第35話:柊ママ襲来

「あれ? 帰って来たのね、今迎えに行くとこだったのよ?」


中から出てきた女性は真白を見て、ケロッとした顔で言った。


「おかーさん!? まだ仕事のはずじゃ!?」


どうやら真白と檸檬のお母さんらしい、若いなぁ……。


「だって檸檬が怪我して歩くの大変なんでしょ? 親としてはそりゃ迎えに行くわよ、でも必要なかったみたいね♪」


すると、こちらに視線を向けた二人のお母さんがニヤッとする。


「なーんだ、彼氏が居るならそう言いなさいよ~それでどっちのなの?」


「お母さん! 翔君はそんなんじゃ!?」


「翔君? へぇ~」


真白を見てニヤニヤするお母さん、慌てた真白を順々に追い詰めている。


「……んんっつ、あれ? ここは?」


檸檬が目を擦りながら言う、するとお母さんがニヤニヤしながら近づいてくる。


「おはよ~檸檬。ぐっすり眠ってたわね? そんなに翔君背中が良かったんだぁ~」


そう言ってからかって来るお母さんと頭が働いて無い檸檬の視線がバッティングする。


「あ、あぁぁ……お母さん!?」


「はい、お母さんです♪」


凄く嬉しそうにしているお母さん。


「わっ!? ちょっ! 降ろして!」


パニくった檸檬がバタバタと慌てる。


「ちょ! 檸檬! 落ちる落ちる!!」


「そうよ~せっかく、翔君がおんぶしてくれてるんだから~暴れたら危ないわよ~」


そう言われて諦めたのか、段々大人しくまる檸檬、とりあえず落ち着いたのでゆっくりと降ろす。


「今日は、色々とありがとうね翔。それと寝ちゃっててゴメン」


「まぁ疲れただろうからね、仕方ないさ」


「はい、これ翔君の鞄」


「サンキュー真白」


鞄を受け取り肩に掛ける。


「それじゃあまた……そうだ檸檬、明日の打ち上げは来るの?」


「ん~明日の足の調子次第かな~、一応午前中には病院にも行くし」


「そうか、それじゃあ――――ぐえっ!」


踵を返して行こうとしたら襟首を掴まれた。


「「お母さん!?」」


「なーに帰ろうとしてるの? しょう君♪」


お母さんが「こんなおもちゃ逃がさない」った感じで掴んで来た。


クソ……逃げるが勝ちと思って逃げようとしたのに……。


「さぁさぁ~、ゆ~~っくりお話聞かせてね~」


しかも力が強くガッチリとホールドされてる。


「おかーさん! 翔君も疲れてるんだし!」


「そうだよ、それにもうすぐ夕飯の時間になっちゃうよ!?」


時計を見ると18:50だ、今から戻って電車に乗らないと夕食には間に合わない。


「あら? だったらウチで食べて行けば良いじゃない」


「「「お母さん(様)!?」」」


「あら? 結構逞しいのね」


ヤバい、完全に主導権を奪われてる!?


「でもほら! 準備とかありますし!」


「や~ね~今日は元々、お寿司を取る予定だったのよ~だ・か・ら、一人分増えても問題無いのよ♪」


これは不味い……逃げ道が塞がれてる……。


「で、でもほら翔君の家も、夜ご飯作ってるんじゃ?」


「そ、そうだよ! 翔の家妹ちゃんも居るし!」


ナイスアシスト! 真白、檸檬!


「仕方ないねぇ……翔君スマホを出しなさい?」


「へ?」


「ほ~ら、スマホよスマホ♪」


スマホ位なら大丈夫だろう、それにロックもかかってるし。


「は、はい……」


おずおずとスマホを渡すと、慣れた手つきでロックを解除した……解除してるぅ!?


「ちょ!? まっ!? ロックしてたのに!?」


「甘いわねぇ~ こんなものスマホを見ればわかるわよ~」


そして家に電話を掛け始めた。


『もしもし、翔? 帰ってくるのが遅いじゃない? どうしたの?』


『すみません。私、柊 真白と、柊 檸檬の母です♪』


『お世話になっております、佐伯 翔と佐伯 由愛の母です』


『いえいえ~お世話になっているのはウチの娘たちで……今日も翔君が怪我をした檸檬をウチまで送ってくれたんですよ♪』


『そうだったんですね、ウチの子が……』


『えぇ♪ それでなのですがもしご都合が合えばなのですが。今日の御夕食ご一緒しませんかといったお誘いなのですが、勿論由愛ちゃんもご一緒に来ていただけるとウチの檸檬も喜ぶのですが……』


『でしたら、遠慮なくお言葉に甘えさせていただきます』


『ではお時間は――――』


外堀が完全に埋められた……。


(どうしてこうなった!?)


「あはは~翔君ごめんねぇ……」


「ウチのお母さん、探偵やっててね……スマホとかの番号ロックって意味ないんだ……」


申し訳なさそうな二人の顔に、乾いた笑いしか出てこなかった。


そして、電話を終えた柊家のお母さんが、スマホを返してくる。


「それじゃあお店で落ち合う事になったから、行きましょうか!」


「え? でもお父さんは?」


「大丈夫よ、連絡しておくし、すぐに来ると思うわ♪」


そう言いながら着替えて来ると言い残し、玄関の中へ入って行った。


(ん? どうして俺が居ると……まさかね)


嫌な予感がするので一応確認しないと……。


「なぁ、真白、檸檬。二人のお父さんってどんな人?」


そう聞くと「あ」っという様な感じで固まり、そして申し訳なさそうにする。


「えっとね…………武術家で親バカ……」


「良く私達を、目に入れても痛くないって言ってる……」


真白と檸檬のその言葉に俺は空を仰いだ。


(死兆星ってあれなのかな?)


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