん……キョーミナイとか言ってたのにそう言うのは、ちゃっかり買うんだ」


「し、しょーも男の子だったかぁ~」


なんか三人が勘違いしてる気がする……。


「あのなぁ……縁結びって『人と人』もだけど『人と物事』の面もあるんだ。それに高校に入ってから良い縁に恵まれたから、友達もたくさん出来たし、それを感謝もするし大切にしようと思って縁を結んでもらいたいし守って貰いたいから買うんだよ」


少し恥ずかしくなりながら言うと、皆に驚いた顔をされる、そんなに意外か!?


「素敵ですねぇ~翔さんは」


「そうだねぇ~、カッコイイよぉ~」


「うんうん! 目から鱗だった!」


「恋愛成就だけ! ってはしゃいでたの、いやー恥ずかしいねぇ……」


皆が顔を赤くしてパタパタと手で扇ぐ。


「うっ、そう言われると、すげぇ恥ずかしいことしてると思えてきた」


なんか俺も顔が熱くなってくる。


「えぇ~良いじゃん良いじゃん!」


「私達との縁を」


「それだけ大事にしてくれてるんでしょ~」


「なら、私達も大事にしませんと」


蕾と真白に手を引かれ、檸檬に背中を押されつつ神社への道を歩いて行く。


(まぁ、楽しそうだしいっか)



周りで聞いてた人達((((ハーレムかよ! クソ羨ましいな!!))))

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