第41話:浴衣と褒めと語彙力。

そうしてそれから2週間後。6月も末日、今日は花火大会の日だ、着付けもあって皆でスタジオに集まっていた。



「はいは~い皆いらっしゃーい!」


今日はスーツじゃ無く作業着で母さんが現れた。


「それじゃあ、翔と雨音君はこれね」


母さんに浴衣を手渡される、俺のは紺色に緋色と金色の流線が入った浴衣でシンプルだけど凄くマッチしている。雨音のは俺の色違いで白色に若草色と群青の流線が入っている。


ちなみに帯は俺が銀糸の刺繍が入った黒で、雨音が金糸の入った紺色だ。


「それじゃあ皆、お着替えに行きましょ~」


そうして皆、母さんに連れられて行った。


「俺らも着替えるか……」


「だな……」


◇◆◇◆◇◆◇◆

着替えが終わり待っていると、母さんに呼ばれ向かう。すると皆が準備を終えていて待っていた。


「おおぅ……」


正直ただ着るだけかと思ってたけど、結構本格的にメイクなどもしている。


「ほら男衆、女子が着替えたんだから何か言いなさい!」


「あー、うん真白さんも檸檬さんも久凪さんも長谷川さんも瞳も似合ってるぞ」


「あなたねぇ……ちゃんと褒めなさいよ……」


「良いだろ!? 恥ずかしい」


「まぁ良いわ、雨音が役立たずだし、ここは佐伯君に期待しましょうか」


「え? 雨音と一緒じゃ……はい、駄目ですよね」



「えっと……まずは真白から……」


「ワクワク……」


「白色のに黒と赤色の金魚の柄がぴったりだね、細かい刺繡も入ってるし帯の爽やかな水色がとても綺麗、それにいつもとは違って薄っすらとメイクをしてるせいか凄く大人っぽくて綺麗だよ……これで良いかな?」


目についた所だけの褒めになっちゃったけど大丈夫だろうか……。


「う、うん……ダイジョウブデス……」


顔を真っ赤にした真白が答える。


次に檸檬がやって来る。


「えへへ~よろしくね!」


「檸檬は空色の生地に、向日葵の柄がすごく良く似合ってるな、これだけで夏が着た様に思えるほどの可愛さだね。それに今日は少し巻いてるのかな? 凄く似合ってていいね」


「は、はひぃ……」


首筋迄真っ赤になった檸檬が下がっていく。


「うーむ、この子の育て方間違えたかな?」


「えぇ……」


何か間違えたのかな? まぁ良いか。


「蕾は珍しく若草色なんだね、それにまとめた髪色と浴衣の色、それに細かい所にある金糸と銀糸の刺繍がすごく可愛い、柄だけ見ると子供っぽいように見えるけど、蕾が着てちゃんと大人っぽく仕上がってるのが凄いね、それに髪もサイドテールだっけ、普段と違う快活さが見て取れてすごく可愛いよ」


半分衣装の褒めになっちゃった感が否めないけど、衣装ととの兼ね合いは一番似合ってたりするから本心だ。


「おぉおぉ~ありがとぉ~」


いつもと違ってぎこちなく動く蕾、言葉間違えたかなぁ……。


「では~次は私ですね~」


藍那が一歩前に出る。


「藍那の浴衣は黒に牡丹と椿か、凄い大人っぽいけど着こなせてるのは流石藍那って感じだね、メイクも紅が映えるし凄く綺麗だよ、それにいつもと違って纏められた濡羽色の髪に金と朱の簪が凄く美しいよ」


「—————ぽーっ」


気付いたら藍那がぼーっとしてる、大丈夫かな?


「藍那? 大丈夫?」


顔の前で手を振るとハッとした様に顔を赤らめる。


「えぇ、大丈夫だ……やっぱり彼のは威力がとんでも無いな……」


ブツブツともう一人になって戻って行く藍那。


「一体何だったんだろう……」


まぁ良いか、最後は弓場さんだ。


「あー、弓場さんの浴衣は菫がモチーフかな? 普段と違う印象でびっくりしたよ、金の髪色に合わせた浴衣で本当に一輪の花が咲いたような感じ。薄っすらしてるメイクも更に弓場さんの魅力を引き立たせるね」


全員と言われたし弓場さんも褒める、すると弓場さんが「なっ……」っと言って固まっていた。


「あー流石翔……威力高いね~」


「普段言われないいから被弾すると凄くダメージ大きいよね」


「そ~だねぇ~、しょーは意外とやり手だねぇ~」


「本当にな、全く油断も隙も無い男だ……」


「今ので褒められてる気がしないんだけど……」


「まぁまぁ、そう言うなって、お前の褒めは中々に毒だっていう事だ」


雨音が肩を組んでくる、さっさと逃げた癖にいつの間に戻って来たんだ。


「毒かぁ……もう言わない方が良いのかな?」


「いや、言わないと言わないで、不満が出るだろうから。絶対に言えよ」


真剣な目で見て来る雨音、逃げた癖して良く言う。


「じゃあお前も逃げずに言えよな」


「…………」


「何か言え、逃げるな!」


スーッと逃げようとした雨音を捕まえてヘッドロックをかける、その内にタップした雨音を解放して一息つく。


「さぁ、皆ここから距離あるんでしょ? 早く行きなさい」


母さんがそう言うと入り口から鳴海さんが現れた。


「皆様、お迎えに上がりました」


「「「「「はーい!」」」」」


そう言って皆、着替えと巾着を持って外へ向かう。


「翔」


母さんが呼び止める。


「ん? どうした?」


「これ、お小遣い。皆で使いなさい」


その手には諭吉さんが三人程、お小遣いにしてはかなり高額だ。


「良いの?」


「良いの良いの、あの浴衣新作だし。モデルも追加でやって貰っちゃったからね~少ないくらいよ」


申し訳なさそうに母さんが言う、皆が事情を知ってるなら良いだろう。


「わかった、有難く頂戴するよ」


「あなた一人で使わないようにね」


「はーい、行ってきます」


「いってらっしゃい」


母さんに見送られ出発した。


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作者です!

仕事を終えて仮眠を取ったらこんな時間でした! すみません!

さぁ、いよいよ1章も残り少し、この後の展開を少し悩んでます。

そろそろ個別ルートに入るか、1学年は丸々全員ルートにするか……。

どの道全員ルートから個々人のルートへ、最後はハーレムルートを企画してますので、全員分のお話はちゃんと書きますのでご安心を!


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